2017年04月13日 (木) | Edit |
しばらくぶりですが、元気でやっております。

この1か月ほどで行ったことというと、まず家の中を整理・整頓しました。

本(雑誌含む)を500~600冊処分し、保存箱5~6箱ほどの書類・資料、着ていない洋服、使っていない文具・雑貨などの諸々のものを捨てました。また、妻は書道教室を主宰していて、この数年で書道関係の資料・紙類も増えたので、妻はおもにその整理を行いました。

処分した500~600冊の本というのは、もともと5000冊ほどの本があったので、持っている本の1割強といったところ。ほかのものについても、捨てたのはもともとの分量の1~2割ほどです。

捨てたといっても、「断捨離」というほどの劇的なものではありません。でも、明らかにもう要らないもの、「ときめかない」ものを捨てて、残ったものの置き場所をあらためて考えてそれなりの秩序で配置していく。ひとつひとつの引き出しや収納箱のなかまで、よく考えてものを収めていく。すると、家のなかに新しい活気や秩序が生まれてくる感じがします。

とくに本棚は、私にとって大切なもの。ぎっしり詰まっている本棚は、勉強やアウトプットの楽しみや生産性を損ないます。

本棚に空きがないと、新しい本(新しい知識やものの見方)を受け入れにくくなります。これは風通しの悪い状態です。理想的なのは、本棚の収容力の7割くらいの本が、自分なりの秩序で整理されて収まっている状態です。それだと、これまでの蓄積と新しい要素が、しっかりと関連性を持って並んでいて、「これは活用できる」という感じになるのです。

ただし、今回の整理でも、私の本棚は「7割」の状態にはなりませんでした。「ほぼ100%ぎっしり」が「8割5分くらい」になっただけです。それでもよしとしましょう。

そのような整理を、2~3年に1度は行ってきましたが、今回のは10年に1度の、かなり踏み込んだものになりました。それでもまだ「やりたい」と思っている整理の8割くらいが済んだところです。残り2割の整理は、ぼちぼちやっていきます。

このような整理整頓は、今の自分・近未来の自分に合わせて、家のなかの状態をカスタマイズしているのです。

今回の整理をする以前の我が家は、数年前の私たち夫婦の関心や活動に基づいて、持ち物とその配置が決まっていました。しかし、それはもう現状に合わなくなってきたので、改定を行ったのでした。

これは、『七つの習慣』という自己啓発本のベストセラーにあった言い方だと、「刃を研ぐ」ということです(斧の刃をしっかり研ぐ木こりは、生産性が高い)。

自分のたいせつな道具や環境やコンディションを入念に整えるということ。それは、人の活動を支える大事な要素です。まあ、『七つの習慣』によれば、「刃を研ぐ」ことは、何年かに1回の大掃除ではなく、毎日のようにこまめに行うべきことなのですが。

今回の整理整頓で生まれた環境は、少なくとも今後2~3年の私の活動を支えてくれるはずです。

というわけで、斧の刃を研いでばかりいるのは、もうこのへんにして、樹を切る作業に戻ります。

(以上)
スポンサーサイト
2016年04月24日 (日) | Edit |
 今日は1日家にいます。この何か月かは土日はだいたい家にいて読んだり書いたり,ということが続いています。自分なりに大事な「仕事」をしていたのです。つい先日,それはひと段落しました。

 家にこもる日は,3食を家でつくって食べて,風呂に入って,寝るわけです。妻が用事や仕事ででかけていることもよくあるので,食事は自分でつくることも多い。今日は朝は妻がつくり,昼は私がつくった。さっき小腹が減ったので,ひとりでチャーハンをつくって食べ,インスタントコーヒーを飲みながら少しテレビをみていた。夜は私がつくる予定です。豚バラ肉とキャベツがあるので,それで何か。缶ビールも1本あるから,飲もう。

 そんなふうにしていると,家にこもって自分の好きなようにふつうに暮らせることがじつに心地よく,ありがたいと感じます。
 食べたくなったらすぐにチャーハンをつくって食べることができるのは,すばらしいことだ。
 震災の被害で,そのような暮らしが壊されてしまった方たちが大勢いるわけです。少しでも早く復旧が進むことを祈ります。

 ***

 今の朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』の主人公は,雑誌『暮らしの手帖』を創刊した大橋鎮子(1920~2013)をモデルにしています(ただし,大幅にフィクションが入っている)。大橋は,編集者の花森安治(1911~1978)とこの雑誌をはじめたのでした。この朝ドラを,ウチではほぼ毎回みています。

 『暮らしの手帖』は,昭和23年に創刊されました。まだ戦後間もない混乱期で,食糧やさまざまな物資の不足に多くの人びとが苦しんでいました。そんな時代に,ただ生きるだけでなく,毎日の「暮らし」をいかに美しく充実させていくかをテーマにした雑誌をつくった。戦争によって,史上空前の規模で多くの暮らしが破壊されたあとすぐに,です。雑誌の作り手には,どれほど強い想いがあったことでしょう。

 2~3年前に馬場マコト『花森安治の青春』(白水社,2011)という本を読みました。読んだあと,このブログでその本を紹介したこともあります。花森安治には少し関心があり,伝記類を2~3冊読みました。

 『花森安治の青春』では,花森の少年時代から,『暮らしの手帖』を創刊し,軌道に乗せるまでを描いています。花森については,酒井寛『花森安治の仕事』や,唐澤平吉『花森安治の編集室』などもありますが,青年期に焦点をあてているのがこの本です。

 花森は太平洋戦争のころ,「大政翼賛会」という,戦争のための国家的組織の宣伝部で,メインのプロデューサーとして働きました。

 それを「戦争協力」として非難する向きもあります。
 ことさら弁護するつもりはありませんが,この本を読んでいて,「とにかくこの人は,置かれた状況で精いっぱい生きようとしたんだ」と感じました。

 花森や彼がスカウトした人材が入ってくるまで,大政翼賛会の宣伝は低レベルなものでした。また,組織全体としても,偉そうにするばかりで,ロクに仕事をしないのがあたりまえの状態。

 そのなかで,花森たちだけが,せっせと「創造的な,いい仕事」をしていた。
 そうせずにはいらなれなかった,という感じがします。
 ただ,それは「戦争」という忌まわしい目的に奉仕するものだった。

 終戦直後の1945年の暮れに,34歳の花森は,大橋鎮子(当時25歳)と,出版社を立ち上げます。大橋は,当時花森が仕事をしていた小さな新聞社の社員でした。大橋が社長で,花森が編集長。そして,3年ほど後に『暮らしの手帖』が生まれます。

 若い2人は,焼け跡のなかで,まさに精いっぱい生きようとしたのです。そして今度は,権力におしつけられた課題でなく,自分でえらんだ「目的」や「価値」にむかっていったわけです…

 やっぱり人というのは,とんでもない悲惨や破壊のあとでも,新しく何かをつくるために動けるのだ,と思います。少なくともそういうことができる人が必ずいる。とくに若い人の中に。『暮らしの手帖』をつくったときの大橋も花森も若かった。若くなくても,少なくとも体が動くなら,暮らしを取り戻して,先を少しでも良くするために,何かをしていくのでしょう。

(以上)
2015年09月09日 (水) | Edit |
  そういち文庫9月はじめ

 ※9月10日に「目録」に注釈をつけるなど,大幅に加筆しました。

 何度も話題にしていますが,妻が近所のビルの一室を借りて,書道教室をしています。
 その教室の一画に,大人や子どもの生徒さんが息抜きできるような本を並べています。
 書道教室の小さなライブラリー(上の写真)。生徒さんには貸し出しもしています。
 私の名をとって「そういち文庫」と呼んでいます。

 前回記事で紹介した,この教室での小さなイベント(8月22日開催)では,妻のミニ書道教室のほか,私がそういち文庫のさまざまな本についてご紹介するということも行いました。
 そのとき「そういち文庫図書目録」も,作成・プリントしてお配りしています。

 今回は,この目録をご紹介します。
 そういち文庫の蔵書は,百数十冊ほど。
 これを「書道」「住まい・暮らし」「芸術・美しいもの」「少し昔の暮らし」「おはなしの絵本」「ものがたり」「世界・宇宙を知る」「伝記・人物」「ことばを味わう」の9つのカテゴリ―に分けました。

 これらの本は,私や妻の蔵書もありますが,それは全体の4分の1くらい。大部分は,この「文庫」のためにあらためて買ったのです。

 職場や公共の場など,人の集まるところに「小さな文庫」が設けられていることがあります。しかし多くの場合,「本の捨て場所」になっています。つまり,誰かにとって「要らなくなった本」ばかりが寄贈されて並んでいる。それでは魅力のある本棚にはなりません。
 ほんとうはやはり,「これは」という本を選んで並べていかないといけない。

 そのためには,「文庫」のために予算を組んで本を購入していくことでしょう。自分の蔵書を寄贈するにしても,「要らなくなった本」ではなく,「人にすすめたくなる,自分にとって大事な本」にすべきではないかと。

 そういうことを,そういち文庫ではできるかぎり行ったつもりです。

 もちろん予算には限りがあります。だから,ブックオフやアマゾンの古本で安いのをみつけたら,買うということを行ってきました。
 何万円かかかっているのですが,そのコストとしては,ずいぶんと楽しい遊びだと思っています。私はやはり本が好きなのでしょう。イベントに来てくださった方から,「そういちさんにとって本は人生そのものだと思った」という感想をいただきました。そうなのかもしれません。
 
 ***

そういち文庫図書目録
2015年9月9日現在


1.書道
書道教室なので,まず書道の本。中国や日本の古典を知る展覧会の図録や,書道の世界では定評のある雑誌『墨』,最近の雑誌の書道特集など。天石東村『書道入門』は,文庫サイズの「カラーブックス」の1冊。古い本でコンパクトですが充実した内容だそうです(妻から聞いた)。『とめはねっ!』は,高校の書道部を題材にしたマンガ。青年コミックスですが,子どもも借りていきます。

和様の書 (展覧会図録)
書の至宝 日本と中国 (展覧会図録)
書聖 王羲之 (展覧会図録)
雑誌『墨』 九成宮醴泉銘を書く 芸術新聞社
雑誌『墨』 三蹟とその時代 芸術新聞社
雑誌『墨』 100人で百人一首 芸術新聞社
雑誌『墨』 かなの原点古今和歌集 芸術新聞社
雑誌『Pen』 書のチカラ CCCメディアハウス
雑誌『サライ』 書に親しむ 小学館    
すぐわかる日本の書 可成屋(編) 東京美術
書百話 榊莫山 ハルキ文庫
書道入門 天石東村 保育社
知識ゼロからの書道入門 武田双雲 幻冬舎
かな連綿字典 竹田悦堂監修 雄山閣出版
新毛筆書写事典 續木湖山編書 教育出版
とめはねっ!(一)~(三) 河合克敏 小学館
脳トレ書道トレーニングブック 青山浩之 二玄社


2.住まい・くらし
住宅,インテリア,料理,ライフスタイルなどの本。90年代後半から2000年代(ゼロ年代)の少し前の本が中心です。今どきの暮らしやインテリアの本の「元祖」「大先輩」みたいな本がいくつかあります。大橋歩さんや建築家の中村好文さんの本などはまさにそう。あと,その筋の「大先輩」といえば,料理家の辰巳芳子さんの本。それから,昭和の巨匠建築家・吉村順三の『小さな森の家』。吉村の自邸の山荘を紹介したビジュアル本で,「究極のすまい」をみることができます。その一方で,最近の売れっ子の松浦弥太郎さんや伊藤まさこさんの本は,この文庫でも人気です。なお,こういうユーザーの反応については,ほとんどは現場にいる妻からの報告や貸し出し記録によるものです。『団地リノベ暮らし』には,我が家が載っています。

カーサブルータス特別編集 誰にでもわかる20世紀建築の3大巨匠 マガジンハウス
カーサブルータス特別編集 理想の暮らしが買える店 マガジンハウス
住宅巡礼 中村好文 新潮社
家族をつくった家 芦原太郎 インデックスコミュニケーションズ
住まい 萩原修監修 プチグラパブリッシング
ふつうのおいしい 大橋歩 マガジンハウス
100の基本 松浦弥太郎 マガジンハウス
松浦弥太郎の仕事術 松浦弥太郎 朝日新聞出版
美しい椅子2  島崎新ほか 枻文庫
味覚旬月 辰巳芳子 ちくま文庫
少ないもので贅沢に暮らす 石黒智子 PHP文庫
団地リノベ暮らし アトリエコチ アスペクト
LIFE 飯島奈美 ほぼ日刊イトイ新聞
ブルータス特別編集 合本居住空間学 マガジンハウス
大橋歩の生活術 大橋歩 マガジンハウス
家事のニホヘト 伊藤まさこ 新潮社
朝ごはんの献立 飯島奈美 池田書店
小林カツ代のあっという間のおかず 小林カツ代キッチンスタジオ 大和書房
日本のごはん,私のごはん ホルトハウス房子 文化出版局
暮らしのヒント集 暮しの手帖社
新版 家を買いたくなったら 長谷川高 WAVE出版
あしたのお弁当 飯島奈美 主婦と生活社
普段着の住宅術 中村好文 王国社
小さな森の家 吉村順三 建築資料研究社
暮しの手帖別冊 暮らしのヒント集  暮しの手帖社
自分の仕事をつくる 西村佳哲 晶文社


3.芸術・美しいもの
いわゆる美術の本は少ないです。『謎ときフェルメール』や岡本太郎の本くらいでしょうか。「この世にあるいろんなきれいなもの」ということで,宝石図鑑や,あるいは『寿司ガイドブック』とか。『寿司・・・』は美しい写真で,ひととおりの寿司ネタを紹介した,コンパクトな図鑑。これを子どもが借りていったりします。ついこのあいだは『宝石の写真図鑑』を小学生の女の子が借りていきました。大人向けの本で,記述は細かい字でむずかしいのですが,きれいな宝石の写真をたのしめるはずです。大人の方が木村伊兵衛の写真集を借りていかれたこともありました。

土門拳が伝えたかった日本 土門拳 毎日新聞社
木村伊兵衛の昭和 木村伊兵衛 筑摩書房
ふしぎなえ 安野光雅 福音館書店
THE SMAP MAGAZINE マガジンハウス
やきものの見方ハンドブック 仁木正格 池田書店
伊藤まさこの雑食よみ 伊藤まさこ メディアファクトリー
謎解きフェルメール 小林頼子 朽木ゆり子 新潮社
宝石の写真図鑑 キャリー・ホール 日本ヴォーグ社
ブルータス特別編集 新説・あなたの知らない岡本太郎 マガジンハウス
寿司ガイドブック 英語訳付き 池田書店
北東北のシンプルをあつめにいく 堀井和子 講談社


4.少し昔のくらし
昭和の暮らしや風景をテーマにしたものが中心。『昭和の暮らし博物館』は,昭和二十~三十年代の暮らしを取りあげたもので,借りた大人の方も「なつかしかった」とのこと。『小さな料理の本』は「大草原の小さな家」((インガルス一家のお話し)に出てくる,さまざまな料理をレシピとともに紹介したもの。

東京 消えた街角 加藤嶺夫 河出書房新社
小さな家の料理の本 バーバラ.M.ウォーカー 文化出版局
写真が語る 子どもの100年 村上義雄編 平凡社
昭和のくらし博物館 小泉和子 河出書房新社


5.おはなしの絵本
おもに私が小さいときに読んだ,定番・古典が中心。そういう昔からの本が,今も新刊書店で買えるのですね。今の子どもたちにとっても,これらの本は結構「おなじみ」のようです。「ちびくろさんぼには,2があるんだー」などという反応も(この文庫にはないけど,3まであるよ)。このカテゴリ-は,貸出がわりと少ないのですが,子どもたちはちょこちょこ手にとっているようです。書道のお稽古の前後のわずかな時間で読んでしまうことも。このあいだのイベントでも,小学2年生の男の子が『おしいれのぼうけん』をあっという間に読んでしまいました。つい先日は小学3年の女の子が『プーのはちみつとり』を借りていきました。プーさん好きなんだそうです。アニメとはまたちがった絵の雰囲気などたのしんでもらえれば。

