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 (2014年7月6日記す)


そういち自画像
      著者そういち自画像

ブログ「団地の書斎から」のテーマ

団地の小さな書斎(左上の写真)で,
たまには「大きなこと」について考える。

世界史の大きな流れ。時代の変化。
政治経済などの世の中のしくみ。
 
そして,時代や社会をつくった人びとの生きかた。
    
自分のアタマで考えること。
「考え」を,文章でどう表現するか。

  
古い団地をリノベして暮らしています。
「リノベと住まい」もテーマのひとつ。
暮らしの中の小さなたのしみについても。
 
    
これらを,わかりやすく・ていねいに書きたい。


●著者「そういち」について

社会のしくみ研究家。「文章教室のセンセイ」「団地リノベ研究家」も兼ねる。1965年生まれ。東京・多摩地区の団地で妻と2人暮らし。
大学卒業後,運輸関係の企業に勤務し,事業計画・官庁への申請・内部監査・法務コンプライアンス・株主総会などを担当。そのかたわら,教育研究のNPOに参加して,社会科系の著作や講演で活動。その後,十数年勤めた会社を辞め,独立系の投資信託会社の設立に参加するが撤退。浪人生活を経て,現在はキャリアカウンセラーとして就職相談の仕事を行っている。
社会や歴史に関し「多くの人が知るに値する・長持ちする知識を伝えること」がライフワーク。 


●そういちの著書
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  一気にわかる世界史・表紙

 
『自分で考えるための勉強法』(ディスカバー・トゥエンティワン,電子書籍)
『四百文字の偉人伝』(古今東西の偉人100人余りを紹介,ディスカバー・トゥエンティワン,電子書籍)
『健康と環境』(子ども向けの社会科の本,小峰書店,共著)
『フラッグス・る?』(世界の国ぐにをGDPでみる社会科の本,楽知ん研究所)


 
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【講師いたします】
このブログでテーマにしている世界史,社会のしくみ,勉強法,文章術などについて。グループでも個人でもどうぞ。

お問い合わせは so.akitaあっとgmail.com まで(あっとは@に変換) 


団地の書斎のそういち
撮影:永禮賢
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2018年03月26日 (月) | Edit |

世界史セミナー2018年3月24日その2

3月24日に、東京・西新宿で「世界史『超要約』セミナー」を開催しました。
当日は高校生も含む12名の方が参加してくださいました。ありがとうございました。

このセミナーは、私の著書『一気にわかる世界史』(日本実業出版社刊)ベースに、世界史5000年の最も重要な大きな流れを、2時間余りで「超要約」してお伝えするものです。

週末(土曜日)の開催なので、「親子・高校生も」と呼びかけたところ、お父さんと高校生・お父さんと若者といったご参加もありました。高校生(男子)のお父さんによれば、息子さんが世界史の履修を選択することになったので、参考になるものはないかとネットでさがして、本セミナーをみつけてくださったとのこと。

本セミナーは、受験勉強で高得点をめざす内容ではないのですが、しかし「世界史を学ぶ」ということの入門の役目は果たせるのではないかと思います。

高校生の方、若者の方が静かに熱心に講師の話に耳を傾けてくださっていたのは、私としてもたいへんうれしいことでした。

高2男子の方の感想にあったのですが、世界史については“カタカナが多くて教科書も時間軸がややこしくて頭に入ってこない”と感じていたとのこと。これはほとんどの人にとって、そうでしょう。

でも“このセミナーを聞いているうちに先入観を捨てて、少しずつ好きになることができました。特に文化などが国から国へと移り、新しくなっていく過程が気になったので、これから調べてみて、親しくなっていこうと思います。本当にありがとうございました”とのことでした。

こちらこそ、ありがとうございます。うれしいです。

本セミナーが「世界史入門」の役目を果たせるとしたら、それは「世界史は学べば面白そうだ」という感覚が得られる点にあると思っています。「面白そうだ」という感覚が、「入門」においては、一番大事です。

それも、テレビでたまにやっているような、人物のエピソードやびっくりするような事件の話で「面白い」というのではない。

そうではなく、「世界史そのものの大きな流れ」を感じてもらう。その感動や面白さを、ほんのさわりではありますが、お伝えすることが、本講座の目的です。

人物やエピソードももちろん大事で有効です。私には古今東西100人余りの偉人を紹介した『四百文字の偉人伝』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)という著作もあるくらいで、「人物」にはおおいに興味があります。でもそのことはまた別の機会に、と考えています。

人類の大いなる歩みに対する、感動・おどろき。

これは、世界史というジャンルだけが伝え得るメッセージです。

そのようなメッセージを伝えるセミナーをこれからも開催していきますので、よろしくお願いいたします。
今回のセミナーについていただいたさまざまな感想などについては、また今度ご紹介します。

 世界史セミナー2018年3月24日その1

 会場ベースポイント2018年3月
会場のカフェ「ベースポイント」(西新宿)

(以上)
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2018年02月25日 (日) | Edit |
ピョンチャンオリンピックが、閉会しました。

北朝鮮の参加、韓国との合同チームの結成では、「オリンピックの政治利用」をめぐっての話もありました。多くの場合「オリンピックの政治利用はいけないに決まっている」という前提で語られるわけです。