やまのこどもたち 石井桃子 岩波書店
山のクリスマス ベーメルマンス 岩波書店
きかんしゃやえもん 阿川弘之 岩波書店
ちいさいおうち バートン 岩波書店
ぐりとぐら なかがわりえこ やまわきゆりこ 福音館書店
ぐりとぐらのうたうた12つき なかがわりえこ やまわきゆりこ 福音館書店
だるまちゃんとてんぐちゃん 加古里子 福音館書店
プーのはちみつとり ミルン 岩波書店
じてんしゃにのるひとまねこざる レイ 岩波書店
おしいれのぼうけん 吉田足日 日畑精一 童心社
いたずらきかんしゃちゅうちゅう バートン 福音館書店
からすのぱんやさん 加古里子 偕成社
ちびくろさんぼ バンナーマン 瑞雲舎
ちびくろさんぼ2 バンナーマン 瑞雲舎


6.ものがたり
これも,大半は私が子どものときに読んだものから,分野のバランスを多少は考えて選びました。児童文学のほか,手塚治虫や星新一も。『鉄腕アトム3』は,男の子に人気。「地上最大のロボット」という,浦沢直樹『PULUTO』の原作が入っている巻です。伊藤計劃『ハーモニー』やアンディー・ウィアー『火星の人』のような,ふだんSFを読まない人にもオススメのSFも。このカテゴリーは「文字が多い」と,子どもには敬遠されがちです。『ゲド戦記』も『二年間の休暇(十五少年漂流記の完訳)』も『大草原の小さな家』も,まだ誰も借りていない。でもこのあいだは小学4年の女の子が『魔女の宅急便』を借りていきました。あれは,アニメもいいのですが,原作がやはりすばらしいのですね。

星の王子さま サン=テグジュペリ 岩波書店
古事記物語 福永武彦 岩波書店
ドリトル先生アフリカゆき ロフティング 岩波書店
ホビットの冒険(上・下) トールキン 岩波書店
三国志 羅貫中 駒田信二訳 講談社
海底2万マイル ベルヌ  講談社
ABC殺人事件 完訳版 クリスティ 偕成社
くまのパディントン ボンド 福音館書店
魔女の宅急便 角野栄子 福音館書店
二年間の休暇 ベルヌ 福音館書店
大草原の小さな家 ワイルダー 福音館書店
ゲド戦記Ⅰ 影との戦い ル=グウィン 岩波書店
火の鳥 未来編 手塚治虫 小学館
ハーモニー 伊藤計劃 ハヤカワ文庫
シュナの旅 宮崎駿 アニメージュ文庫
火星の人 アンディ・ウィアー ハヤカワ文庫
おーい でてこーい 星新一 講談社
ボッコちゃん 星新一 新潮社
タイムマシン 完訳版 ウェルズ 偕成社
悪魔くん千年王国 水木しげる ちくま文庫
鉄腕アトム3 手塚治虫 サンコミックス
いやいやえん 中川李枝子 福音館書店
メトロポリス 手塚治虫 講談社
エルマーのぼうけん ガネット 福音館書店
さあゆけロボット 大石真 理論社
宇宙人のしゅくだい 小松左京 講談社
赤毛のアン モンゴメリー 講談社
だれも知らない小さな国 佐藤さとる 講談社


7.世界・宇宙を知る
宇宙の広がり,生命進化の歴史,世界の国ぐに,国旗,日本歴史の絵本,哲学入門,科学入門,動物図鑑等々・・・子どものころの私が一番好きなカテゴリー。極大の宇宙から素粒子までさまざまスケールの世界を描いた『パワーズ オブ テン』や『せいめいのれきし』などは,ぜひ手にとってほしい。『せいめいのれきし』は,『ちいさいおうち』の作者のバートンによるもの。1960年代の作で,著者はすでに亡くなっていますが,新しい科学知識をふまえた改訂版がつい最近でたので買いました。「恐竜の絶滅の原因は,地球への巨大隕石落下(それによる環境の激変)である」などといったことが盛り込まれているのです。あとは,加古里子の『宇宙』『海』。ひさしぶりに読んで,その仕事の幅の広さや編集の能力にあらためて感動。イベントで加古さんのことを紹介したところ「この人は,〈だるまちゃん・・・〉とか〈どろぼうがっこう〉とか好きだったけど,こういう科学の本もあるんですね」という方もいらっしゃいました。

絵でみる日本の歴史 西村繁男 福音館書店
自分でトコトン考えるための勉強法 秋田総一郎 楽知ん研究所
「アメリカ社会」入門 コリン・ジョイス NHK
「ニッポン社会」入門 コリン・ジョイス NHK
アンネの日記 完全版 アンネ・フランク 文春文庫
ころりん 宮地祐司ほか 仮説社
江戸時代入門 落合大海 国土社
絵とき 世界の国旗 板倉聖宣 仮説社
本のれきし5000年 辻村益朗 福音館書店
考える練習をしよう マリリン・バーンズ 晶文社
地球家族 マテリアルワールドプロジェクト TOTO出版
健康と環境 落合大海 秋田総一郎 小峰書店
恐竜のすべて ジャン=ギィ・ミシャール 創元社
1たす1は2にならない 三浦つとむ 明石書店
歴史の見方考え方 板倉聖宣 仮説社
せいめいのれきし 改訂版 バートン 岩波書店
宇宙 加古里子 福音館書店
変体仮名とその覚え方 板倉聖宣 仮説社
子どもにウケるたのしい雑学 坪内忠太 新講社
北斗七星と北極星 板倉聖宣 国土社
小学館の図鑑 NEO POCKET 動物  小学館
星座をみつけよう レイ 福音館書店
海 加古里子 福音館書店
宇宙の地図 観山正見 小久保栄一郎 朝日新聞出版
パワーズ オブ テン フィリップ・モリソンほか 日本経済新聞出版社
イームズ入門 イームズ・デミトリオス 日本文教出版


8.伝記・人物
最近の子ども向けの伝記は,比較的新しい研究成果などもふまえていることが多く,情報が豊富です。大人が読んでも勉強になるはずです。伝記を借りていくのは,今のところ女の子だけ。偉人への興味は,女の子のほうが強いのか?でも,サンプルが少ないですからね・・・

エジソン 桜井信夫 ポプラ社
二宮金次郎 小暮正夫 ポプラ社
ベートーベン 加藤純子 ポプラ社
ヘレン・ケラー 砂田弘 ポプラ社
ライト兄弟 早野美智代 ポプラ社
マザー・テレサ やなぎや・けいこ ポプラ社
ほんまにオレはアホやろか 水木しげる 新潮文庫
アンネ・フランク 加藤純子 ポプラ社
三百文字の偉人伝 秋田総一郎 楽知ん文庫
乗りものの発明発見物語 岩城正夫編 国土社
動物の発明発見物語 中村禎里編 国土社
ディズニー 三浦清史 講談社
大人のための偉人伝 木原武一 新潮選書


9.ことばを味わう
偉人・達人の名言集や,ほんの少しですが,詩集など。小学生の男の子(鬼太郎ファン)が,水木しげる『がんばるなかれ』を借りていったりします。『ソロー語録』は,『森の生活』のソローの著作から「名言」を抜粋したもの。借りていかれた方からは「ソローの本は長々としていて読みにくいところがあるけど,これは短くていい。こんなのが出てたんですねー」とのこと。『絶叫委員会』はヘンなタイトルですが,歌人の穂村弘さんが,巷や日常でであった,奇妙な・でも魅力的なさまざまなコトバ(穂村さんは「天使的な言葉たち」と言っている)を集めて語ったもの。

がんばるなかれ 水木しげる やまのん
花森安治 灯をともす言葉 花森安治 河出書房新社
黒澤明「生きる」言葉 黒澤和子 PHP
絶叫委員会 穂村弘 筑摩書房
ソロー語録 ソロー 文遊社
毎月新聞 佐藤雅彦 毎日新聞社
宮沢賢治詩集 谷川徹三編 岩波文庫
自選 谷川俊太郎詩集 谷川俊太郎 岩波文庫
通勤電車で読む詩集 小池昌代編著 NHK

(以上)
2015年08月24日 (月) | Edit |
 8月22日に「奈昌書道教室オープンルーム+小さなライブラリー」という,ささやかなイベントを行いました。

 私の妻(奈昌さん)は,近所のビルの一室を借りて書道教室を主宰しています。そこを半日開放してどなたでも来ていただけるようにする。奈昌さんによるミニ書道体験(残暑見舞いハガキを筆で書く)と,私そういちによる「そういち文庫紹介」のトークも行いました。教室の片隅にある小さなライブラリーの紹介です。

  リンク: 奈昌書道教室 

 この日の参加は大人6人と子ども2人。
 あとは主催者2名。

 奈昌書道教室の生徒さんとそのご家族のほか,このブログを通して関心を持って来てくださった方も。
 みなさん,ありがとうございました。

 10時すぎに,ミニ書道体験教室が始まりました。

  奈昌教室オープンルーム・奈昌さんのレクチャー

  奈昌教室オープンルーム・奈昌さんお手本を書く
 
 1時間ほどかけて,残暑見舞いのハガキに取り組みました。

 そのあと,私そういちが,教室の片隅にある小さなライブラリー「そういち文庫」の紹介。
 この小さなライブラリーは,教室に来る大人や子どもがちょっと楽しめるように,と思ってつくったのです。

  オープンルームそういち文庫紹介


 つぎつぎと本を取り出して紹介していくうち,本が山積みに。トークの内容については,いずれ記事にしたいと思います。

  そういち文庫紹介・山積みの本


 トークのあと,自由に本を手にとったり,書道のつづきをしたり。

  小さなライブラリーの本を手にとって

  101_1528.jpg

  
 文庫の本も,小さな本棚ですが,この日に向けてだいぶ増強しました。本棚がほぼ一杯になりました。

  2015年8月のそういち文庫・本を増やした

 13時半ころに,お客さんがみなさん帰られて,会は終了。

 ***

 私たち夫婦,なんだかたのしいことをさせてもらっています。
 とにかく,みなさん,暑い中来てくださって,感謝です。

(以上)
2015年08月08日 (土) | Edit |
 前回の記事でご紹介した奈昌書道教室で,「オープンルーム+小さなライブラリー紹介」のイベントを開催します。
 8月22日土曜日の9:00~14:00。

 私の妻は,地元の多摩市で書道教室を開いています。そこを半日ほどオープンにしてどなたでも来ていただけるようにします。
 「書道ミニ体験教室」と,この書道教室に「おまけ」として設置されている,子どもも大人も楽しめる小さなライブラリー(そういち文庫)のおすすめ本の紹介などを行います。あとは,お好みで本を読んでいただいたりして,流れ解散。

 書道教室は,奈昌さん(なしょう,私の妻)が講師で,「おすすめ本紹介」は,私そういちが担当します。

 大人も子どもも参加いただけます。
 夏休み後半の「暇を楽しむ時間」を,みなさまと過ごせたら。

 ご参加お待ちしております。

 ※奈昌書道教室のブログでも同様の告知をしています。
   
    リンク: 奈昌書道教室 
 
 ***

奈昌書道教室・夏のオープンルーム+小さなライブラリー

 奈昌書道教室では,8月22日に,半日ほど教室を開放して
 小さなイベントを行います。
 大人も子どもも,どなたでもご参加いただけます。


  奈昌書道教室・夏のひととき
  最近の奈昌書道教室

〇日時 2015年8月22日(土) 10:00~14:00

〇場所 奈昌書道教室(京王線・小田急線永山駅 徒歩7分)

〇内容・時間割
 9:00  会場オープン
 
 10:00~10:40  書道ミニ体験教室(by奈昌)
               残暑お見舞いのハガキを筆で書く!
 
 10:50~11:20  書道教室の小さなライブラリー
               おすすめ本紹介(byそういち)

奈昌書道教室には,小さなライブラリーがあります。 100何十冊ほどですが,大人も子どもも楽しめる,選りすぐった本の中から,その一部をご紹介。

 11:20~       自由時間→流れ解散
               
本を読んでいただいてもよし。書道の続きをしたり, 子どもさんなら絵を描いて過ごしたり。あんまりさわがしくしなければ,おしゃべりも。「飲食オーケー」のコーナーも設けますので, 飲み物やおやつなどお持ちいただいても結構です。

 14:00 終了

〇参加申し込みなど
1. akita.nashoあっとまーくgmail.com(あっとまーくは@に変換) 秋田奈昌 まで
   
 「オープンルーム参加」「氏名」を明記してメールをお送りください。くわしい場所などのご案内をいたします。

2.できるだけ事前に申し込みをいただければと思いますが,当日のとび込み参加も大丈夫です。 (ただし書道ミニ体験教室は,参加人数に限りがあります)

3.参加費 100円(「書道ミニ体験教室」参加の場合のみ)

  奈昌書道教室・夏のひととき (2)
 
  書道教室の小さなライブラリーで本を読む帽子の子
  書道教室の小さなライブラリー

(以上)
2015年08月03日 (月) | Edit |
 このところ更新が途絶えていましたが,再開です。
 元気でやっていますが,ブログのほうへ時間や気持ちを向けられない状態が続きました。

 最近「おもしろいなー」と思って取り組んでいることのひとつに,「そういち文庫」というものがあります。
 妻がウチの近所で書道教室を運営していて,そこに小さな「家庭文庫」「学級文庫」のようなものを用意したのです。文庫の主催者である私の名をとって「そういち文庫」。
 
 妻は「オフィス・教室可」の集合住宅の一室を借り,子どもや大人に書道を教えています。
 その教室の一画に本棚を置いて,書道教室に習いに来てくださるみなさんが自由に手にとって気晴らしができるような本を並べました。貸出しもしています。1回に1冊2週間まで。

 リンク: 奈昌書道教室

 教室や,本棚の様子。メインの本棚(下の写真のうち2つめ)は,テラバヤシ・セッケイ・ジムショの寺林省二さんがDIYで製作してくださったもの。

  奈昌書道教室2015年7月

  そういち文庫本棚2015年7月

  そういち文庫本棚ズーム2015年7月

  そういち文庫本棚ズーム2・2015年7月

 教室には大人も子どもも通ってくださっています。
 だから「大人も子どももたのしめる本」を並べようと思いました。

 書道教室ですから,まず書道関連の本。
 「建築・住まい」「暮らし・料理」関係は,おもに大人向け。

 その中に,『地球家族』のような世界の国ぐにの暮らしを写真で紹介した本や,土門拳や木村伊兵衛の写真集やフェルメールを解説した本のような美術系のものも少し。伊藤計劃の『ハーモニー』や,最近読んで面白かったアンディ・ウィアー『火星の人』といった「普段SFを読まない人も楽しめるSF」も。「昔を懐かしむ」類の本として,小泉和子『昭和のくらし博物館』や加藤嶺夫の写真集『東京 消えた街角』なども。

 子ども向けは、『ぐりとぐら』『ちいさいおうち』『ちびくろさんぼ』『きかんしゃやえもん』のような,みんなが知っているものがおもに並んでいます。少し上の子には『エルマーのぼうけん』とか,さらに上の子には『魔女の宅急便』や岩波少年文庫の何冊か。
 おもに私が子どものときに読んで,今みても「これはいい」と思うもの。だから,大人もたのしみやすいはず。
 私は子どもの本に詳しいわけではないので,「自分の体験をベースにしたセレクト」でいこうと思いました。

 子どもの本は,物語系が多いですが,加古里子(かこさとし)の『宇宙』やバージニア・リー・バートン『せいめいのれきし』のような「宇宙や世界を知る」本も。子ども向けの偉人伝も何冊か揃えました。

 マンガも少し置いてます。手塚治虫『火の鳥 未来編』とか『鉄腕アトム』の朝日ソノラマ版の第3巻(地上最大のロボット,浦沢直樹の『PLUTO』の原作)とか,水木しげる『悪魔くん』とか。
 あとは書道マンガの川合克敏『とめはねっ!』(全14巻)の最初の何巻か。

 これらの本は私の家から持ってきたものものありますが,ブックオフやアマゾンの中古や新刊書店であらためて買ったものが大半です。つまり,文庫のためにあえてそろえた本が中心なのです。
 
 こういう「文庫」をつくるにあたって,「文庫を本の捨て場所にしない」ということは大事です。公共施設や職場などにある小さな「文庫」のなかには「要らなくなった本をみんなで持ち寄って」というかたちでつくられたものがあります。でもそれだと,充実した本棚にはなりにくい。