しかし、オリンピックというのは、本来の目的からして巨大な政治的装置ではないでしょうか。
たんなるスポーツの祭典などではない。

もちろんスポーツ大会ではあるのですが、それを素材として、国際的な「平和」を演出することが、オリンピックの最も重要な特徴です。そこが多くの国際スポーツ大会とのちがいです。サッカーワールドカップでさえ、オリンピックとくらべれば、たんなるスポーツ大会です。

だからこそ、開会式や閉会式などの儀式的な面に、異様なまでに力を入れる。儀式を通じての理念の確認やメッセージの発信が、オリンピックでは大事なのです。

古代オリンピックは、その開催時期の3か月のあいだ、ポリス(ギリシアの都市国家)の間でなんらかの戦争が行われていても、停戦となっていました。

そのルールは、ポリス間の戦争が絶えなかったギリシア世界を、戦争の泥沼に陥らないようにする、歯止めの意味を持っていたはずです。

そのコンセプトを、近代世界において再現したのが、今に続く近代オリンピックです。それはひとつの社会的な発明でした。

オリンピックというのは、そもそも非常に政治的なものなのです。
戦争が絶えない国際社会のなかで、破滅的な戦争の歯止めに少しでもなれば、というのがオリンピックというイベントの果たすべき機能です。

それを実現するには、むき出しの国威発揚やナショナリズムはたしかにマイナスです。
しかし、国家を代表する選手の対抗戦である。
だから、話がややこしい。

オリンピックじたいは、本来政治的なもの。しかしそれは「国際協調」とか「世界平和」という政治目的であって、そのためには、個々の国家の国益を押し出すような政治利用は排除されるべきだ、ということ。

その点で、今回の北朝鮮や韓国の動きは、それぞれの国益や政治的意図があまりにも前面に出ていたので、問題視されて当然でしょう。

そのような各国の政治的利害を、ほんの一時であれ棚上げにして忘れさせてくれる(そんな気分にさせてくれる)ことこそが、オリンピックの目指す政治的機能であり、平和への貢献なのです。

スポーツそのものは、おそらく平和にはほとんど貢献しない。

しかし、スポーツを素材としたオリンピックという国際イベントは、世界の平和に対し、それなりの影響力を持つ政治的装置です。だからこそ、私たちの多くは、このイベントに妙にひきつけられるのです。

(以上)
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2018年02月09日 (金) | Edit |
3月24日(土)に西新宿で下記のセミナーを開催します。
前回(11月)は平日夜の開催でしたが、今回は土曜日の13時から。
女子限定(前回はそうだった)でもなく、男性も。
高校生以上の子どもさんと親子で、または高校生の参加もぜひ。
よろしくお願いします。

親子・高校生も
5000年を2時間でみわたす・大人のための
世界史「超要約」セミナー

●日時
2018年3月24日(土) 
13:00~15:30(12:45開場)

定員15名 予約制 

講師:このブログの著者・そういち
プロフィールは下記に

●会場
新宿・ノマドカフェ 「BASE POINT」(ベースポイント)
3Fイベントスペース
東京都新宿区西新宿7-22-3
*地図は下に

●参加費
1500円(学生1000円)
親子参加は2人で2000円(子どもさんが成人・社会人でも) 
当日支払い、フリードリンク付き

●お申込み・予約制です
メールにて so.akitaあっとgmail.com まで。(「あっと」は@に変換)
その際お名前(ハンドルネーム可)をお知らせください。
返信は翌日になることがあります。

イベント告知サイト・こくちーずからもお申込みできます。
こくちーず


会場(ベースポイント)地図
ノマドカフェ地図
JR新宿駅西口より徒歩8分
丸の内線西新宿駅より徒歩6分
大江戸線新宿西口駅より徒歩11分

ベースポイント
BASE POINT(会場)

***

●講師プロフィール
そういち:社会のしくみ研究家。1965年生まれ。企業勤務のかたわら社会科系の著作やセミナーを行う。
著書は『一気にわかる世界史』(日本実業出版社)のほか
『自分で考えるための勉強法』『四百文字の偉人伝』
(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン、電子書籍)など。
雑誌『プレジデントウーマン』(プレジデント社)2017年10月号の
「大人の学び直し 経済&歴史」特集では、世界史セミナーの記事を監修。

***

世界史の勉強がむずかしいのは、対象範囲が非常に広いからです。
膨大な国や民族が出てきますが、学校の教科書では、
それらをできるだけ幅広く扱おうとして詰め込みすぎています。

そこで、大人が世界史を学ぶ場合は、つぎのことが大切です。

①大まかな時代と出来事をおさえる
細かい年号や固有名詞にとらわれず、まずはざっくりと。

②それぞれの時代の中心的な大国をおさえる
世界史では時代ごとに繁栄した強国・大国があります。
古代ギリシア、ローマ帝国、中国の王朝、イスラムの帝国、大英帝国、アメリカ合衆国など……
それらを追いかけていくと、世界史の流れがつかめます。