 今,そういち文庫には120~130冊ほどあります。
 じつにささやかな蔵書です。今後も多少は増やしていきますが,スペース的にも200冊くらいがひとつの限度かと思います。

 でも,それなりにセレクトしたものであれば,わずかの蔵書でもたのしい文庫がつくれるのではないかと。
 書道教室の気晴らしコーナーとしては,それでいいのではないか。

 そういち文庫の本を読む子どもたち。
 書道のお稽古の前と後に10分~15分のあいだ,ちょっと読むくらいです。稽古が終わって,親御さんが迎えにくるまでの間とかです。わずかの時間ですが,それでも「ちょっと何かに触れる」というのはいいのだと思います。15分の読書は,子どもにとってはそれなりの内容のある時間です。

  奈昌書道教室・床に座って読書

  奈昌書道教室・読書する男の子

  そういち文庫で本を読む帽子の子

  二月堂で読書する女の子

 一番下の,女の子が向かっている座机は,家具職人の真吉(しんきち)さんの作です。書道でよく使う伝統的な座机に「二月堂」というのがあるのですが,それをベニア板製のモダンなかたちにしたオーダーメイド。塗装は墨汁を塗っています。
 本来は書道をする机ですが,「読書用」としてもこれがお気に入り,という子がいます。写真は,硬筆(鉛筆書き)の書道のお稽古の様子ですが。

 文庫をはじめたのは,今年の3月から。
 貸出しもしていると述べましたが,この4か月余りで30冊弱の貸し出し実績があります。利用は子どもが中心ですが,大人の方も借りておられます。

 書道教室の「おまけ」の,100何十冊の小さな文庫としては,まずまずの繁盛ぶり。

 自分が選んだ本をお客さんに手にとってもらうと,ある種のコミュニケーションや交換をした気持ちになります。

 本の貸し出しの実績や、妻から聞いた,みなさんが手にとって読んでいる様子などから,いろいろな発見もありました。こういう「文庫」は,私のような本好きにはじつにたのしい遊び・活動です。これを通じての「発見」など,またご報告したいと思います。

(以上)
2015年03月11日 (水) | Edit |
 昨日の記事(すぐ下にあります)で,3月21日のオープンハウスの告知をしました。
 「この日,家でお待ちしていますので,みなさん遊びに来てください」というもの。

 ウチの特長は,古い団地をリノベしたこと,本が何千冊かあること,などでしょうか。

 本棚の一画に「そういち文庫おすすめコーナー」をつくりました。
 ウチじゅうの本棚のあちこちから「みんなで楽しめそう」と思える本を集めて並べたものです。
 オープンハウスで来てくださる人に,とくに手にとってもらいたい本です。
 これです。

  そういち文庫2015年3月

 前回(2014年11月)にオープンハウスをしたときには,このコーナーは今の半分ほどの本棚2段でした。
 今回は4段に拡大。

 暮らし,インテリア・建築,エッセイなどの,「軽い」傾向のものが多いですが,世界史,文明論,哲学の古典のような,ややハードなものもあります。
 この4段のスペースは,ウチの本棚の縮図です。

 最近,妻が部屋を借りて書道教室を開設したので,そこにも「そういち文庫」をつくりました。こちらは蔵書が数十冊ほどの,ごくささやかなもの。子どもの生徒さんが来るので,半分以上は児童書です。貸出しもしています。

  書道教室のそういち文庫
 

 こんなふうに,「こうしたらどうだろう」「こう並べたらいいかな」などと,家の中をいじって遊ぶのは,大好きです。

 で,こちらの狙いどおりに,子どもたちが本に目をとめて手にとってくれたりする。中には本を借りていく子もいる。これはほんとにうれしくて,たのしい。私は子どもたちにじかに会ったことはないけど,それでも子どもたちとコミュニケーションをしているのだと感じます。

 私は,身のまわりをいろいろと整えたり,しつらえたりして,毎日をたのしくしていきたい。
 本棚のことは,その一部です。

 ***

 4年前の大震災で,おおぜいの「身のまわり(あるいは身体そのもの)」や「毎日をたのしく」といったことが,無残に破壊されてしまいました。そこから今も立ち直っていないケースが,多くあることでしょう。
 

 震災から1,2か月たったころ,どこかのテレビ局で,被災地を励ます主旨の大きなコンサートをやっていました。そのなかで聴いた,エレファントカシマシというバンドの曲「悲しみの果て」(1996,作詞・作曲 宮本浩次)が印象にのこっています。

 その歌い出しは,こう。

  「悲しみの果てに 何があるかなんて 
  俺は知らない 見たこともない」


 で,このときとくに心に響いたのが,後半のこの歌詞。

  「部屋を飾ろう コーヒーを飲もう 
  花を飾ってくれよ いつもの部屋に」

   
  部屋を飾ったり,コーヒーを飲んだりする,たくさんの暮らしのよろこびが,この震災で失われてしまった。
  
  ウチの本棚をさわりながら,身まわりのささやかなことを「いいな」「たのしいな」と感じながら,エレカシの歌や,震災直後にそれを聴いたときの感覚を思い出しました。
 そう思ったところで,だから何なんだということなのかもしれませんが,自分なりの「黙とう」のような感じです。

(以上)
2015年03月10日 (火) | Edit |
 しばらく更新が途絶えておりましたが,再開です。
 いろいろあって,気持ち的にブログに向かうことができませんでしたが,ひと区切りつきました。
 それで,何かしたくなりました。

 「オープンハウス」をしようと思います。3月21日土曜日(春分の日)に。
 (くわしい案内は下記にさせていただきます)

 ここでオープンハウスというのは,「その日は,みなさんウチに遊びに来てください」ということです。

 古い団地をリノベした我が家をみてもらってもいいし,あと何千冊かの本があるので,それらを好きに手にとってもらってもいい。ウチに来て「景色や居心地がいい」と言ってくださる人もいるので,ぼんやりただ居てもらってもいい。

 ではご案内です。

 昭和の公団(そういち宅)オープンハウスのお知らせ

 ●日時 2015年3月21日(土,春分の日)
       開始11時 終了17時 
       その時間のあいだ好きなときに来て,好きなときにお帰りください。

       そういちがお待ちしています。
       このブログの読者の方,ぜひ遊びにいらしてください。

 ●場所 そういち自宅 東京都多摩市,京王・小田急永山駅徒歩5分

       参加連絡のメールを頂いたら,
       返信で地図を添付し,住所などをお知らせします。
       今回は集合・お迎えはなしです。
       地図をみて各自がそういち宅までおいでください。
       道に迷ったら,そういちまでお電話を。

 ●参加費 無料 
       もちろん,おみやげなどのお気遣い無用です。

 ●お茶などはある程度ご用意しておきます。
       お弁当やおやつを持ってきて,
       食べていただくことができます。

 ●今回はとくにイベントは行いません。
       ただし,できれば「おすすめの本」を1冊お持ちください。
       その本のことなどお聞かせください。

 ●申込み方法 下記まで「参加申込み」のメールをお送りください。
       メールのタイトルは「オープンハウス申込み」
       ・お名前 ・何時ころいらっしゃるか
       をお知らせください。
    
       メール送り先 so.akitaあっとgmail.com (あっとは@に)

   ***

   オープンハウス2

  オープンハウス6

 上の写真は今年11月に行った,我が家でのオープンハウスの様子です。
 計十数人が来てくださいました。

 このときは,ウチのリノベを手がけた建築家・寺林省二さんをお招きしてミニ講演を行いました。
 今回は,そういうイベントは行いません。「素オープンハウス」でいきます。

 前回のオープンハウスは盛りだくさんでたのしかったのですが,本をじっくり眺めたり,のんびりしゃべったりする時間は十分にはとれませんでした。そこで,今回はイベントなしでのんびりやってみてはと思ったのです。

 でも,オープンハウスの先達である寺林さんのお話だと「イベントなしでオープンハウスをしても,なかなかお客さんは来ない」とのこと。春分の日で,お彼岸などの予定が入っている方も多いはず・・・来てくださる方がどれだけいるか?

 でも,今ぜひやってみたいのです。
 どうせその日は家にいますので。
 もしも,参加ゼロでも「1人で家でのんびりしていた休日」になるだけのこと。

 前回のオープンハウスもそうだったのですが,来てくださるとしたら私のお友達が大部分でしょう。
 前回参加してくださった方,前回は日程があわなかった方,しばらくお会いしていなくて「こういう機会だから,そういちの家にちょっと遊びに行ってみようかな」という方,ぜひおいでください。

 もちろん,ブログを通して私を知ってくださった方が来てくださるなら,たいへんうれしいことです。
 友人の家に遊びに行くと思っていただければ。

 みなさまのご参加・ご連絡,お待ちしております。

(以上) 
2015年02月14日 (土) | Edit |
 最近,妻が部屋を借りて書道教室をオープンすることになり,その準備を手伝っています。

 *リンク: 奈昌書道教室ブログ 教室の詳細・入会などについて(2月28日付記)

 妻は,ある書道団体で師範の免状を持っていて,カルチャーセンターで子どもや大人に教えています。
 そのかたわら,自分が主宰する教室も行ってきました。
 といっても,不定期に場所を借りてイベントをしたり,限られた人数で自宅で教えたり,といったものです。

 ただ,この「自宅で教える」活動について,つい最近になってご近所で問題とされました。

 我が家は団地なので,「教室を自宅で行うのは団地の規約(住居用以外での使用禁止)に反している」ということでした。誰かわからないのですが,ご近所のある方が管理組合に「問題だ」と言ったらしい。管理組合の理事長名で,「規約に反しているので,やめるように」という主旨の文書が届いたりもしました。

 このあたり,書きたいこともあるのですが,今回はやめておきます。

 結局,自宅で教えるのはやめて,別の場所をさがすことにしました。
 そして,かなりの冒険とは思いましたが,専用の部屋を借りて,本格的に書道教室を開くことにしたのです。

 妻が不動産屋さんへ行って物件をさがしたのですが,限られた予算のなかで「教室可」の部屋というのは,ウチの近所では多くないようでした。

 23区内などの都会だと,マンションでも「オフィス・教室可」という物件はかなりあるでしょう。しかし,私たちの住む多摩地区の郊外では,それは例外的です。とくに「教室」はむずかしいようです。最初に相談した不動産屋さんは「教室」と聞くと,「それはちょっと・・・」と困惑した様子だったといいます。2件目の,契約した不動産屋さんは丁寧にいろいろ案内してくれましたが。

 どうも「郊外」というところは,「住む場所」と「仕事や営業をする場所」をはっきりと区分することを,とにかく大事にしているようです。両者が混在したり隣り合ったりすることは断固許さない,といったらいいでしょうか・・・そういう雰囲気を今回はひしひしと感じました。

 かといって,都会で部屋を借りるわけにはいきません。妻の教室にはすでに限られた人数とはいえ,生徒さん(子どもと大人)がいるのです。その人たちが通える,ウチの近所でないといけません。
 また,マンション以外の,本格的なオフィス・店舗物件だと,予算オーバーです。

 それでも,どうにか場所がみつかりました。
 我が家の最寄駅から数分のところにある,1970年代に建てられた,コンクリート造りの古い店舗兼集合住宅。その一室が「教室可」とのこと。ほかにも「教室可」の集合住宅の部屋を2つほど紹介されましたが,日当たりの良さや内装の雰囲気などから,ここに決めました。窓が2方向にある角部屋。もとは和室だった壁や天井をペンキで白く塗った,3畳のキッチン+9畳ほどのスペース。

 ここ2~3週間で,賃貸契約をして,備品や家具などをそろえたり,教室を開く準備をしてきました。
 といっても,あまりお金は使えない。時間的にも急いでいる。かなりのものは,中古品や家にあるものを持ってきたのです。それでも,ビニールのフローリング風の床がイヤでカーペットをしつらえ,新品の家具もいくらか買ったので,小さな書道教室としては贅沢をしてしまったのかもしれません。

 妻のやっていることを「手伝う」という感じではなく,まさに自分の事業のような気持ちでした。

 そうやって,だいたい出来上がったのが,つぎのような「教室」です。

  ※写真を最新の状況のものに更新しました(2月22日)
  奈昌書道教室・準備中

  奈昌書道教室・準備中2

  奈昌書道教室・本棚コーナー

  書道教室の小さな本棚コーナー
  小さな本棚。書道関係の本のほか,大人や子どもがたのしめる(かもしれない)本を数十冊,ウチから持ってきた。「そういち文庫」です。本棚好きなので,2枚の写真を。

 最初はがらんとした,かなりさびしい部屋でした。
 でも,場所というのは,家具などのモノを持ち込んでいくと,そこに命が吹き込まれます。
 今,この部屋はだいぶ「元気」になってきました。でも,まだまだ。

 もうすぐ,生徒さんたちが集まるようになります。
 そうなると,ほんとうに生き生きとした場所になってくるはずです。
 そのときが,たのしみです。

(以上)
2015年01月06日 (火) | Edit |
  ガスストーブ

 2年近く前に,我が家のガスストーブを紹介した記事を書きました。
 今回は,その再録とプラスアルファの話を。

 ***

 上の写真は,我が家のガスストーブです。ウチのメインの暖房。
 9年前,ここに引っ越してきてはじめての冬に買いました。6万数千円ほどしました(値段の話も,あえてさせていだきます)。
 東京ガスのショップで売っていたものです。リンナイ製。
 
 この手のタイプは,売り手の位置づけでは「家庭用」よりも,「業務用」です。最大で20畳くらいを温めることができ,集会所や教室などでの使用を想定しています。「家庭用製品」のカタログでは,後ろのほうに小さく載っているだけ。
 東京ガスに買いにいったときも,まずファンヒータータイプをすすめられました。

 でも,姿かたちが好きで,こっちを買いました。ずんぐりしたところが,なんとなくかわいい。
  
 古い団地の特徴のひとつに,ガスコンセントが多い,ということがあります。
 我が家(1978年竣工の公団)にも,床に設置されたガスコンセントが,ほぼ各部屋にひとつづつ,合計3つあります。

 エアコンが広く普及する前の時代の設計なので,「暖房のメインはガスストーブ」という考えがあったのでしょう。

 夜,我が家のリビングは灯りをおさえめにしています。
 ほの暗い部屋でガスの炎をみていると,なごみます。

 写真では,やかんでお湯をわかしていますが,網をおいて,お餅や魚を焼くこともあります。 
 ガスストーブは,「団地の暖炉」ですね。

 ***

 ガスストーブは,ほんとに餅がうまく焼けます。

 台所のガスレンジで餅を焼くと,黒く焦げたりするのですが,ストーブの上で焼くと,こんがりキツネ色になるのです。
 強い火で遠くから焼くのが,いいみたいです。

   ストーブで餅を焼く

 いいかんじで焼けてきた。

  餅が焼ける

(以上)
2014年11月30日 (日) | Edit |
 昨日11月29日,我が家でオープンハウスを開催しました。
 
 築30年の古い団地をリノベして住んでいます。
 狭い団地としては,かなりの量の本が並んでいる。
 そこを1日オープンにして,私の友人やはじめてお会いする方に来ていただき,たのしんでいただこうというもの。

 全体は2部構成。
 第1部は「オープン本棚」。「本棚をみて,自由に本を手にとってもらう」というもの。
 第2部は「団地リノベ」がテーマ。我が家のリノベの設計を手がけた建築家・寺林省二さんと私そういちのミニ講演など。

 第1部,第2部あわせ13人の方においでいただきました。(あとは,私そういち夫婦と寺林さん)。
 同じ市内の方が数人。ほかの都内や神奈川からの方が数人。最も遠い方は静岡から来てくださいました。

 参加者は私たち夫婦の知り合いの方が多くを占めますが,(数え方にもよりますが)5人ははじめてお会いする方。ブログを通してこのイベントを知った,あるいは「知り合いの知り合い」といった方々です。

 みなさま,ありがとうございました。

 たのしい,にぎやかな1日となりました。
 狭い団地に大人が10何人も集まると,さすがに「人口密度が高い」と感じます。
 でも,静かに本をみたり語り合ったりですから,「さわがしい」ということはない。