以上の方針で、
古代から現代までの世界史5000年の流れを、
2時間で一気にお話しします。


本セミナーによって、アタマのなかの断片的な知識が
「ひとつの物語」としてつながっていくでしょう。
世界史の本を読むための基礎知識も養えます。

世界史は自然科学と同様に、
世界の成り立ちについての基本的な学問です。
また、政治・経済や美術など、さまざまな教養の基礎になっています。

どの分野の本を読んでも、世界史の知識があるのとないのとでは
理解が大きく違ってくるでしょう。

こんなふうに世界史は「役に立つ」ことも多いですが、
それ以前に知る喜びのある分野です。
世界史を学ぶ最大の効用は、単に「楽しいから」と言ってもいいのです。

「大人のための」世界史セミナーですが、高校生以上の子どもさんと親子で、
または高校生の参加もぜひ。
若い人にこそ、受験のためだけではない「大人の世界史」を。

プレジデントウーマン地図
世界史上の繁栄の中心の移り変わり
『プレジデントウーマン』2017年10月号より

(以上)
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2018年02月03日 (土) | Edit |
ビットコインのような今の仮想通貨は、自分では持っていませんが、重要なものだと思っています。

今は投機の手段としてのブームであり、それは一過性のものでしょう。最近のコインチェック騒動みたいなさまざまな不祥事が、これからもあるでしょう。技術的にもいろいろな変化があるはずです。

でもそういう短期的なことは別にして、数十年以上のスパンの長期でみれば、仮想通貨は、お金の歴史における世界史的な革新では、と思います。キワモノではないということです。

紀元前500年代にギリシアや中国でコインが本格的に流通しはじめたことや、西暦1000年頃の宋代の中国や1600年代以降の近代ヨーロッパで紙幣が使われるようになったことにも匹敵する革新なのではないかと。

この仮想通貨の技術で、決済(お金のやり取り)は、すごく簡便でローコストになります。巨大な組織による集中管理も不要です。

こういうことは一般に言われているわけですが、やはりその意義は大きく、いろんな使いみちがあるはずです。海外とのやり取りやスモールビジネスの決済に便利なのは明らかです。でも、それだけにはとどまらないでしょう。

今後は「投機対象」としてではない、「新しい決済手段」の技術革新としての仮想通貨の本来の価値のほうが、クローズアップされていくでしょう。そして、その価値を生かすための法制度などの社会的な枠組みをどうするのか、という議論が一層さかんになってくる。

そして、やがては仮想通貨の「価値」は「あたりまえ」になるはずです。

つまり、今の仮想通貨(もしくは仮想通貨的な技術)は、お金のデジタル化ということが、いよいよ本格的に実現する、そのスタートだと。

そもそも、コインにせよ紙幣にせよ、お金の技術革新によって登場する新しいお金は、みな「仮想通貨」だった、ともいえます。

コインは、それまでの青銅器文明で用いられた貨幣である金銀の粒やインゴット(かたまり)という「本来のお金」にかわる「仮想通貨」でした。しかし、コインという仮想通貨は社会に定着し、ふつうの、本来のお金になっていきます。

コインとは、額面などが刻まれ、権力や権威によって発行される金属の貨幣のこと。これは、それまでの金属の粒やインゴットにくらべ、決済の道具として簡便でした。粒やインゴットは、取引のたびに重さを天秤などで確認することが求められましたが、コインはそれが不要です。権力や約束によって、そのコインの価値(金額)が決まっているからです。

お札(紙幣)も、コインという「本来のお金」対する仮想通貨でした。デジタル技術ならぬ、当時の最新テクノロジーの「印刷」を用いた仮想通貨です。高額の取引のとき、コインを多く持ち運ぶのは重くて大変ですが、紙幣は軽くて便利です。紙幣もまた決済の簡便化をもたらしたのです。

昔は「兌換紙幣」(だかんしへい、金貨・銀貨という本来のお金との交換が保証されている紙幣)というしくみがありました。お札という仮想通貨をみんなに信用してもらうには、必要な制度でした。

しかし、今のお札は基本的に「不換紙幣」となりました。これはつまりお札が「本来のお金」に昇格したということ。

コインだって、もともとはその額面に相当する量の金銀などの「本来のお金」を含んでいる、という前提でした。しかし、のちには金銀の含有量は少なくなっていきます。つまりコインもまた不換紙幣的になっていきました。

でも、少ししか貴金属を含まないコインであっても、その価値を人びとは認め「本来のお金」として扱うようになっていったのです。

それならば仮想通貨も、いずれ事実上「本来の・本物のお金」になることが考えられます。

ただしそのときには、今のように比較的緩やかな規制でのもとで発行できるものではなく、国家権力の強い統制下におかれるのではないかと思います。

通貨発行は、公共性がきわめて高く、発行者に大きな利益をもたらし得る「ビジネス」です。国家は放っておかないです。ITによる電子的な通貨発行、つまり今の仮想通貨は、紙幣の印刷よりもコストの少ない、究極のビジネスになる可能性があります。

コインや紙幣にも、過去には比較的自由にいろんな主体が発行していた時代がありました。しかしその後、統制が強くなり、国家による独占の方向に進んでいったという歴史があります。

しかし一方で、ネット上の仮想通貨というのは、国家が統制しにくい面もあるかもしれない……それでも国家が本気になれば、わかりません。

このように、仮想通貨を「(あぶないかもしれない)儲け話」というのとは違う視点でみることも大事ではないでしょうか。ただし、今時点の仮想通貨はまだまだ発展途上であり、「本来のお金」とは相当な距離があることは、忘れてはいけないはずです。

(以上)
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2018年01月05日 (金) | Edit |
元旦に、NHKのドラマ「風雲児たち~蘭学革命篇~」をみました。みなもと太郎の歴史マンガの原作を、三谷幸喜による脚本でドラマ化したもの。

1700年代後半の江戸時代に、オランダ語の医学書「ターヘル・アナトミア」の日本語訳である『解体新書』を出版した杉田玄白(1733~1817)、前野良沢(1723~1803)らのお話。

『解体新書』は、日本初の西洋の学術的書物の翻訳でした。「ターヘル・アナトミア」に感動した玄白と良沢(江戸に住む、それぞれ異なる藩の藩医)が中心となって、3年半かけて苦労の末に翻訳書を出版した。1774年、明治維新(1886)の110年余り前のことです。

同書の翻訳を志したとき、玄白は「ABC」もおぼつかない初心者。それなりにオランダ語を学んでいた良沢も、数百語の単語がわかる程度。蘭和辞典などまだ存在しない。

書物の翻訳なんて、ほんらいは無謀なことでした。それでも彼らは成し遂げた。翻訳の経緯や苦労を、杉田玄白は晩年に『蘭学事始』という手記にまとめています。

『解体新書』によってヨーロッパの科学や学問が圧倒的にすぐれていることが日本で知られるようになり、一部の知識人によって本格的にヨーロッパの学問を吸収しようとする動きが活発化しました。「蘭学」の成立です。

「鎖国」をしていた当時の日本では、西洋ではオランダとだけ国交があったので、ヨーロッパの知識はオランダをとおして入ってきました。だから、西洋の学問≒オランダ(阿蘭陀)の学問、つまり「蘭学」ということでした。

NHKのドラマは、史実と脚色をおりまぜながら、『解体新書』が生まれる物語を、感動的に面白く伝えていました。元旦にふさわしい良いドラマでした。

現実的でプロデューサーとしてすぐれていた玄白と、翻訳作業の中心で一途な学者肌の良沢。異なる個性を持つふたりのコンビネーションや、異なるがゆえの対立や葛藤などもうまく描かれていました。

***

それにしても、なぜ『解体新書』『蘭学事始』の物語は、感動的なものとして広く知られているのでしょう?

見方によっては、たんに「西洋の本を翻訳しただけ」といえなくもない。なにか大きな新発見をしたわけではない。

翻訳者が歴史上の「偉人」「英雄」として語られ、これだけ多くの人に知られている、というのはじつに日本的なことなのではないでしょうか。

その日本的な発想とは、「自分たちの外側に世界の“中心”があり、その“中心”に学ぶことがきわめて重要である」という意識です。

そのような意識が、みんなの前提となっている。だからこそ、みんながすんなりと『蘭学事始』の物語に感動できる。

日本人にとって「中心に学ぶ」ことは、少なくとも飛鳥時代くらいからの、国ができて以来、最高に意義のある課題や仕事であり続けました。この考えは現代にいたるまで多くの日本人のなかに深くしみついているといえるでしょう。

玄白や良沢は「学ぶべき、新しい中心を発見した」ということになります。

それまでの中国にかわる「西洋」という新しい中心の発見。中国にかわる中心の発見は、日本の歴史上かつてない画期的なことでした。

玄白たちは医学のなかの解剖学的知識という、比較的白黒をつけやすい分野で、中国の医学書よりも西洋の医学書のほうが圧倒的にすぐれていることを発見したのですが、それはたんに医学だけにとどまらず、科学技術や文明全般において西洋が優越することを示すものでした。

玄白は『解体新書』の序文ともいえる「凡例」のところでこう述べています(酒井シヅによる現代語訳。講談社学術文庫『解体新書 全現代語訳』より)。

“思うにオランダの国の技術はひじょうにすぐれている。知識や技術の分野において、人力の及ぶかぎりきわめつくしていないものはない”

西洋の科学技術は圧倒的にすぐれている――のちの時代には常識であっても、玄白たちの時代には、まだ常識ではない、新しく過激な見解でした。

そして「異端」「危険思想」として弾圧される恐れもありました。だからこそ弾圧を受けないよう、玄白たちは手をまわしています。

たとえば、ドラマでも描かれていますが、将軍の奥医師を務める蘭方医の名家・桂川家の四代目であった桂川甫周(ほしゅう)に、『解体新書』の翻訳でそれだけの貢献はしていないにもかかわらず、「閲者」(監修者)という高い肩書きを与えたりしているのです。

“このようなかたちで彼(桂川)の名をあげておけば、いかにも『解体新書』は官許をうけて出版されたかのような印象を与えたから”ということです(赤木昭夫『蘭学の時代』中公新書)。

「西洋はすぐれている、学ぶべき新しい中心だ」――それが弾圧のリスクを背負いながら玄白たちが伝えた最大のメッセージでした。このメッセージは、その後の日本に重大な影響を与えたわけです。

やはり玄白たちの仕事は、たんなる「翻訳」を超えた、挑戦的・創造的なものでした。学ぶべきものを新たに発見し、それを選びとることは、見識や勇気の要る、難しいことです。

***

でもそのうち、日本人は『蘭学事始』の物語には、感動しなくなるかもしれません。

「外部である“中心”に学ぶことの重要性」という意識が薄れてきているように思います。

自分たちが中心になってきた、外部に学ぶべきことは少なくなった、むしろ自分たちが世界に発信する“中心”となるべきだ――そんな意識が最近の日本では強くなっています。日本の技術や文化を礼賛する言論やテレビ番組があふれ、外国へ出て本格的に学ぶ留学生が減少傾向だったりする。