 印象的だったことのひとつに,第1部の「オープン本棚」で行った,「参加者それぞれが,自分のオススメの本を1冊持ち寄って紹介する」という企画があります。

 これが,いろんな発見に満ちていました。
 それぞれの方には,それぞれの関心や世界がある。だから「あなたの関心を教えて欲しい」という,このような企画を行うと,いろんな新しい世界を知ることができる。そのことを実感しました。

 今回は「速報」(といってもやや遅くなりました)ということで,詳しい報告はまた今度。
 とりあえず,当日の様子の写真でいくつかご紹介して,今日は終わりにします。
 ではまた。

 オープンハウス7

 オープンハウス5

 オープンハウス10 (2)

 オープンハウス6

 オープンハウス2

オープンハウス4

(以上)
2014年11月17日 (月) | Edit |
 このまえの土曜日は,11月29日のオープンハウスに向け,本棚の整理や掃除をしました。
 天気が良く,絶好の掃除日和。

 オープンハウスについては,こちらの記事をご覧ください。

 妻が窓拭きやベランダまわりなど,たいへんなところはやってくれました・・・
 私もいろいろ細かいところを拭き掃除。

 それから,本棚の整理。
 この日のテーマは,荒れ放題になっていた玄関の前の本棚を整理することです。

 この本棚には,ハウツー本やビジネス書,大型本ではない住宅・建築関係,雑学やカルチャー系,エッセイなどを突っ込んでいます。ここ2~3年あまり整理しておらず,ほんとうに雑然と「本を突っ込んでいる」感じになっていました。
 そんな本棚の中身をきちんと並べ直すのです。
 その作業の様子。

 玄関の本棚整理中

 整理がすんだ本棚。

 整理した玄関の本棚
 
 本棚の整理は,かなりの集中力が必要で,疲れます。
 でも,できあがってくると,いろんな発見があって,たのしい。

 「こんな本もあったなー」 「これ,また読みたいな」ということもあります。

 それから,分類・配列しているうちにみえてくることもある。
 「このテーマ・系統の本を,これだけ持っていたんだ」
 逆に「これしかなかったんだ」ということも。

 また,あるカテゴリーで並べていると,
 「この本とこの本は自分の中では,じつはつながっていたんだ」という発見もあります。
 ものごとのあいだの関連を発見するのは,たのしい。

 それぞれの「カテゴリー」に名前をつけてみるのも面白い。
 どういう意識で,自分がこれらの本を読んできたか,わかります。
 
 自分の頭の中の地図や枠組みに沿って並べなおした本棚は,すごく「有用」なものにみえます。
 大げさにいうと,自分なりの「データベース」「百科事典」に思えてくる。
 ろくに整理していなかったときと,明らかにちがいます。
 
 本棚の全体としての中身は同じなのに,並べ方で変わることを実感しました。

 本棚の整理,おすすめです。

 ***

 朝からはじめた作業がひと段落して,お昼にしました。
 ベランダでおにぎりと漬物。

 気持ちのいい1日でした。

 ベランダでお昼

(以上) 
2014年10月28日 (火) | Edit |
 築30数年の古い団地をリノベした我が家。
 近く,我が家のオープンハウスを下記の内容で開催いたします。
 「オープンハウス」とは,家を開放して,希望する方にお見せすること。

 つぎのような「2部構成」で行います。
 第一部・第二部のどちらかに参加するもよし,両方に参加するもよし。

 ***

「昭和の公団」オープンハウス

 開催日:2014年11月29日土曜日
 場所:このブログの著者そういちの自宅(東京都多摩市内の団地)
     申込み方法・集合場所などのご案内は,この記事の末尾に
 参加費:無料

     
〇第一部 オープン本棚  11:00~13:30(途中のお帰り自由)
  リノベした我が家のあちこちにつくりつけた本棚。
  そこにある本(5000冊くらいあります)を自由に手にとってご覧いただきます。
  私そういちが,ご案内・解説いたします。

〇第二部 団地リノベ見学+建築家寺林省二さんミニ講演 13:30~15:30ころ
  我が家の団地リノベについて詳しく見学。
  設計者である建築家・寺林省二さんが解説してくださいます。
  皆で見学したあとは,寺林さんと私そういちによるミニ講演。
  リノベの体験談や考え方などについてお話しします。質疑応答・座談会も。

〇参加申し込み方法
  下記の内容で
  so.akitaあっとgmail.com のアドレスまでメールをお送りください
  (「あっと」は@)
  ・メールのタイトルは「オープンハウス参加」
  ・お名前   
  ・「第一部のみ参加」「第二部のみ参加」「両方参加」のどれであるか
   お書きください

   お申込みへの返信で,さらに具体的な集合場所などの
   ご案内をさせていただきます。
   集合場所は多摩市内の最寄駅。
   そこから徒歩5分ほどで「オープンハウス会場」です。
   第一部:11:00集合  第二部:13:30集合

〇その他のこと
  ・「第一部・第二部両方参加」の方は,お弁当などご持参ください。
   それを我が家で召し上がっていただくということで。
   お茶・コーヒーはありますが,食事はご用意していないので・・・

  ・第一部・第二部とも,お子さん連れでのご参加もオーケーです。

  ・定員は第一部,第二部それぞれ15名(10月31日追記)
      
 はじめての方も,そういちのお友だちの皆様も,どうぞおいでください。
 お待ちしております。

 ※リンク:寺林省二さんのブログ「日々」
      ・・・記事のなかに今回のオープンハウスのことや
        そういち自宅の写真へのリンクがあります

 ※リンクその2:くらしとどうぐの店musubiブログ
      ・・・今回のオープンハウスを紹介していただきました(11月13日追記)
   
  ***
 
 2012年10月に開催した我が家のオープンハウスの様子

  オープンハウス その4

  オープンハウス その3

(以上) 
2014年10月25日 (土) | Edit |
  ミニマムな書斎のイメージ

 今日は天気のいい週末ですが,家のなかで遊んでいます。

 上の写真は「ミニマムな書斎(最小限書斎)」のイメージです。
 家のなかにあるものを組みあわせて,「お遊び」「仮のもの」としてつくってみたのです。
 「なかなかいい」と思います。

 今私は40代のおわりですが,若いころから「読んだり書いたりする場所」に関心を持ってきました。20年かけてに段階的に「設備」を拡充していった結果,現在の「団地の書斎」ができました。家のあちこちにつくりつけた本棚には,何千冊かがおさまっています。

 これは,これでいいのです。
 私は自分の「団地の書斎」が気にいっています。

 さらに「せっかくだから,これをオープンにしてほかの人と楽しめるようにできないか」などとも考えています。「オープンハウス」「オープン本棚」のイベントです。これは11月29日土曜日に,東京・多摩市の我が家で開催します(詳細の告知は次回の記事あたりで)。

 モノを抱え込むこと,設備を備えることは,それはそれで楽しい。
 ただし,自分にとって愛着のあるものを持たないと,「楽しい」ことにはならないでしょうが・・・

  書斎と本棚
  団地の書斎 狭いがミニマムとはいえない

 ***

 その一方で,「そんなに多くのモノがなくても,読んだり書いたりはできる」とも思います。
 「ミニマムな書斎」があれば,なんとでもなる。
 そのイメージを,具体的な「絵」にしてみたのが,いちばん上の写真です。

 「デスク」は,無印良品の折りたたみのローテーブルで,5000円くらいのもの。
 「本棚」は,これも無印のパルプボードボックスで,1000数百円。
 あと,ニトリで買った1000円くらいのテンピュール(低反発素材)の座ぶとん。

 「蔵書」は厳選した愛読書が何十冊かあるだけ。あとは電子書籍か,図書館で。紙の資料も,この写真くらいの最低限のファイリングは行うが,できるかぎり電子化する(本棚に入るくらいの小型のスキャナーがあればいい)。

 ファイリングは,ボックスファイルに,クリアファイルを数十冊立てておけば,かなりの書類が整理できる。
 机のうえには,パソコン以外はペン立てひとつがあるくらい。
 あとはタブレット端末。プリンターはあってもなくてもいい。

 こういう「ミニマムな書斎」は,快適だと思います。
 「身軽さ」や「すっきりした気持ち」を味わえるでしょう。
 うまく使えば,相当な生産性を発揮することができるはず。
 パソコンやインターネットのおかげです。

 知的なエネルギーを持っている人(とくに若い人)のなかには,すでにこの写真のような書斎を使って元気に活動する人もいるでしょう。

 これから「書斎」を持ちたいと思う人は,「まずはこのくらいで十分」ということです。パソコンや蔵書を除くと数千円のコストで,機能的な書斎を構築することができるのです。

 私もいつか「ミニマムな書斎」で,読んだり書いたりしているかもしれません。それも悪くないですね。蔵書や資料の電子化が,納得のいくかたちでできるなら,それもいい。
 そのときは積極的に「シンプル」「機能性」「快適」といったことを追求したいと思います。

 そして,「今持っているものがなくたって,身軽に楽しくやれる」とイメージすると,「自由」を感じます。モノに執着することからくる不安や苛立ちがやわらぐのです。

 私の場合は「書斎」でしたが,それぞれが自分の関心のあることで「ミニマム」を考えてみるといいと思います。「ミニマムな台所」「ミニマムなワードロープ」「ミニマムなオーディオまわり」など。

  関連記事:ファイリングの本棚

(以上)
2014年10月19日 (日) | Edit |
 古い団地をリノベした我が家。
 家の本棚のあちこちには「なごむもの」を置いています。
 たとえば,こんなものです。
 
  ネコとウサギと馬

  多面体サイコロとお手玉

  多面体サイコロ

  エッフェル塔と象さんとカバ

  ミー

  ソ連製マグ

  地球儀と豆本と瓢箪

 いかにもゆるい感じの,値打ちのなさそうなものばかりです(^^;)
 たしかに,これらの多くは数百円以内で買いました。あとは,もらったものや実家にあったもの。
  
 お手玉は,母がつくったもの(中にアズキが入っている)。
 エッフェル塔は,友だちのフランスみやげ。
 カラフルなマグカップは20数年前にいただいた,今はなきソ連製。
 20面体サイコロは,子どものころから実家にあった。
 ひょうたんは,亡父がつくったもの。

 2000~3000円した「高額」のものもあります。
 青いガラスのうさぎ,青のカバ,地球儀はそう。これは,少数派。

 でも,こういうものでも,たまに眺めたり手にとったりすると,なごむのです。
 お客さんとのコミュニケーションも生まれます。

 エッフェル塔をはじめてみた子どもは,たいてい関心を示します。「これなあに?」「なかに何がはいってるの?」「エッフェエルとう,っていうんだよね」などとといいます。
 お手玉は,子どもはもちろん,大人も「なつかしいね」などといって,手にとったりします。

 多面体のサイコロは,もともとは大小をヨコに並べていましたが,お客さんの誰かがいつの間にか写真のようにタテに重ねて置いていて,以来その置き方をしています。

 小さなネコやウマを,大人でも子どもでも「かわいい」といってくれることがある。
 大人は見過ごすような小さなゾウ(カバの背にのせている)も,子どもはちゃんと気が付いて,いじくったりする。

 ***

 若いころは,よけいなものを身のまわりに並べるのは,好きではありませんでした。
 でも,10年くらいまえから「よけいなもの」をぽつぽつと並べるようになりました。
 そして,「よけいなもの」でなく「なごむもの」になったのでした。

 本や雑誌で紹介されている「ステキな暮らし」をしている人たちにも,影響を受けました。

 たとえば,10年ほど前に買い,今も読みかえす『大橋歩の生活術』という本には,大橋さんの自宅に並べてあるさまざまな雑貨やアートや置物や拾ってきた石などの写真がありました。

  大橋歩さんの本から (2)

  大橋歩さんの本から

 大橋さんはイラストレーターで,1960年代から活躍する大御所。
 「ステキな暮らし」系の大先輩みたいな人です。
 写真にあった品々は,いかにも「センス」や「美」を感じます。
 お値段もそれなりものが,あることでしょう。

 
大橋歩の生活術 (Magazine House mook)大橋歩の生活術 (Magazine House mook)
(2001/06)
大橋 歩

商品詳細を見る

 私がしているのは,そういう「大先輩」な人の模倣ですね。
 大衆的な・ささやかな模倣。
 団地にふさわしい,チープで「ゆるい」もの。
 それで,いいのだと思います。

 ***

 「それでいい」というのは,「自分なりのことをすればいい」ということですが,それだけではありません。
 「文化とか,人間のすることは結局は模倣だ」ということもあるのです。

 現代の私たちが「ステキな暮らし」系の本や雑誌で目にする,家のなかの「なごめるもの」のギャラリーはみな,昔の巨匠の模倣だからです。数十年以上前の,創造の最先端にいたアーティストのしていたことに,直接・間接に影響を受けている。

 そんな「昔の巨匠」の代表格に,チャールズ&レイ・イームズがいます。おもにミッドセンチュリー(1940~60年代)に活躍したデザイナーです。
 下の写真は,イームズの自宅の本棚です(『ブルータス』2011年7月15日号より)。

  イームズの本棚
 
 さっき,大橋歩さんの自宅に飾ってあるものに「センス」や「美」を感じる,と書きました。
 これは,あくまで「今どき」の感覚です。
 少し昔の一般的な感覚だと,ああいうものは「何がいいの?」「まるでおもちゃだね」ということになるはずです。

 そんな古典的な「美」や「アート」の価値観を打ち破って,それまで「ガラクタ」とみなされていたモノに積極的な価値を見出し,自宅に飾る。その飾り方も,おもちゃ箱をひっくり返したようなもの。伝統的な「陳列」のイメージではない。

 イームズは,そういう「革新」のさきがけ(少なくともその1人)でした。

 名もない民芸品やおもちゃを,彼らは愛しました。
 これは,最初のうちはじつに「異端」で「新しい」ことだったのです。

 数十年前には,世界の最先端を行く偉大なクリエイターのしていたことが,その後より広い範囲のアーティストや「高感度」な人たちのあいだに伝わり,それを団地のオジさんがささやかにマネをする。
 くりかえしますが,文化というのはそういうものです(^^;)

 関連記事:イームズの仕事

(以上) 
2014年10月15日 (水) | Edit |
 ウチは,古い団地をリノベしたもので,そこにいくつもの本棚をしつらえました。
 そこに何千冊かの本があります。
 
 それらの本のうち「これはオススメ,手に取ってほしい」というものをセレクトして,本棚の一画や「特設コーナー」に並べる,ということをしています。つい最近はじめました。

 このセレクトコーナーを「そういち文庫」と呼んでいます。
 こんな感じです。

そういち文庫

そういち文庫 (2)

 そして,今日のことですが,ウチへ遊びにいらした妻のお友だちが,そういち文庫の本を手に取っておられたとのこと。
 「この本,私も買おうかと思ってたのよね」「これが団地リノベの本ね」などとお話ししながら。

 私は仕事で,その場にいませんでしたが,妻が写真に撮ってくれていました。

 そういち文庫の本を手に取る方たち

 「そういち文庫」のはじめてのお客さま。ほんの何分かのことですが。

 そうそう,こういうふうになってほしかった。
 うれしいです。

 本棚全体の中身は同じでも,少し並べ方を変えるだけで,「お客さんも楽しめる本棚」になり得るのですね。

 前にも告知しましたが,11月29日(土)に東京・多摩市の我が家でオープンハウス(自宅の公開)をします。我が家のリノベーションを手がけた建築家の寺林省二さんに来ていただいて,お話しを伺ったりもします。詳細はまた後日。

(以上)
2014年10月12日 (日) | Edit |
 今日は,ごく近所のほかは,ほとんど家を出ることなく過ごしました。
 ウチから半径数百メートル以内にあるもので,楽しみました。
 
 下の写真は,どこかの雑木林や公園ではありません。
 ウチの団地の「庭」です。芝生があって,ちょっと樹が植わっている場所。
 築30数年の古い団地に住んでいますが,こういう環境が大きな魅力です。

  近所の「森」

  ピロティからみえる「森」

 すぐ近くで,「秋だなあ」と思わせる落ち葉をみつけました。
 植物のことを知らないので,なんの葉っぱかわかりませんが。

  落ち葉

 ***

 家の棚にある本を並び替えて遊ぶ,などということもしました。
 我が家は古い団地をリノベしたもので,本棚をあちこちにつくりました。そこに何千冊かが収まっています。

 世界史や社会,哲学にかんする本が多いですが,住まいや生活,生き方にかんする本,伝記やエッセイなどもあります。とっつきにくい本もありますが,多くの人と面白さを分かちあえそうな本もあります。
 
 そのような「分かちあえそうな本」をピックアップして,本棚の特定の場所に集めてみる,ということを最近すすめています。そういうコーナーをつくると,ウチに来てくれた方とのあいだで,本棚を眺めながら話が広がるのではないか。

 せっかくの本棚なら「自分だけの道具」ではなく,「人と楽しめるもの」にしたい,と思うようになったのです。

 たとえば先日,この本棚の真ん中の列の上の2段に,そういう「セレクトコーナー」をつくってみました。

  リビング テーブル側の本棚

 こういう具合です。これを「そういち文庫」と呼ぶことにしました。
  そういち文庫

 今日は,その「そういち文庫」のコーナーを増設してみました。
 こんな具合です。小さなテーブルの上にのっているボックスが「増設」箇所。

  そういち文庫(1)

  そういち文庫 (2)

 台になっているテーブルは,無印良品のもの。
 「パイン材ローテーブル・折りたたみ式」で,5000円弱。
 上に載っている「本棚」も,無印良品。
 「パルプボードボックス,タテヨコA4サイズ・2段」で,1700円ほど。

 ローテーブルはもともとウチにあったもので,パルプボードボックスは「そういち文庫」用に先日買ってきました。
 この「パルプボードボックス」に,ビジュアル系の大きな判の本と絵本などの児童書を納めてました。あわせて40~50冊。

 それから,「増設前」の「本棚の上2段」のコーナーには,一般的なサイズの単行本や文庫本を70~80冊収めました。

 「どれを並べようか」と考えながら,本棚をながめたり触ったりするのは,楽しいです。
 並べてみた「そういち文庫」から,本を取り出して読み返すのも楽しい。
 午後の2時間ほどは,それで遊んでいました。

 土門拳による昭和の大物たちの肖像写真に,「濃い顔だなー」と惚れ惚れし,
 解剖学者・三木成夫の「生命の形態」にかんする,芸術的な図解を味わい,
 建築家・吉村順三の,軽井沢の別荘の写真集にやはり惚れ惚れし,
 フードコーディネーター・飯島奈美さんがつくった,おいしそうな朝ご飯の写真をみながら,「あすの朝は目玉焼きにしよう」と思ったり,
 水木しげるの名言集を読んで,気合を入れたり(先生いわく「じっといれば餓死です」),
 「ぐりとぐら」を読み返して(月並みですが)童心に帰ったり,
 
 そんなことをしていました。
 本って,やはりいいものですね。
 森羅万象のうちの,かなりのものが,とりあげられている。
 手にとれば,家で寝ころびながらでも,広い世界を垣間見ることができる。
 すぐれた人,もの知りな人の話を聞ける。

 ***

 11月29日(土)に,我が家(東京・多摩市)でオープンハウスをする予定です。
 団地リノベに興味のある方,ウチの本棚や「そういち文庫」を覗いてみたい方など,ぜひおいでください。妻と2人でお待ちしています。
 我が家のリノベーションを手がけた建築家・寺林省二さんにも来ていただき,いろいろお話しを伺います。私も自宅についてお話しさせていただきます。

 さらに詳細が決まりましたら,また告知いたします。

 ***

 10月13日追記:上記でとりあげた本の,アマゾンへのリンクです。
   
土門拳の伝えたかった日本土門拳の伝えたかった日本
(2000/09/01)
毎日新聞社、 他

商品詳細を見る

 
生命形態学序説―根原形象とメタモルフォーゼ生命形態学序説―根原形象とメタモルフォーゼ
(1992/11)
三木 成夫

商品詳細を見る

小さな森の家―軽井沢山荘物語小さな森の家―軽井沢山荘物語
(1996/04)
吉村 順三、さとう つねお 他

商品詳細を見る


朝ごはんの献立-12のシーンとおいしいごはん朝ごはんの献立-12のシーンとおいしいごはん
(2008/11/15)
飯島 奈美

商品詳細を見る


水木しげるがんばるなかれ―小さなことを笑い飛ばすコトバ (YM books)水木しげるがんばるなかれ―小さなことを笑い飛ばすコトバ (YM books)
(2008/09/25)
水木 しげる

商品詳細を見る


ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)ぐりとぐら [ぐりとぐらの絵本] (こどものとも傑作集)
(1967/01/20)
なかがわ りえこ

商品詳細を見る

(以上)
2014年09月29日 (月) | Edit |
 私のウチは,古い団地をリノベしたもので,あちこちにつくりつけの本棚があります。
 たとえば,リビングは部屋の両側に,このようなものが。

リビング ソファー側の本棚

リビング テーブル側の本棚

 我が家でいちばん目立つのは,本棚です。
 本棚がなかったら,モノの少ない,ガランとした家でしょう。
 
 この本棚は,もっぱら「自分が使う」ための道具だと思ってきました。
 でも最近は「みんなで楽しむこともできる本棚」にしたい,と思っています。

 といっても,今の私の本棚は「みんなで楽しむ」には程遠い状態です。上記のリビングの本棚にある8割がたは世界史関連の解説書や専門書。「17世紀イギリスの・・・」「工業化の歴史的・・・」「鉄道と国民国家形成・・・」みたいなタイトルが並んでいます。

 お客さんが来ると,いっしょに本棚を眺めることがありますが,「17世紀イギリスの・・・」みたいのばかりだとほとんど会話がはずみません。「本を手に取ってもいいですよ」といっても,まず誰も手に取りません。

 でも,ウチにある本の全部がこうではありません。住まいや家具・雑貨の本,ライフスタイル関係,ビジネスや生き方に関わる本,エッセイなど,「対話が生まれやすい」と思える本もあるのです。

 私の持っている本(文庫・雑誌も合わせて5000~6000冊)のうち,2~3割はそれです。また,歴史や社会関連でも,親しみやすい内容で「多くの人にオススメできる」本もあります。

 お客さんのなかには,そんな「親しみやすい」本を棚からみつけて,手に取ってみる人もいます。でも,その手の本の多くは,お客さんの目に触れにくい棚に集まっています。玄関先の雑然とした本棚や書斎まわりなどです。

 ***

 だったら,リビングの目立つ本棚に,より多くの人が楽しめる(かもしれない)本を集めてはどうか?

 ただ,我が家の本の配列には自分なりに考えた秩序があって,それを大きく再編成するのは,すぐにはできない。
 そこで,本棚のかぎられた部分だけを空けて,そこに「親しみやすい」系の本を並べてはどうか。「とくにこれはオススメ」というのをセレクトして,ほかの本棚からもってくるのです。

 この「セレクトコーナー」を「そういち文庫」とでも名付けよう。

 上記の写真の,下のほうの本棚の,真ん中の列の上2段で「そういち文庫」をつくってみました。

そういち文庫

 住まいや団地関連,人生の達人の名言集やエッセイ,料理や生活,児童文学・・・。宮崎駿の絵物語や藤子・F・不二雄のSF短編集などというのもあります。ウチの奥さんが子どものころ読んだ少女マンガ(陸奥A子)もある。

 エッセイは,吉本隆明やエリック・ホッファーのような思想家もあれば,花森安治や森茉莉や水木しげるやのような「昭和の個性的なすごい人」や,ナンシー関(消しゴム版画の元祖)や群ようこのような「今どきのエッセイ・コラムの大先輩」といえる著者のものも。

 児童文学は,私が子どもころ(高校生くらいまで)に読んで気にいっていたもの。

 とりあえず,『二年間の休暇(「十五少年漂流記」の完訳)』『海底二万マイル』といったジュール・ベルヌの作品,『ゲド戦記』『大草原の小さな家』など。これらは,ずっと持っていたのではなく,最近ブック・オフなどで買ったのです。立派なハードカバーでも100円200円で売られていたりします。

 「みんなで楽しめる」というのには,まだまだかもしれませんが,まずは第一歩。

 いずれ,オープンハウスなどもやってみたいです。
 つまり,どこかの土日で「どなたでもウチに遊びに来てください」と告知して,お待ちするというもの。
 オープンハウス的なかたちで,一種の私設図書館を運営している方も,世の中にはいらっしゃるようです。

 オープンハウスの開催は未定ですが,そのうち告知させていただきます。
 今年中に1回はやりたいです。

 ***

 家というのは,道具です。個人の持つ,最大の道具。
 そこにしつらえた本棚も道具。
 本だって道具です。

 ウチに来てくださった方から「いい家になっているね」「いい本棚だね」と言っていただいたことが,何度もあります。だったらその「出来のいい道具」を,トコトン使っていきたい。

 トコトン使うというのは,自分ひとりではなく「ほかの人といっしょに使って楽しむ」ということなのではないか。そんなふうに,最近とくに思うようになりました。 

 先日,ウチにある暮らしの道具を紹介した記事(イスや照明やホウキなどについて)を読んだある方から,好意的な感想をいただきました(鍵コメです)。
 「暮らしを豊かにするというのが,わたしたちが道具をあつかう第一の動機だ」とその方は述べていて,おおいに共感しました。

 そして, 「豊かさ」の最も充実したかたちは「人とたのしむ」ことではないか,とも思いました。そのためにはいろんな工夫や準備や気づかいも必要でしょうが,それもまた楽しいはずです。

(以上)
2014年09月23日 (火) | Edit |
 先日,くらしのどうぐ店 musubiで開催された「中津箒のしごと展」というイベントに,妻と2人で行ってきました。

 musubiは,JR南武線・谷保駅(国立市)から歩いて数分の,商店の並ぶ一画にあります。店主は坂本眞紀さん。
 住宅の1階がお店になっています。

 このおウチは,私の自宅(古い団地をリノベした)を手がけた,テラバヤシ・セッケイ・ジムショの寺林省二さんの仕事場でもあります。寺林さんと眞紀さんはご夫婦。子どもさんと3人で,この自宅+設計事務所+お店に暮らしておられます。 

 musubi (2)

 お店の中。「こんじまり」の魅力にあふれた空間。
 店主がセレクトした雑貨・生活用品が並んでいます。

musubi (1)

 お店の奥にある,眞紀さんの仕事机も紹介します。
 キッチン・ダイニングのすぐ横にあります。
 私は,この「階段下のワークスペース」が大好きです。訪れるたびに「いいなー」と感心して眺めています。

階段下のワークスペース

 ***

 さて,今回のイベントのテーマの「中津箒」とは,昔ながらのホウキの一種です。家の中を掃くための繊細なホウキ。

 神奈川県の中津村(現相川町中津地区)で,明治から昭和の高度成長期にかけて,とくに生産がさかんだったそうです。中津は,東日本地域におけるホウキのメジャーな産地でした。当時は,「中津箒」ではなく「東京箒」という商標で販売されていました。

 電気掃除機の時代になって中津の箒づくりは,いったん衰えましたが,平成になって伝統の積極的な継承や再興がはかられているとのこと。
 (以上,株式会社まちづくり山上による資料「中津箒のご紹介」による)

 たとえば,こういうものです。
 musubiで展示・販売されていたもの。
 なお,奥のほうに家の模型が並んでいますが,テラバヤシ事務所が設計した住宅です。

中津箒

 昔の家には,このようなホウキがあったものです。写真のものよりも,もう少し大きいのが一般的だったかもしれませんが。

 写真では伝わりにくいのですが,手にとると,しっかりとした丁寧なつくりがわかります。それでいて軽い。

 そして,ホウキの先端(穂先)のやわらかさ。

 ウチのメインの「掃除機」は,ホウキです。床掃除は,おもにホウキで行います。
 外見的には中津箒と似た古典的なもの。
 でも,穂先の感触はぜんぜんちがう。もっと固くて,何年か使っているうちにポキポキ折れてくる。

 これは,穂先の材料がちがうのだそうです。
 このへんの「ホウキのウンチク」は,今回のイベントで講師をされた女性の箒職人さんから伺ったことです(でも素人が聞きかじった話なので,不正確なところもあるかもしれませんが,ご容赦)。

 中津箒の材料は「ホウキモロコシ」というイネ科の植物です。アフリカ原産。明治時代に日本に入ってきたもので,ホウキの素材として優れていた。

 今どきのホウキの多くは,アシやイグサやシュロを使っているそうです。
 これらの素材はホウキモロコシほどのやわらかさやしなやかさはない。

 なお,関西ではシュロのホウキがとくに広く使われている。シュロのホウキは茶色で,中津箒的なホウキとはだいぶ外見がちがうとのこと。西日本出身者のなかには,中津箒をみて「こういうホウキ,みたことなかった」という人もいるそうです。
 
 私は東京地区の育ちなので,昔ながらのホウキといえば「中津箒みたいなものに決まっている」と思っていたのですが,地域によってちがうのですねー

 あと,中津には日本各地や世界のホウキを集めた施設があるそうです。
 そこにある世界のホウキをみると,どれも日本人からみれば「外を掃く」ためのホウキのような粗い感じのものばかりなのだとか。西洋もアジアもアフリカも,そこは同じ。

 なぜなのかは,よくわからないとのこと。

 ここからは私の想像ですが,住居や生活様式のちがいのせいではないでしょうか。
 靴を脱いで畳で暮らすという日本人の生活が,独特の繊細なホウキを生んだのではないかと。

 家でも靴履きだったり,靴を脱ぐとしても畳というやわらかな「床」でなければ,「粗い」ホウキで十分です。

 そんなふうに思うのですが,どうなのでしょう?
 とにかく,興味深いお話です。
 
***

 また,近年はハンディタイプの小さなホウキもつくられていて,好評だそうです。
 上のmusubiの店内の写真で,中央のテーブルの上に並んでいるようなもの。

 あるいは,すぐ下の写真の中央の,書道の筆のようなものもある。
 机の上とか,パソコンのキーボードを掃除するのに便利。
 今回のイベントでは,この「筆」のような小さなホウキを,みんなでつくったのです。
 
 材料のホウキモロコシを,タコ糸(いろんな色があります)で縛って束ねていく作業。

中津箒イベント (3)

中津箒イベント (2)

 1時間ほどで,小さな中津箒が完成しました。

 「つくる」といっても,いろんな段取りを整えてもらったうえで,要所要所は職人さんにつくっていただいたのですが。
 でも,体験したことのない手仕事は,新鮮でたのしかった。

 あとは,自分の手先の不器用さがあらためて身にしみました(^^;)

 こうして「つくる」体験をしたり,お店に展示されている中津箒に触れているうちに,私たち夫婦とも「これいいなあ,欲しいなあ」と思うようになりました。

 そこで,今使っているホウキの代わりになるものを買うことにしました。上の写真にあるのと,ほぼ同じもの。展示品は売約済。注文生産で2か月弱かかるとのこと。

 1本9,000数百円。ホウキとしてはたしかに「高級」です。
 でも,長く使えて,使うたび目にするたびに,気持ちがいいはずです。
 元は取れると思っています。 

 早く出来上がらないかなー,新しい中津箒で掃除するのがたのしみ。

***

 musubiでの「中津箒の仕事展」は,9月27日(土)まで。ただし,「小さな箒づくりワークショップ」のほうは,すでに終了しています。同店のホームページなどでご確認ください。

 「団地リノベ」関連記事
   ベランダのビアガーデン
   団地リノベはローコストか
   団地の間取りの特徴
   団地マニアでなく,団地エリート
   団地リノベーションの我が家

(以上)
テーマ:建築
ジャンル:学問・文化・芸術
2014年08月14日 (木) | Edit |
 このところ,週末は部屋の片付けをしています。
 このあいだの土日は,書類や雑誌などを処分。
 200冊くらいの雑誌やムック,それから「燃えるゴミ」の袋で10数個分の紙クズを,ゴミに出しました。

 書類を捨てるには,細かくちぎったり,シュレッダーにかけたり,手間がかかりました。
 「捨てる」ってたいへんです。
 捨てるための判断や決断も,エネルギーが要ります。

 処分するときこんなに疲れるんだから,これからは「紙」をむやみに家に持ち込まないようにしよう。

 大そうじのたびにそう思うのですが,どうしてもいろんなものをため込んでしまいます。でも,今度はちがうんだ,もう「ため込む」のは卒業だ。そんなふうに思っていますが・・・