一方で、主流派の知識人は欧米で権威を認められた学説や言論を輸入することには相変わらず熱心です。

欧米の権威を翻訳・輸入することは、たしかに重要で意義のあることです。でも、今の時代では弾圧される危険もない、ごく安全な行為です。江戸時代でいえば、国家公認の儒学をやっているようなもの。玄白のときのような挑戦的・創造的な感じとはちがう。

本気の、それこそ命がけの情熱をもって“中心”に学ぶというのが、今の日本では薄れているのかもしれません。

それは無理のないことだと思います。蘭学の時代のような創業期ではないのだから。そして、日本はたしかに先進国にはなったのだから。

でも、ほんとうに今の日本にはもう「蘭学」にあたるような、学ぶべき外部の技術や文化はないのでしょうか。

そんなはずはないでしょう。

たとえばインターネット関連や金融の分野。この分野では、自動車産業のような成功を、日本の企業は達成していないわけです。つまり、自動車産業に代表される近代工業の場合ほど、うまく“中心”であるアメリカに学ぶことができませんでした。

今のアメリカの経済や世界でのリーダーシップを支えているこれらの産業(ITや新しいタイプの金融)がアメリカで勃興したのは1980年頃からのことでしたが、その重要性を日本の主流の人びとが認識するには、ずいぶん時間がかかりました。日本人でも早くから認識していた人もいましたが、天下を取ることはできませんでした。

今でもインターネット関連の新しい産業や、従来型ではない金融の新しい動きに対して「あんなものは」というオジさんはたくさんいるし、その人たちの影響力は小さくない。

私には具体的には見当もつきませんが、今現在にも自分なりの「蘭学」をアメリカなどのどこかの外国に発見して、夢中で取り組み、日本に広めようとしている人がいるはずです。

そういう人たちが逮捕・処刑されることは今の時代ではないでしょうが、たいていの場合、社会の主流からは冷たくされたりバカにされたりされるはずです。

私も創造の最先端を担うなどということはできないとしても、せめて「蘭学」に挑んでいる人の足を引っ張るようなことはしたくないものです。その程度には創造的でありたい。

今回のドラマでも幕府の医術の主流だった漢方医が、『解体新書』を非難して邪魔をする場面がありましたが、ああいう側にはなりたくない。でも、よほどしっかりしていないと、今の日本だと私たちは創造的な挑戦をしている人たちの足を引っ張ってしまう恐れがあると思います。

停滞や衰退の兆しのある国というのは、そういうものです。だから、自覚が必要なのです。

たとえば、「民泊」のような欧米で始まった新しいサービスに対して、日本ではいくつかの自治体が積極的な規制をかけておさえようとしています。自治体は多くの住民の意向を汲んで、そうしているのです。

「住民」というのは、私たちのことです。ドラマ「風雲児たち」に感動した人でも、「民泊なんていうものが近所にできて、自分の生活に悪い影響がないか心配だ」と思う人がいるはずです。

民泊というのは、じつはそんなに重要ではないかもしれませんし、ほんの一例です。ただ、欧米などの海外で生まれ広まったいろいろなものが日本では広まるのに時間がかかりそうだという例は、ほかにもあるはずです。「タクシーにおける民泊」といえるウーバーのようなサービス(民間の一般車両の配車・旅客輸送)も、日本では規制によって本格的にはまだ始まっていません。

たぶん、そういうことが積み重なって、国は衰退していくのです。

『蘭学事始』の物語は、これからも日本人に重要なことを教えてくれるはずです。大事にしたほうがいいでしょう。その意味で、今回の正月のドラマは良かったと思います。
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2017年12月31日 (日) | Edit |
*この記事は12月4日に作成し、しばらくの間2番目の位置に掲示しました。

「そういちカレンダー2018」発売中!

歴史や科学などに関する記事がぎっしり詰まった、雑誌感覚の「読むカレンダー」をつくって販売しています。トイレの壁とか、家族や仲間が立ち止まって読むようなところに貼ってください。
周りの人との共通の話題や、「話のネタ」「考えるきっかけ」を得られるはずです。


2014年版から制作していて、今回で5年目。
このカレンダーづくりは、私にとって「1年のまとめ」のような活動です。

イラストも含めた原稿作成、編集レイアウト、さらに印刷まで自分でやっています。結構エネルギーを費やしております。

こういう、時間や手間のかかる「真剣な遊び」ができるのは、いろんな環境に恵まれているからこそ。今年もこのカレンダーを制作できたことに感謝。

そして、2018年版では、電子版(PDFファイル)を新たに制作しました。

このブログの著者そういちのアドレスに「電子版購入希望」とだけ送ってくだされば、「そういちカレンダー2018」のPDFファイルを返信いたします。お支払いはそのあとで。お名前はハンドルネームで結構です。
価格は300円(振込先の郵便振替または楽天銀行の口座などはメールにてご案内


そういちのアドレス:so.akitaあっとgmail.com
*返信に1~2日かかる場合があります

この電子版は、販売目的での複製・印刷は禁止しますが、無償でシェアするためであれば、複製・印刷・配布していただいて結構です。家族・友人・仲間で、データのかたちでも、紙に印刷したかたちでも、どんどんシェアしていただければ。そして、もしもさらに「これ面白い、うんと応援したい」と思ってくださったら、1口300円でそういちの口座(郵便振替・楽天銀行)に寄付していただくことも歓迎です。