 ***
 
 捨てないで残った書類や雑誌は,ひき続き本棚にあるわけですが,なかには「あまり使うこともないだろうけど,とっておきたい」というものもあります。
 それらは「保存箱」行きです。
 下の写真は,保存箱にいろいろと詰めているときの様子。
 
整理の途中

 使っている保存箱は,「フェローズ バンカーズボックス」という商品。段ボールでできています。A4サイズのファイルがちょうど収まるサイズのもの。フェローズは,アメリカの会社で,日本でも1990年代からこの箱を販売しているのだそうです。デザインや仕様は日本向けにアレンジしているとのこと。

 この箱を,私は2005年頃から使いはじめました。
 そのころは,今よりもだいぶマイナーだったと思います。しかし,今は日本でもかなり普及したので,みたことのある人も多いでしょう。

バンカーズボックス

 この箱は,保存箱としてじつにいいです。
 まず,サイズがいい。A4のファイルにぴったりです。
 このバンカーズボックスが普及するまでは,「A4ファイルにちょうどいい箱」というのが,案外ありませんでした。

 もちろん,ファイルや書類以外のものを入れても構いません。おもちゃ箱や道具箱にもなります。

 それから,「フタ」と「取っ手」があるというのも,具合がいい。中身を確認したり取り出したり,箱を持ち運んだりするのが,スムースです。ふつうの段ボール箱はそうはいきません。

 そして,なんといっても見た目がきれい。
 これだと,部屋に置いても見苦しくない。

 私は,この箱を今現在10箱ほど使っていて,それらは書斎や台所の隅や玄関まわりなどに積んであります。
 やむを得ずそうしているのですが,このバンカーボックスなら「むき出しで積んでおいても,どうにか許せる」感じがします。

 今回は,3箱分の中身を廃棄処分にして,新たに4箱分を書棚などからバンカーズボックスへ移しました。この箱に移して2~3年経ったものは,廃棄することを考えます。

 ほかにも,バンカーズボックスには,「組み立てやすい」「結構丈夫である」といった特長があります。

 この箱は,近所の文具店などではまず置いていませんが,ネット通販で買えます。3箱セットで2000円弱くらいです。

 ***

 さて,今回の「片付け」は,まだ道半ば。
 今度の週末は,ざっくり整理・処分したあとの書類を,もう少し踏み込んで整理したいと思います。
 そのあとは,要らない本を何百冊か処分して,本棚をすっきりさせたい。
 
 こういう整理は,ときどき必要なのでしょう。
 風呂に入ったり散髪したりするのと同じこと。
 だから,もう少しこまめにしたほうがいいのでしょうが。
 
(以上)
2014年07月23日 (水) | Edit |
 先日の連休の最後の1日は,妻といっしょに家の中のもろもろの整理をしました。

 ごちゃごちゃしていたキッチンまわりの棚の中,押し入れの引出しの要らないものを捨てて,すっきり。
 机まわりのライトの位置を変えたり,収納の汚れていた部分を重点的に拭き掃除したりといった,前から気になっていたこまかいことも実行しました。

 10年ほど使って傷んでいたキッチンのごみ箱も,無印良品で新しいのを買って交換。
 少々具合の悪かったパソコンの調整も,メーカーのサポートに電話して聞いて,行いました。

 翌日は私は出勤でしたので,休みをとった妻がひとりで引き続き取り組んでくれました。
 玄関まわりの収納2か所の整理。傷んでいた寝床のシーツを買ってきて取り換える,など。

 このような「家の整理」を,「夏休みの宿題」として,これから週末に順次行っていくつもりです。

 ***

 数年前,家の中を徹底的に整理したことがあります。

 押し入れの奥までひっくり返し,紙切れ1枚1枚まできちんと仕訳して,多くのものを処分し,残りはしかるべき場所へ納めなおしました。

 当時は浪人(失業)中で,時間があったのです。数日ぶっ通しでその作業に取り組むことができました。
 やり終えると,非常にすっきりした気分で,元気が出てきました。

 あれから,そのような徹底的な整理はしていません。
 ここ1~2年は私も妻もやや忙しくなって,家の中のことが多少おろそかになっているところもあります。
 それを立て直そうということで,2人でやりはじめたのです。

 妻はこれから,自分の書道関係の資料を整理していくとのこと(書道教室で子どもや大人に教えている)。

 私も,本や資料・書類を整理したい,と思います。
 我が家は,古い団地をリフォームしたもので,リビング,書斎,玄関まわりにつくりつけの本棚があります。
 そこにあるものを,もう少し減らしたい。

 書斎と本棚

 玄関のあたり

 リビング本棚1

 リビング本棚2

 私の持っている本は,文庫や雑誌も含め6000冊前後のはずです。
 本格的な蔵書家からみればたいした量ではありません。私の知り合いにも,私より多く持っている人が何人もいます。

 でも,その程度の本であっても,「自分には十分に使いきれていない」と感じます。
 きちんと消化して,何らかのアウトプットに活かせるのは,持っている本のうちの何割かに過ぎません。「ただ抱えているだけで,なんにもならない」という本が,たしかにかなりあるのです。

 ある程度の年齢(もうすぐ50歳です)になって,「自分のやり方」「自分の関心」「自分にできること」が,最近ますますはっきりしてきました。
 すると,本棚を眺めていて「これは,自分には使えない」と思える本が,前よりもわかってくるのです。
 本以外の,ファイリングなどで抱えている資料や書類でも同じことが言えます。

 使えない・読み返す可能性のない本や資料は「ぜい肉」です。
 それを,もっとそぎ落として身軽にならなくては,という思いが,最近つよくなりました。

 この数年,1~2年に1回は200~300冊の本を近所の「ブックセンターいとう」に買い取ってもらっていました。
 そういう整理を,今年はもう少し踏み込んで行いたいものです。
 蔵書を2~3割減らして,より「使える」ものを本棚に並べておきたいと思っています。その他の資料は半分くらいには減らしたい。

 ***

 以上の「整理」をしている合間に,小松左京の『宇宙人のしゅくだい』(講談社,青い鳥文庫)という本を手に取りました。小松左京による子ども向けのSF短編集。

 宇宙人のしゅくだい

 この本のことは,いずれきちんと紹介するとして,今回目にとまったのは,石川喬司による解説で引用されていた小松の言葉です。

 終戦間もなくの時期,若い小松は生活に苦労したそうです。それでも熱心に読書や勉強を続けました。その時代を振りかえっての言葉。

《学生時代を送った戦後はまた,長らくお先まっくらの時代であった。わたし自身の生活習慣も,考えてみれば,みごとに一種の乱世型になっている。
 なるべく,身のまわりを軽くすること,いろんなことを,なるべく自分でもつかえるように,身につけ,あるいは頭に入れておくこと。とぼしいものを,できるだけ工夫して,多様につかうこと。そのためには,あらかじめ,できるだけ長持ちする,しかも信頼できるものを選ぶ習慣をつけておくこと》


 これは,生活でも読書でも使える考え方です。
 この言葉,しっかりとかみしめて,家の整理をしていきたいと思いました。

 私は,ほんらい多くのモノを持っているほうではありません。人より多いのは本くらいです。

 それでも,最近は身のまわりにぜい肉がついたと感じます(実際の自分のおなかのように)。
 やはり,もう少し身軽になりたいものです。
 理想は「いつでも引っ越し・夜逃げができるくらい」の感じです。
 
 今の時代は,終戦後の焼け跡の時代とはちがいます。
 でも,ある種の大きな変動や変化が,多くの人に影響をあたえるのではないでしょうか。

 今の社会は,以前よりも「将来」を描きにくくなっています。 豊かにはなったけど,成長期の頃のような「見通しの良さ」は,もうない。望む・望まないにかかわらず「暮らしを変える」ことが,いつあるかわからない。

 そんな社会では,「身軽」になることは,意味があるように思います。

(以上)
2014年07月20日 (日) | Edit |
 今週末は,妻と休みを合わせてささやかな夏休み。
 遠出する予算もないし・・・ということで「身近な東京見物」をすることにしました。

 まず,木曜日の夜に,新宿のホテルで1泊。
 会社帰りの途中でホテルにチェックイン。シャワーを浴びて一休み。
 ふだんは1時間かけて通勤しています。これはラクだ。

 そのあと妻と新宿の街へ出て,食事をしてホテルへ戻る。
 「ここで泊まっている」となると,見慣れた街も少しちがってみえます。

 泊まったホテルは,超高層ビル街の中にあります。
 そんなロケーションですが,どういうわけか,下のほうの階に小さなプールがある。

ビルの谷間のプール

 このホテルは1970年代初頭に建てられました。
 「大きなシティホテルなんだからプールも必要だ」ということで,かなり無理やりにつくったのかもしれません(今の時代ならたぶんつくらない)。
 そのころは,周囲には超高層の建物はほとんどなかった。
 でも今は,ビルに囲まれて,どうも落ち着かない。

 そんなプールで,ひとり平泳ぎをする中年男性がいるのが,窓からみえました。
 平日の朝9時すぎ。いいなー。
 このプール,今も続いているということは,それなりの需要があるのでしょうか?

 ***

 泊まった翌朝。
 朝食は数分歩いて別のホテルへ行きました。
 眺めがいいのです。都心を一望できます。

 ブッフェ形式で1人2000何百円(料理は一般的だと思います)。
 ウチとしてはたいへん贅沢なんですが,たまには。
  
眺めのいい朝食
いろいろ並べた

 朝寝坊したうえにダラダラしてたので,店に入ったのは9時半すぎ。1時間くらいいましたが,最後はお客は私たちだけになっていました。

 ***

 朝食のあとは代々木駅からJRに乗って原宿へ。
 原宿にある,2つの大きな「近代」の文化遺産をみるためです。
 ひとつは,国立代々木競技場(第一室内競技場)。通称で「代々木第一体育館」ともいいますね。

国立代々木競技場その2
国立代々木競技場・第一室内競技場

 この建物は,何度もみたことがありますし,中に入ったこともあります。でも,あらためてじっくりみたいと思いました。

 東京オリンピックのため1964年に建てられた。丹下健三設計の「名作」といわれる建物。
 「日本の近代建築を代表するもののひとつ」といってもいいかもしれない。

 この建物は,日本の伝統建築を思わせる「屋根」を持っています。
 その屋根は「吊り構造」といって,巨大なケーブルによって吊り下げられている。
 吊り橋と同じ原理です。

屋根を吊るケーブル
屋根を吊るケーブル
 
 屋根が吊り構造で支えられれているので,大きな建物なのに室内には柱がありません。だから競技がよくみえるのです。

 この建物は,「伝統」を元にした造形を,当時としては最先端の技術でカタチにしたものなのです。

 これをみて 「カッコいい!」と思う人もいれば,「これみよがしでエラそう」と感じる人もいると思います。その両面が,この建築にはあります。
 
 でもこの建築は,ただの「これみよがし」とは一線を画しています。
 骨太で明確なコンセプトがあり,構造と一体の,練りに練った造形の美しさが,たしかにあるのです。
 近くでみると,その造形とボリュームの迫力に圧倒されます。
 上質の「これみよがし」です。

 この建物は巨額の費用を投じてつくられましたが,それだけの価値はあったと思います。「巨大な公共建築が輝いていた時代」の傑作といっていいでしょう。

 しかし,今はそのような時代ではない。
 1960年代の丹下健三のような精神で「どうだ,すごいだろう」という建物をつくってもしょうがないと思います。

 たとえば,1000何百億円もかけて新しい国立競技場をつくって何になるのか。
 そんなことを思いつつ,「代々木の体育館」をあとにしました。

  関連記事: 「リフォームの思想」とオリンピック

代々木競技場の街灯など
「モダン」な代々木体育館の街灯

 ***

 つぎに向かったのは,代々木の体育館のすぐとなりの,明治神宮です。
 ここは初詣のごった返しているときしか知らないので,平日の朝の静かなときに行ってみたかったのです。
 でも寝坊して,昼になってしまいました。

明治神宮

 昼になったとはいえ,平日のせいか,混み合っていることはありません。ほどよく人が集まっている感じ。

 外国の人が目立ちます。3人にひとりはそうなのでは,と思うほど。
 アジアの人,欧米の人,たぶんアフリカの人,そのほか私にはどこから来たか見当がつかない人・・・とにかく世界中から来ている感じ。

 たしかに,ここはいいです。
 すがすがしい感じに包まれます。「日本っていいなあ」という気持ちになります。

 だから,東京に来た外国の人には「明治神宮はぜひ」と思います。じっさい「定番」のスポットになっているのでしょう。

 あとは,デザインや建築に興味がある人なら,おとなりの代々木の体育館も立ち寄るといいでしょう。
 こちらは「観光スポット」にはなっていません。この日も見物している物好きは私たちだけでした。
 
 外国の人にかぎらず,日本人だって明治神宮や代々木の体育館は,訪れてみるといいと思います。とくに平日の静かなときがおすすめ。

 ***

 ところで,さきほど「原宿で2つの近代の文化遺産をみる」といいました。
 代々木の体育館が「近代」の遺産というのは,わかります。

 でも,明治神宮が「近代」というのは,どういうことでしょうか? 神社なんだから,「近代」ではなく「伝統」なのでは?

 明治神宮は,1920年(大正9)に創立されました。明治天皇(と皇后)が祀られています。
 大正時代につくられたというのは,神社としては新しい部類です。有名な神社であっても,出雲大社や伊勢神宮などとは,歴史や由来が根本的に異なるのです。

 この神社は「記念公園」としてつくられた,という面をもっています。明治天皇あるいは「明治」という時代を記念する公園です。

 明治神宮の森は,大名屋敷だった土地に,造園家たちが計画的に木を植えてつくりあげたものです。その意味で,近代的な「公園」のようにしてつくられた,といえます。

 しかし,「宗教施設」という側面が,もちろんあるわけです。
 純粋な「市民のための公園」,たとえばニューヨークのセントラルパークなどとは,その意味でちがう。いわゆる「憩いの場」ではない。だから,弁当をひろげてピクニック,というわけにはいかない。
 
 しかも「国家神道」という,政治的な意味あいのある宗教や「天皇制」ともかかわっている。
 そういう,重たい面も明治神宮にはあります。

 参道を少し外れると,こんな「深い森」の風景が。
 東京のど真ん中に,こんな世界がある。

明治神宮の森
明治神宮の森

高いところから見た明治神宮の森
朝食をとったホテルからみた明治神宮の森

 ***

 明治神宮をあとにすると,2時ころになっていました。
 時間があれば行こうと思っていたところがほかにもあったのですが,だいたい満足しました。
 渋谷へ出て遅い昼食をとったあと,興味のあるお店を少しのぞいて,帰りの電車に乗りました。

 40分ほどで自宅の最寄駅に到着し,今回の「旅行」はおしまい。

 東京というところは「多くのお金や知恵や労力の詰まった人工物」の宝庫です。
 明治神宮の森のような,一見「自然」に属するようなものでさえ,手の込んだ「人工物」なのです。
 
 東京見物のだいじなたのしみは,そんな「人工物」のすごさや素晴らしさを味わうことです。新しいものであれ古いものであれ,それを素直に味わえないと,東京はおもしろくありません。
 今回の「ささやかな夏休み」で,あらためてそう思いました。

(以上)
2014年07月12日 (土) | Edit |
 身のまわりにある,「好きなもの」をこれまで何度か紹介してきました。
 たとえばリンナイ製のガスストーブとか。

 あるいは,ジョエ・コロンボというデザイナーによるフロアライトとか。
 あるいは,つよいこグラスとか。

 しばらくそういう「紹介」をしていませんでしたが,今日は久々に。
 今回は,イスをひとつ。
 私はイスが好きです。あまり高くなくて,でも美しく機能的なもの。

 インテリア好きの人なら,たいてい知っている「名作イス」的なものを何個かもっています。でも,1脚せいぜい4~5万円くらいまで。
 「高くてすばらしい」ものよりも「ローコストですばらしい」ものに胸がおどります。
 自分の財力が限られるせいもありますが。

 それでも興味のない人からみれば「高い」のかもしれません。でも,「4~5万円以内」というのは,本格的なデザインと技術でつくられたイスとしては「ローコスト」の部類に入ります。