この電子版は、2018年版の試みとして行っています。来年はどうなるかわかりません。この機会にぜひ。

記事の内容、購入について詳細は、以下に。

 *** 

我が家の壁に貼ってある「そういちカレンダー」。 
これは2014年版ですが、表紙のデザイン・紙質などは2018年版も同じ。

 カレンダー使用例 (2)

ただ、2018年版からはこれまでのA4版サイズをB5に変更。記事の分量などをややコンパクトにしました。でも「読み応え」は損なわないように……

これは2018年版の2月のページ。

カレンダー2018

【このカレンダーのコンテンツ】
①四百文字の偉人伝 古今東西の偉人を400文字程度で紹介
②名言 世界の見方が広がる・深まる言葉を集めました。
③コラム 発想法・社会批評・世界史等々
④知識 統計数値・歴史の年号・基本用語などを短く紹介
⑤各月の日付の欄に偉人の誕生日

これらの記事は、このブログの記事と私そういちの著作(『一気にわかる世界史』『四百文字の偉人伝』『自分で考えるための勉強法』)がおもな素材です。
 
【カレンダー仕様】 B5サイズ,全14ページ
ダブルループ製本、極厚口の上質紙(アイボリー)

【価格】1冊1000円(送料込み) 
10冊以上ご注文の場合、2割引きの1冊800円

【購入方法】
下記のメールアドレスまで「①お名前②お届け先住所③カレンダー〇冊」の3点を書いたメールをお送りください。

カレンダーの発行者である「そういち」のメールアドレスです。

メール送り先:so.akitaあっとgmail.com  「あっと」は@に変換

支払は、商品到着後。
ご注文があってから数日ほどで商品を郵送にてお届けします。
商品とともに代金振り込み先(郵便振替または楽天銀行の口座)のご案内をお送りします。


【電子版も発売】
このブログの著者そういちのアドレスに「電子版購入希望」とだけ送ってくだされば、「そういちカレンダー2018」のPDFファイルを返信いたします。お支払いはそのあとで。お名前はハンドルネームで結構です。
価格は300円 振込先の郵便振替または楽天銀行の口座などはメールにてご案内します。

そういちのアドレス:so.akitaあっとgmail.com
*返信に1~2日かかる場合があります

この電子版は、販売目的での複製・印刷は禁止しますが、無償でシェアするためであれば、複製・印刷・配布していただいて結構です。家族・友人・仲間で、データのかたちでも、紙に印刷したかたちでも、どんどんシェアしていただければ。そして、もしもさらに「これ面白い、うんと応援したい」と思ってくださったら、1口300円でそういちの口座(郵便振替・楽天銀行)に寄付していただくことも歓迎です。

(以上)
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2017年12月17日 (日) | Edit |
 新聞記事切り抜き

たまに、まとめて新聞記事の切り抜きをしています。もう20年近く続けていることです。私が購読しているのは日経新聞。

2週間~1か月ぶんくらいの新聞をまとめてざーっとながめて「これは」という記事を切り抜く。
切り抜きには、新聞紙の1枚目だけがカットてきる、専用のカッターを使う。ハサミやふつうのカッターを使って切り抜きをするのは、大変です。

切り抜いた記事は、写真のようにクリアファイルに突っ込んでおきます。

1か月で数十の記事を切り抜きますが、その数十枚は1枚のクリアファイルにおさまります。新聞紙は薄いので、コンパクトです。1か月で1枚のクリアファイルにおさまらない量の切り抜きは、やりすぎです。ふつうは使えません。

切り抜く記事は、少ないほうがいいです。1か月で数枚でも十分だし、むしろそのほうが生かせるでしょう。

そのクリアファイルは、カバンに入れて持ち歩いて、ときどき記事の1枚を取り出して読みます。

毎日のなかでも、新聞にはざっと目はとおしています。そのときには、切り抜きはしません。それをやると、多く切り抜きすぎてしまいます。時間がたってからながめたほうが、記事を厳選できます。

切り抜きのほとんどは、しばらくしたら捨ててしまいます。数か月以上の長期保存をする記事は、1か月でせいぜい2、3枚です。

今さら新聞の切り抜きかあ、と思う人もいるかもしれません。

でも、やっぱり新聞って、すごいものです。大新聞だと1000人~2000人規模の記者たちが、毎日取材して記事をつくっているのです。朝刊1冊は十数万文字、つまり単行本1冊分くらいの分量。それが毎日玄関先まで届けられる。

たしかに新聞には、いろんな限界や欠点もあるのでしょう。しかし、これだけの組織的な労力をかけてつくられている情報の集積は、貴重なものです。

少なくとも、私たちのようなふつうの人間が簡単に利用できるものでは、ほかには考えられない。利用しない手はない。きちんと使うと、常識や教養も身につくし、いろいろと考えるヒントが得られる。

「1か月に1度くらい、まとめて切り抜きをする」というのは、新聞を深く利用するうえでおすすめです。

これからはじめる人は「1週間に1度」のほうがいいかもしれません。「1か月に1度」だと、目を通すべき新聞がかなりの分量になって作業に何時間もかかってしまうので、大変です。

私は1か月分の切り抜きを、週末に3時間くらいかけて行います。そのときは、一気にいろんな話題に触れて、結構たのしいです。自分が賢くなった気になれます。ただし「いろいろあって新聞の切り抜きをさぼった」という月もあります。このように、多少いいかげんでもいいと思います。

ただし、やみくもに切り抜いても無駄です。

たとえば重大な・興味深い事件について、その経過を切り抜くみたいなことは、その分野の専門家ならともかく、一般人にとってはまったく無意味です。

あるいは「金融について勉強しよう」といったばくぜんとしたスタンスで、興味をもったもの、ためになりそうなものを切り抜く、というのでもダメです。たくさん切り抜きすぎて、収拾がつかなくなるだけです。こういうことは、私も経験済み。

私がおすすめするのは、「中長期のことを考えるのに役立つ記事を切り抜く」ことです。

この2~3年から数年ぐらい、あるいはそれ以上のスパンの世の中の動きを考えるのに参考になる記事。そんな「中長期」の動きにかんするデータや考察、おおまかな経過、基礎的な常識などがまとめられている記事。

そこで大事なのは「予想」「問いかけ」です。これは「こういうことが今おこっているのでは?」「今後、中長期的にはこうなるのでは?」といった自分なりの予想のことです。そのような「予想」「問いかけ」を持って切り抜きをするのです。

先日切り抜いた記事で、「世界のカネ1京円、10年で7割増」というのがあります。

記事にはグラフもありました。1990年ころからリーマンショック(2008年)まで世界のGDP総額と通貨供給量はほぼ一致していたのに、その後乖離がはじまって、2016年には世界の通貨供給量は、世界のGDP総額よりも16%多いのだそうです。世界の「カネ余り」ということを、わかりやすく示した記事。

こういう情報は、その分野に詳しい人には珍しくないでしょう。ネット上にもあるはず。でも、毎日毎日、受け身の状態で、こういう記事を手にすることができるのは、新聞のいいところ。信頼性もネットにくらべて高いので、引用したり典拠にしたりもしやすい。

そして、こういう記事は、市場や経済の短期的な状況とは異なる「中長期」のことを述べています。これを切り抜こうと思うのは、それなりの「予想」「問いかけ」があるからです。

その「予想」「問いかけ」を強化したり、深めたりする材料になるものを切り抜いているわけです。あるいは、予想に反するもの、反対意見などを切り抜いてもいい。

やっぱり、新聞っていいな、と思います。最近は「凋落」「衰退」をいわれているけど、なくなったら困ります。

(以上)
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2017年12月07日 (木) | Edit |
11月19日(日)の日経新聞で、こんな記事がありました。
見出しはこうです。

“歴史の教科書 龍馬が去る?”
“ガリレオも…高校の用語半減案”
“暗記→流れ学ぶ教育重視”


記事の冒頭には、こうあります。

“高校の日本史、世界史で学ぶ用語を現在の半分弱の1600程度に減らすべきだとする提言案を高校、大学の教員団体がまとめた。暗記項目を絞り、社会の成り立ちを流れで学ぶ歴史教育を重視する……教科書会社の対応が注目される”

記事によれば、今のおもな日本史・世界史の教科書には3400~3800の用語がのっているのだそうです。これは10年前とくらべ1割増で、1950年代の3倍弱。これを思い切って整理しよう、というわけです。用語が多すぎて、先生も生徒もうんざりしているのです。

“この提言案をまとめたのは高校、大学で歴史教育に携わる教員らでつくる高大連携歴史教育研究会(高大連)”という組織だそうです。私(そういち)は存じあげないのですが、この新聞記事や団体のホームページをみると、私も見聞きしたことのある学者のお名前などがあります。一定の影響力があるのでしょう。

その「削減案」の中身については、記事はこうまとめています。

“高大連は、「教科書本文に必ず載せ、入試でも知識として問える用語」を目安に、約1年かけて用語を精選。特に人名や文化に関する用語は、知名度が高くても歴史上の役割を考慮して大幅に減らした。「上杉謙信」「坂本龍馬」「ガリレオ・ガリレイ」「マリー・アントワネット」などは(教科書に載せるべき用語から)外れた”

このような検討、私も意味があると思います。

しかし、ほんとうは「半減」「○割減」以上のことを考えるべきです。既存の体系を一度置いて、ゼロから「限られた時間でぜひとも教えるべきことは何か」について考えるのです。

それによって用語の数は、ヒトケタ少なくなったり、何十分の一になったりする可能性があります。

学問や教育が進歩すると、知識の蓄積は膨らんでいきます。こんなに増えていって、どうなるんだろうと不安になるかもしれません。

しかし、その進歩が一定の高いレベルまで達すると、知識は整理されていくはずです。

膨大な知識が高いレベルの視点からまとめられ、かつて大事だと思われていた多くのことが、枝葉として位置づけられ、大きな幹が浮かびあがる。その結果、教育の場で教えるべきことがらも大幅に整理される。「幹」をまず教えよう、となるわけです。学問や教育の体系が洗練される、ということ。

手前味噌ですが、拙著『一気にわかる世界史』(日本実業出版社)は、徹底的に「ゼロベースから、多くの人が知るに値する情報だけを伝えよう」という姿勢で書きました。この本に出てくる用語(事件名や人物名など)は、教科書の数十分の一です。

ところで、この歴史教育にかんする新聞記事のヨコには“生物は4分の1に削減 日本学術会議指針”という記事がありました。“高校の生物では、重要用語を現在の2千から4分の1に減らすべきだとする指針を日本学術会議の生物科学分科会がまとめた”とのこと。