 今回ご紹介するイスは,そんな「ローコスト」の傑作です。
 松村勝男(1923~1991)デザインの,天童木工の製品。
 最も安いモデルは2万円台。

 1982年に発売された製品で,今も買えます(「天童木工 PESCA」などで検索)。
 写真は,黒のビニールクロス貼りの「最も安い」タイプ。

天童木工PESCA

天童木工PESCA2

 このイスの魅力は,写真だとなかなか伝わりません。
 撮影者(私)の腕前のせいもあります。ただ,プロが撮った写真でも,やはりほかの「名作イス」のような「華」が感じられないのです。

 写真では伝わりにくくても,現物に触れるとその良さはわかります。
 小ぶりでかわいらしい感じ。
 そして,座り心地。

 このイスは背もたれの下のほうがくびれてカーブになっています。そこで弾力がうまれ,もたれかかると程よいやわらかさで受けとめてくれます。

 また,サイズがやや小さいのは,小柄な女性などにはぴったり。でも私のような標準より大きい日本人(体重80何キロ)が座ってもきゅうくつではない。たぶん,背もたれの弾力のせいで,姿勢の自由があるからだと思います。

 というわけで,素晴らしいイスです。

 そして,このような「高性能」をローコストで実現するために,さまざまな工夫がなされています。
 たとえば,きわめて少ないパーツで出来ている,ということがあります。

 裏返してみると,わかります。
 「背もたれ」「座面」「脚(4本ではなく2つのパーツにまとめている)」「座面の上に貼ったシート」・・・パーツはほとんどそれだけ。
 しかも,それらをおもにネジで止めている(これは作業としては比較的簡単)。

天童木工PESCA3

 松村は「ローコストで高品質」ということを,生涯にわたり追求したデザイナーでした。
 このイスには「ローコストチェア」という別名もあります。松村にとって,ひとつの集大成といえる作品です。

 「名作イス」というと,ミッドセンチュリー(1950~60年代)のものが特に有名で,1980年代につくられたこのイスは,取りあげられることが比較的少ないようです。雑誌などではあまりみかけない。

 でも,ミッドセンチュリーの「古典」をふまえつつ,さらに進化・洗練させたところが,このイスにはあると思います。そして,日本人デザイナーによる現代日本人のためのデザインです。

 そこで,多くのふつうの人(特別なインテリア好きではない人たち)の暮らしにも合うのです。カフェとか,飲食店のイスにもいいと思います(座面の色や材質のバリエーションも豊富なので,さまざまな色のこのイスが並んでいる空間なんて,ステキかも)。

 それでも「2~3万円もするのかー」と思う人もいるでしょう。
 でも,このイスは大事に使えば,20年は軽くもちます。
 デザインが古びてしまうこともないでしょう。

 私は8年ほど使っています。妻が食事のときに毎日座っていますが,まだぜんぜん傷んでいません。

 ていねいにデザインされ,きちんとつくられたイスほど,お買い得なものはありません。
 数万円で20年は使えて,私たちの毎日を確実に気持ちよくしてくれるのです。

(以上)
2014年06月30日 (月) | Edit |
たちこめる暗雲

 きのうの夕方,我が家のベランダからみた空。
 ゲリラ豪雨が降ってくる直前。
 まるで特殊効果の雲みたい。迫力あるなあ。

 古い団地の我が家は,高台にあります。
 この家を買うときの案内で,不動産屋さんは「見晴しがいいですよ」とさかんに言ってました。

 そのときは,それがそんなに重要だとは思いませんでした。
 でも,何年か住んでみて,価値がわかりました。

 これから家を選ぶ人は,できれば「見晴し」「家からみえる風景」の重要性にもっと目を向けるといいと思います。

 でも,多くの人は広さや間取りや,建物のこまかい仕様にばかり関心がいってしまう。

 だから,「見晴し」は不動産価格的にはそれほど評価されない傾向があります。
 それだけに,「すばらしい眺望の割安物件」というのもあり得るわけです。

 家から遠くが見わたせるのは,ステキなこと。
 この写真を撮ったときのように,空と雲の変化を身近に感じられるのは,すばらしい。

 この日,たちこめていたのは「暗雲」でしたが,世相に暗い影を感じていたとか,身辺に不安があるとか,この写真はそういう主旨ではありません。

 「こういう風景を家でみることができて,しあわせだなー」と,晴れ晴れした気分になりました。

たちこめる暗雲2

(以上)
2014年05月21日 (水) | Edit |
イケア立川
イケア立川

 この前の日曜日,妻と2人でイケア立川に行ってきました。

 イケアはスウェーデン発祥の,家具の小売業。ヨーロッパ,北米,オセアニア,そして日本など,世界各地に出店しています。ウィキペディアによれば,全世界の総売上高は2兆1000億円。従業員は10万人。
 低価格でデザイン性の高い家具,巨大で魅力的な店舗,アフターサービスの良さなどで,多くの支持を得たといいます。

 イケア立川はこの4月にオープンしたばかり。都内初の出店です。
 私は,イケアに行くのははじめて。これまではどの店も,ちょっと遠かった。今回,わりと近いところに店ができたので,行ってみたのです。

 やはり大きい。私の知る「家具・インテリアの店」とは次元の異なる大きさ。
 家族連れでにぎわう店内。まるでテーマパーク。
 並んでいる商品は,たしかに低価格。
 「え,このイスが,テーブルがこの値段?」みたいなことがしばしばあります。
 そこに並ぶ商品といい,店じたいといい,たしかにこれは従来の日本になかったものだ。
 
 イケアって,すごいなー。
 
 その一方で違和感のようなものも,少しありました。
 並んでいる商品が,どうにも「大味」に感じられるのです。

 もちろん,デザインは,この価格としては上等です。
 「なかなかだな」「いいな」と思えるものが,もちろんあります。
 でも全般に,ゴツゴツした,いかにも「欧米」的な,粗っぽい肌触りやサイズ感がある。
 「欧米的」というのは,「アメリカ的」といってもいいです。

 この家具は,私たち日本人の家になじむのだろうか?
 日本の家は,繊細でこじんまりしています。デザインの良し悪しや値段の高低にかかわりなく,とにかく「きめ細かく,ていねい」な感じがある。
 そのような「日本の家」とは異質な感触が,イケアの家具にはあるように思いました。

 でも,イケアの家具は日本でも支持されているのですよね・・・日本でも次々とお店ができているのですから。
 だから,私の「違和感」は,的はずれなのかもしれません。

 しかし,それでもやはり「イケアは,このまま日本に深く浸透していくのだろうか?」と考えてしまう。そして,「どうなんだろうか?」という感じが残るのです。

 そして,「日本のイケア」が,日本にあるといいな・・・とも思いました。
 「イケア」の日本支店ではなく,「日本発の,イケア的な会社」ということ。圧倒的な品ぞろえや低価格。それを「日本的なきめ細かい感じ」のデザインでつくって売る会社。そしてそれが世界にも受け入れられるということ。

 無印良品やニトリはまだ,「日本のイケア」ということではないでしょう。
 無印は,商品数やデザインの幅がイケアにくらべれば限定されています。価格的にもイケアより上です。狙っているものがイケアとは異なるのです。

 ニトリは,とくにデザイン的にはまだまだこれから,という気がします。あるユーザー層に向けては,非常に考えてつくっているのでしょう。低価格もたいしたものです。でも,「家具やインテリアに目覚めた人」が好むかというと,どうでしょうか。非常に日本的なデザインだとは思いますが。

 でも,無印やニトリが発展していくことで,「日本のイケア」になる可能性はあるかもしれません。
 あるいは,ほかの何かが発展して,「イケア」的な存在になるかもしれない。
 もしかしたら,日本にあるイケアじたいが「日本化」していくのかも。

 そんなことを考えながら,巨大な店舗をあとにしました。

(以上)
テーマ:建築デザイン
ジャンル:学問・文化・芸術
2014年04月30日 (水) | Edit |
 昨日の昭和の日は,ひさしぶりに夫婦いっしょの休みだったので,2人で出かけることにしました。
 たまには都心に行こう,ということで,東京駅を出発点に,丸の内から日本橋にかけて歩きました。

 めったに行かないところを歩いたので,新鮮でした。
 すっかり「おのぼりさん」になって,たくさん写真を撮りました。

 私は建築好きです。今回は丸の内界隈の建物が,とくに印象に残っています。
 
 丸の内の周辺は,この10年余りのあいだに,大きく変わりました。つぎつぎと昭和のビルが取り壊され,21世紀の新しいビルに建て替えられていきました。

 新しい丸の内には,最新の・近代的な街並みの美しさが,もちろんあります。
 最近リニューアルした東京駅のように,古い建物を生かすという面も,みられます。
 基本的には「新しい丸の内になって,よかったなあ」と思うのです。

 でも一方で,「これみよがし」「威張った感じ,威圧感がある」「ゴテゴテしている」印象のビルが目立つ気もします。こんな感じです。

丸の内界隈のビル5

丸の内界隈のビル4

丸の内界隈のビル

丸の内界隈のビル2

 以上は銀行などの金融機関のビルが多いです。丸の内は,そういうビルが集まっているところ。

 こういう,私にいわせると「威張った,ゴテゴテした感じ」は,「シンプルなモダン」をのりこえる新しいデザインとして,出てきたものです。近年の建築の傾向です。
 そんな「建築の新しい傾向」を,まとめてみることができるのが,丸の内です。

 私はこの「新しい傾向」が,あまり好きではありません。
 もう少し自己主張をおさえて,静かな・端正なたたずまいにできないものか,と思うのです。大きな大きなビルなんですから,静かにしているだけで,十分な存在感があるのです。自己主張をすると,うるさいです。

 日本橋界隈の新しい・大きな商業施設についても,似た印象を持ちました。
 壁面も天井も,いろんなアイデアを詰め込んだ装飾で埋め尽くされています。
 たのしいし,きれいだとは思うのですが,ちょっと疲れる。

 ラーメンのスープでいうと,今どきの「濃厚」タイプ,みたいな。
 あっさり醤油味が,なつかしくなる。
 自分は「古い」人間になってきたのかな……などとも思いました。

 最後は,昭和20年代から続く喫茶店で,コーヒーフロート(530円)を,2人でいただいて帰りました。
 アイスクリームがおいしかった。甘すぎず,シンプルな味わい。ウエイトレスのお姉さんやご主人の接客もいい。また行こう。

 建物への「文句」をいろいろいいましたが,それでも,普段みることができないものに多く触れることができて,充実したお散歩でした。

(以上) 
テーマ:建築デザイン
ジャンル:学問・文化・芸術
2014年03月30日 (日) | Edit |
 私は「情報カード」というものを愛用しています。
 20代のころからもう20数年使っていますが,現在の使い方や保存の「システム」に落ち着いたのは,この6~7年です。中断していた時期もありました。

 メモするための,少し厚手の紙片。いくつかのメーカーからさまざまなサイズや仕様のものが出ています。
 私が使っているのは,LIFE社製の「情報カード5×3無地」というもの(100枚で300円ほど)。

 「5×3」というのは,5インチ×3インチ,つまり75ミリ×125ミリサイズということ。情報カードは罫線入りが多いですが,私は無地。真っ白なカードです。昔は,このサイズのカードは図書館の検索カードに使われていました。

 それを,こんなふうに手帳に10数枚ほどはさんで持ち歩いています。
 5×3のカードは,一般的なサイズの手帳にちょうど収まるのです。手のひらにもちょうどいい。

手帖に情報カードをはさむ

 手帳は肌身離さず持ち歩いているので,情報カードも肌身離さず持ち歩いていることになります。

 「そんな化石のようなものを今さら使っているのか」と言われてしまいそうです。
 たしかに,情報カードなんて,「昭和の遺物」みたいなものですね。
 最近では文具屋さんでも置いてないことが多い。大きな店か,ちょっと古い感じのお店にしかない。

 でも,これはなかなか使い勝手がいいです。

 思いついたことを書いて,必要ならとっておいて,要らないなら捨ててしまう。
 肌身離さず持っていれば,歩いているときでも電車のなかでも書くことができる。
 情報端末みたいに「起動」しなくてもいい。
 「紙切れ」ですから,ノートや手帳よりも軽くて薄い。シャツのポケットに入れておくこともできます。

 これは私が書いたもの。
 情報カード

 これらはみんな,このブログの記事などの「アウトプット」につながっています。

 たとえば左上のカードは,このブログのタイトル「団地の書斎から」を思いついたときのもの。

 右上は,このブログの記事にもなった「となり・となりの世界史」というシリーズの一節の素になっています。
 左下は,「団地の間取りの概念図」なのですが,これもこのブログの記事につながっています。

 右下は,去年末につくった「そういちカレンダー」というオリジナルの印刷物の構成案。電車のなかで書いたから乱雑です。小さな文字は,私の特技というか,体質です。

 書いたカードは,つぎのような専用のカードボックスに入れておきます。
 (手前の木製のものはコレクト社製5×3サイズカード用。お値段は二千数百円と安くないですが,木の感触や簡素な外見は悪くないです)
 
 情報カードをカードボックスで整理するための「インデックスカード」というのもあって,それでざっくりと項目別に仕切って入れてあります。たとえば「世界史」「偉人伝」「経済」「名言」「日々のこと」「住まい」といった項目。各項目ごとに新しいカードが手前にくるように並べる。
 
 5×3情報カードのカードボックス

 ***

 さて,このようなカードを,なんのために書いているのか。
 すべては「アウトプット」のためです。
 文章を書くなど,人に何かを伝えるためのネタ帳として,書いているのです。


 だから,カードに書いたことは,いつか「料理」して人前に出したいと思っています。つまり,「カードのメモ」から一定のまとまった文章にして人に読んでもらいたいと思っている。カードに書いたネタは,料理の「素材」みたいなもの。

 カードに書いてから,すぐに「料理」する場合もありますが,たいていは「料理」までかなり時間がかかってしまいます。そこで,カードボックスで保存しておくわけです。

 私は今,数個のカードボックスを持っていて,そこに1千数百枚の書かれたカードが入っているでしょうか。
 もっと本格的に情報やメモを蓄積している人からみれば,じつにささやかな量です。

 でも,私にとってはカードボックスは,だいじな貯蔵庫です。
 自分の考えたことの貯蔵庫。

 ときどき,このカードボックスの特定の項目のカードを全部引っ張り出して読み返しています。
 すると,自分で書いたものなのに,いろんな発見があります。
 「ああ,このことはまだまとめてなかったな」と気が付いて,文章を書きはじめることもあります。
 「あのときの自分は,ここまで考えたのか」と感心することもある。
 
 自分で考えたことというのは,案外忘れてしまうものです。

 だからこそ,メモをする意義があります。
 そして,それを保存・活用する自分なりの仕組みや道具,つまり「システム」が必要なのです。


 20代のころに私に「考えたことをメモする大切さ」を教えてくれた大先輩がいました。私より二まわり年上のビジネスマンで,ご自身の専門分野で著作を何冊も出している方でした。その人は,オリジナルの手のひらサイズの紙切れをつくり,その束を持ち歩いて,何か思いつくと紙切れに書いていました。

 その人が言っていました。

 「生きているというのは,何かを考えているということだ。考えたことをメモするのは,命の記録みたいなもんだ」

 「考えたことのメモ」というのは,生きている時間の密度を濃くしてくれます――つまり人生を豊かにしてくれるのです。それを若い私に教えてくださったことを,今も感謝しています。

 ***

 「メモやその保存のシステム」は,別にカードでなくてもいいのです。人によってはノートや手帳のほうがずっと使いやすいかもしれません。カードを使うにしても,もちろん5×3でなくてもいい。

 私の場合は,カードは使いやすいです。
 それは,いろいろなことに興味があって,さらに「何かを考えてから,それを料理して作品化するまで時間がかかる」からです(これは,関心が散漫で,発表の場もないくせに,大風呂敷なまとまりにくいことばかり考えていて,そのくせ怠けがちである,ということかもしれませんが)。

 逆に言うと,「ひとつのテーマを集中して追いかけている」あるいは「メモしてから作品化するまでのサイクルが短い」場合には,ノート・手帳のほうが使いやすいかもしれません。