日本学術会議は、高大連よりも有力な権威です。
おそらく、自然科学の世界の認識のほうが、歴史研究・教育よりも一歩先をいっているのでしょう。

「4分の1」に削減、というならヒトケタ減らすのも可能でしょう。この数十年の生物学の急速な進歩や洗練を反映した動きだといえる。

「学問・科学の進歩による知識の洗練」という観点は、重要です。

生物学でおこっていることは、その良い例です。歴史学者や先生は、自然科学やその歴史にもっと目を向けたらいいはずです。でも、そこらへんはやや弱いのでは。ガリレオを教科書から外すなどという見解をみると、そう思います。

この話題はテレビのワイドショーでもとりあげれられていて、解説の歴史研究家の方が「私の推測だが、ガリレオについてはこれといった発見をしていないから、と考えたのでは」と述べていました。

いずれにせよ、ガリレオはそれほど重要ではない、ということでしょう。実験を通じて力学や地動説を確立した、つまり近代科学の扉をひらいた人物をそんなふうに評価するのは、やはりどう考えても無知か、歪んだ見識です。

科学の歴史についてそんな理解では、「学問・科学の進歩による知識の洗練」ということも、とうていわからないのでは、と心配になります。科学はいうまでもなく、現代の社会に根底から影響をあたえています。科学の歴史を少しは知らなければ、世界史がわかるはずもありません。

(以上)
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2017年11月30日 (木) | Edit |

 世界史セミナー
 11月27日セミナーの様子

先日27日、予定していた世界史のミナーを開催しました。
女子限定・5000年を2時間でみわたす・大人のための
世界史「超・要約」セミナー 
というもの。

ご参加のみなさま、ありがとうございました。お忙しいなか、1日の仕事や活動を終えてお疲れのところ来てくださって、うれしいかぎりです。
また、告知やご案内に対してお声がけくださった多くのみなさまにも感謝です。また開催しますので、よろしくお願いします。

今回は試みで「女子限定」としました。また、これまで私が行ったセミナーは土日中心でしたが、平日の夜にお勤めの方なども来ていただけるようにと新宿駅から徒歩圏の場所(西新宿)を会場としました。

今回のセミナーは、拙著『一気にわかる世界史』(日本実業出版社刊)をベースに、世界史5000年あまりの歴史の大きな流れを2時間でお伝えするというもの。

いただいた感想の中から。

たいへんわかりやすく整理された内容で面白かった”
“学校の歴史の授業では時間切れになりがちなので、全体を通してみるのは良い試みですね”
“大きな流れを学ぶことは必要ですね”

“2時間がとてもとても短い気がしました”
“頭のなかはアップアップ状態ですが、少なくとも大きなイメージができたのはとてもうれしい気分”
“世界史超要約2時間スペシャル、面白かったです。世界地図上でイメージがなんとなくできたことと、これからの(未来の)ことがなんだか見えてきそうな気がしました”
 

また、本セミナーではスライドを用いてお話しましたが、そのなかで世界史上の建造物や文化遺産もいろいろご紹介しました。そういう視覚的な情報も、こういうセミナーならではのこと。そこで、

“(自分が)建築物などに興味があるということに気づきました”

という方も。私も建築は好きですし、世界史のイメージを持つうえでは重要だと思います。

このセミナーのポイントは、やはり「5000年を2時間で」というところ。
上記の感想でも述べておられますが、学校の歴史の授業は多大な時間をかけ、くわしくいろんなことを取り上げます。だから、全体像がつかみにくいです。

拙著『一気にわかる世界史』へのアマゾンでのレビューでも、こう述べている方がおられました。

“「世界史を勉強しよう」と思っても、ギリシャ・ローマあたりで飽きてしまったり、世界大戦をやっているころにはルネサンスをすっかり忘れていたり...となかなか身につきませんでした”

分厚い本や1年かけて学ぶ学校の授業だと、たしかにそうなります。そして、現代史の頃になると時間がなくなってきたり、受験の本番シーズンになって、じっくり授業ができなくなってしまうことも。セミナーに参加された方の感想にもあった「時間切れ」です。

でも、レビューを寄せてくださった方は、拙著を読んで“今では世界史を3分で説明して、と言われてスラスラ説明できるようになりました”とのこと。

拙著について、別の方のアマゾンでのレビューでは、こうありました。

“中学高校の世界史の授業最初の2、3コマを使ってこの本(『一気にわかる世界史』)を読み進めていったら良いと思う。まず全体を把握して、それから1年かけて細かいところを学んでいけばいい”

今回の「2時間で5000年をみわたす」というのは、まさに「世界史の授業の最初の2、3コマ」にあたります。

まずは、ざっくりとした全体像を。
その「全体像」から、私たちは多くのことを得るでしょう。

世界史について、短時間で全体像を得ることのできる本や授業はまずないので、それをこのセミナーでは行っているわけです。

本セミナーは、今度は男子も参加していただけるかたちで、また西新宿で開催します(日程は未定ですが、遠からず)。

また、お声がけくだされば、あなたの街にもお伺いします(ブログの著者プロフィールに、私そういちのアドレスがあります)。それから、今回は大人向けでしたが、中高生にものみこみやすいように手直しして、親子でも聴けるセミナー、というのもできるでしょう。

みなさまにお会いできることを、楽しみにしています。

(以上)
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