 私の場合,長期間にわたって,あるときは「世界史」について,あるときは「住まい」についてメモをつくり,その都度カードボックスに放り込んでおく。1年2年経つと,ある程度カードがたまってきて,それを読み返す……そうやってまとまった文章を書けたこともあります。

 ただ私も,手帳を多少は使っています。「モレスキン」という1冊千何百円もするちょっといい手帳に,読書のなかで「いいな,味わいたいな」と思える箇所を抜き書きしているのです。こんなふうに,です。

 モレスキンへのメモ

 いい文章や感動的な文章というのは,書き写すと,一層味わえるのです。そして,ときどき読み返してさらに味わいたい。読み返すには,カードよりも手帳がいいです。それも,できればちょっといい手帳が。でももちろん,安価なノートでもいいのです。

 しかし,このような手帳に書く「抜き書き」の分量は,カードに書く量の何十分の1です。
 私の「メモ」の中心は,やはり情報カードです。

 ***

 今回の記事は,「メモのすすめ」です。
 それも,スケジュールや日々の活動のための「業務的」なメモではなく,中長期的なアウトプットのためのメモ。
 
 そのための道具としての「情報カード」を紹介したわけですが,もちろんノートや手帳を使ってもいい。
 自分にあった道具でシステムをつくっていけばいいのです。

 ただ,そのときに,くれぐれも注意していただきたいことがあります。

 それは,「何をメモするか」ということについてです。これをまちがえないことです。

 ここでテーマにしている「メモ」に書くのは,あくまで「自分で考えたこと」です。自分の思いつきや感じたことなどを,自分の言葉で書く。本や記事からの抜き書きではありません。

 多少はそういう「抜き書き」をしてもいいと思います(私もやっています)。
 でも,それはここで言う「メモ」の中心ではありません。

 ここは,カードなりノートなりで「アウトプットのための情報整理」を志す人が,よくまちがえることです。
 かなりの人が「抜き書き」をしようとしてしまう。
 
 本の抜き書きというのは,時間の無駄です。
 抜き書きをしなくても,あとで必要なら,その本をみればいいのです。

 もしも,何かの本に書いてあることをメモしたいなら,「ざっくりとこんなことがこんな本に書いてあって,こう面白かった,こう考えた」ということを,自分の言葉で書いておけばいいのです。

 ただしこれは「読む本は,原則として買った本」という人の場合です(私はそうです)。
 「本はたいてい図書館などで借りる」という人の場合,「抜き書き」「コピーによる抜粋」の技術やシステムも必要になるでしょうが,それはまた別の話。

 「本からの抜き書き」などという,骨の折れる,しかも役に立たないことを「メモ」の中心に据えたりすると,メモすることが,つらく虚しいものになります。だから,続きません。私もそういう失敗をしたことがあります。

 くれぐれも,メモするのは「自分の考え」です。
 そのことに気がついてから,私は情報カードを使えるようになりました。

 以上,「メモのすすめ」でした。いつか,情報カードなどの「メモのシステム」についての先人の取り組みや,私個人の試行錯誤の歩みなどについても述べたいと思いますが,今回はこれで。

  関連記事  ファイリングの本棚
          ファイリングの本棚・続き
          団地リノベの本棚
          ささやかな愛用品
          図を描いて考える
(以上)
テーマ:思うこと
ジャンル:学問・文化・芸術
2014年03月09日 (日) | Edit |
 昨日はバスで少し行ったところにある郊外のショッピングセンターで,仕事のカバンを買いました。
 これまで6年使っていたのが傷んで無残な姿になってきたので,新しいのを買ったのです。
 「新しい」といっても,また同じカバンを買いました。

 こんなものです。新しいのと,使い古したのを並べています。

吉田カバン

 吉田カバンという大手メーカーの「ポーター」というシリーズのなかの,定番的なナイロン製ビジネスバッグ。1万5000円くらい。

 今回買ったのは私にとって「3代目」になります。今までのは「2代目」。同じ型のカバンを10年くらい使っていて,おそらくまた数年使うはずです。

 お店でほかのカバンもみましたが,「やっぱりこれがいい」ということになりました。

 吉田カバンの「ポーター」だけでも,いろんなタイプがあるのですが,これが自分にとっては一番使い勝手がいいように思えます。カバンの中の仕切り方とか小物の収納の形とか,全体的な容量などが,私にはちょうどいい。値段的にもこのシリーズのなかでは安いほうで,それも選択の理由。

 3回同じのを買ったのだから,これは私にとって「愛用品」といっていいでしょう。

 近所のショッピングセンターで売っている,「高級品」とはいえない(でも安物でもない)ナイロン製のバッグを,いいオヤジが「愛用品」などというのはどうかとも思います。でも,もう10年来毎日使っているんだから,まさに愛用品。

 ***

 新しいカバンを買って,「ほかにも,自分には長いこと毎日肌身離さず使っている道具があるなあ」と思いおこしました。

 つぎの写真の品々です。

能率手帳など

 ひとつは,手帳。これはこの数年ほどのおつきいですが,「能率手帳1」(日本能率協会製)というのを使っています。(ただし,10年以上前にも少し使ったことがあり,通算だと10年近いつきあい)

 今のビジネスダイアリーの原点のような商品で,1949年から発売されています。どこでも売っている,これも「定番」の品です。

 似たような手帳はたくさんあるのですが,紙質や印刷の感じ(やや黄色がかった紙にモスグリーンの文字や線),表紙の感触や年号の文字などが好きなのです。

 この手帳には,「5×3インチカード」というものをいつも10枚くらいはさんでいます。手帳くらいの大きさ(75ミリ×125ミリ)の白地の,やや厚手の紙でできたカードです。何か思いついたこと,覚えておきたいことなどをこれにメモするのです。

 このようなカードには複数のメーカーの製品がありますが,私が使っているのは,LIFE社製の「情報カード5×3無地」というもの。100枚で300円ほど。

 そして,手帳やカードに書く筆記具も,ずっと同じものを使っています。

 パイロット社製の「HI‐TEC‐C(ハイテック)」という水性ボールペンの黒で,太さ「0.4」。(このシリーズにはいろんな色や太さがあります)1本200円。

 こちらは10年くらい使っているでしょうか。
 
 水性ボールペンにはいろんなものがあり,これより安い100円のものや,同じ価格帯のライバル製品などもあります。でも,この「ハイテック」の書き味(なめらかだけど少し硬い手ごたえがある)とかシャープな線が,いちばん好きなのです。

 肌身離さずこのペンを持っていますが,たまに忘れたり,切らしたりもします。そんなときほかのペンで代用するわけですが,どうも落ち着きません。きちんとメモしたり,メモしながら考えたりするときは,このペンでないと,どうも調子が出ない。

(去年,あるデザイン系の冊子で,日本で働く1人の外国人デザイナーが,このペンについて似たようなことを述べているのをみたこともあります)
 
 だから,この「ハイテック」を切らさないように,いつも数本のストックをこころがけています。

 私は,文具には興味がありますが,趣味的な「高級文房具」には,ほとんど関心がありません。
 このような手帳といい,筆記具といい,安価な実用品です。
 それも,「定番」のシンプルな製品ばかり。「最新機能」にもあまり関心がない。

 でも,そんなシンプルな製品のなかにこそ,本格的な文房具の魅力というのが,いっぱい詰まっているように思うのですが。

 これらの製品(吉田カバンも含め)はみな,デザイン的にも洗練されていると思いますし,値段を考えるとたいした性能です。たとえば200円の「ハイテック」の細く安定した線やなめらかな書き味は,すごいと思います。

 こういう「ささやかな愛用品」は,多くの人にあるのではないでしょうか。
 でも,意外と自覚がなかったりするのです。
 「こんな安物,べつにこだわりの品でもないし…」とか思っていたりする。

 でも,そういうものこそ,じつはほんとうにすばらしいモノであるのかもしれません。

(以上)
テーマ:思うこと
ジャンル:学問・文化・芸術
2014年02月15日 (土) | Edit |
ベランダからみた雪景色
ベランダからみた今日の景色

 先週に引き続き,昨日今日と私の住む東京は大雪でした。交通も大混乱。

 先週末に「雪だし,やめておこう」となった遠出や買い物を,今週末もやめることにしました。今日出かけるとしても,近所のスーパーくらいでしょう。

 こんなふうに雪に閉ざされる感じで行動範囲が狭くなると,「近所だけだと,買い物などの選択肢はきわめて限られている」と実感します。

 いつものお店のいつもの品,いつもの本屋のいつもの棚,いつものコーヒーショップのいつものメニューなどを超えて,すぐに何かが欲しいと思っても,それはムリなわけです。ネット注文できるかもしれませんが,時間がかかります。

 普段なら,その気になれば電車に乗って30分ほどで都内の繁華街に出ることができます。そこへ行けばぼう大な「選択肢」があるわけです。

 でも,「すぐに都会に出られる自由」に制約がかかると,郊外で暮らす今の暮らしが,ちょっとちがってみえてくる。

 高齢や健康状態などのせいで,普段の行動範囲が限られてしまう人は,毎日の暮らしの「選択肢の少なさ」をつよく感じているのかもしれない……そんなことも思います。

 ここで,何年か前に読んだ,北海道の小さな町で民宿を営むご夫婦を紹介する新聞記事(新聞の付録のフリーペーパーの記事)を思い出しました。

 民宿の奥さん(当時38歳)の言葉が印象的だったのです。抜き書きしていたので,ご紹介します。奥さんは,もともとは大都市で暮らしていたのだそうです。

《毎日の作業は一緒。買い出しに行くスーパーも同じ。都会だとたくさん店があって,電車やバス,自転車で行こうか悩み,着ていく服も変わる。毎日数え切れない選択をしていたんだなあって。選択肢がないから迷えないし,迷わない今の単純な生活,私は嫌いじゃないです。》

北海道・比羅夫にある「駅の宿ひらふ」の奥さん・南谷敦子さんの言葉。
『THE NIKKEI MAGAZINE』2009年2月15日より
 

 たしかに,北海道の田舎のほうだと,そういうことなのでしょう。
 秋田県の田舎に住む私の義理の父母の毎日も,似たところがあります。

 この記事を読んだとき,「たしかに〈選択肢の少ない,迷わない暮らし〉も悪くないのかも」と思いました。

 でも,今回のように少しだけ「雪に閉ざされる」感じを味わうと,「選択肢が少ないのは,やっぱりつまらない」という気持ちにもなります。
 
 普段はあれこれ考えずシンプルに暮らすのはよいとしても,その気になればいつでも「ぼう大な選択肢」のあるところへ出て行ける,そういう「自由」のあることが大事なのかも……自分にとってはそうなのかなあ……

 いずれにせよ,雪が降ったせいで,今の自分の暮らしについて少し考えなおしてみたのでした。

(以上)
テーマ:思うこと
ジャンル:学問・文化・芸術
2013年10月14日 (月) | Edit |
リビング3
我が家のリビング 

 私は築30数年の団地をリノベーションして,夫婦2人で住んでいます。
 「団地リノベ暮らし」の魅力について語るのは,このブログの柱のひとつ。

 でも,「団地は理想の住まい」だとは,思っていません。
 いろいろ制約がある中での「ひとつの選択肢」だと思っています。
 
 ほんとうの「理想の家」といったら,便利でかつ閑静なよい環境にあって,広々していて,立派な設備で……とかいうことになるのでしょう。そして,集合住宅よりも一戸建てのほうがいいはず。
 でも,そんな家が買える人は,少数派です。
  
 私たちには,いろいろ「制約」があるわけです。

 そのなかで,少しでも納得・満足に近づくために,どうしたらいいか。

 自分のなかで納得できる「妥協の組み合わせ」をさぐることではないかと思います。

 たとえば,郊外に行くほど,同じコストでより広い家に住むことができます。
 もしも「どうしてもこのくらいの広さは欲しい」というなら,少々通勤などが不便でも郊外に住むしかないでしょう。もしも,通勤の便利さや都会に住む楽しみを優先したいなら,広さを犠牲にしないといけないはずです。

 「いくらか広いけど郊外の不便なところにある家」と「便利な都会にあるけどかなり狭い家」――これはあくまで抽象的な例ですが,どちらも一定の妥協を含んだ選択肢です。

 もちろん,住まいをじっさいに選ぶときは,こんなに単純ではありません。

 検討すべき項目は,もっとたくさんあるわけです。各項目についても「広い・狭い」「便利・不便」のように単純に分けられるものではなく,その程度や中身はさまざまです。
 
 くりかえしますが,だいじなのは,予算などのさまざまな制約をふまえ,自分が最も納得できそうな「妥協の組み合わせ」をさぐることです。

 さきほど述べた「郊外か・都会か」は,ロケーションなどの基本条件にかかわる話でしたが,もっと具体的な間取りや設備にかんしても,この視点はだいじです。

 たいていの家には,「欲しい要素」をぜんぶ詰め込むことはできません。

 広々した玄関ホールがあり,トイレ,バスはゆったり充実していて,立派なこだわりのキッチンがあり,収納もいっぱいあって……といったことをすべて実現しようとすると,ほかの空間は狭くなってしまうでしょう。「リビングは,これしかないの?」という感じになる。

 だから,「欲しい要素」の間のバランスやさじ加減を考えないといけません。
 メリハリをつける,といってもいいです。
 それが「妥協の組み合わせ」ということ。

 ***

 ここまで,なんだかあたりまえの話ですね。
 でも,住まいを考えるとき,このような視点を,多くの人が忘れてしまうように思います。
 
 とくに私は「団地リノベ」「団地の魅力」についてよく語るわけですが,それに対する反応などから,そう感じるのです。

 つまり,「団地にはいいところがあるよ」というと,「でもね…」という反応が,しばしばあります。

 団地はエレーベーターがない(ことが多い),とにかく狭い,設備や内装が古い,防音や耐震性に問題がある,住民が高齢化していて街に活気がないかんじがする… 

 とにかく,いろんな「団地の問題点」があがってきます。

 そして,「だから団地はダメだ」「私は住めない(引っ越した)」と。

 個人の事情や選択の話としては,それでもいいのです。
 でも「住まいを考える議論」としては,「団地はエレベーターがないからダメ」みたいなところでは終わらせたくない,と私は思います。

 そこには「妥協の組み合わせをさぐる」という視点がないからです。
 
 私は,いろんな「妥協の組み合わせ」の結果として,今の団地の住まいを選びました。
 さきほどあげたような,団地のデメリットは承知しています。
 その一方で,団地の「良いところ」にも目を向けました。

 緑豊かで,静かな環境。
 見晴しのよいロケーション(私のウチの場合)。
 南北両面の窓を開放できる,南側に多くの部屋がとってあるなどの間取りの魅力。
 古びてはいるけど,見方によっては落ち着いた温かみのある建物。
 比較的安い物件価格。都内で1000万円以下のものもある……


 そして,リノベーション(全面改修)することで,自分好みの内装や間取りをつくっていく,ということも行いました。

 そうやって選び,つくりあげた住まいが,費用対効果としてどうなのか。

 そんなことをぜんぶ含めて考え,今の「団地リノベ」の住まいを選びました。
 
 このブログで述べていることには,「団地リノベの勧め」という面はもちろんあります。
 でもそれ以上に述べたいのは「住まい選びにおける,妥協の組み合わせの探究」ということです。その「探究のやり方」です。

 この 「やり方・考え方」こそが,大事だと思います。

 団地というのは,住む人に「妥協」をたくさん要求します。
 制約や問題だらけの住まいといってもいいです。
 ということは,団地リノベの話は,「妥協の組み合わせ」の探究や,改修などによる「問題の克服」の格好の素材ではないか。

 だから,そこに住むかどうかにかかわらず,団地について考えることは,「住まい」全般について考えるうえで参考になるのではないでしょうか。
 住まいに対する見方の幅が広がるわけです。
 
 ただ,このブログではこれまで「リノベした結果」ばかり述べてきました。私が団地を選び,リノベしたプロセスについては十分述べていませんでした。
 これからは,そういう「プロセス」についても,ちゃんと述べていきたいと思います。
 「団地リフォーム物語」ですね。

 関連記事
   団地の間取りの特徴
   団地リノベはローコストか
   団地マニアでなく,団地エリート
   団地リノベーションの我が家

(以上)
テーマ:建築デザイン
ジャンル:学問・文化・芸術