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2013年01月26日 (土) | Edit |
イームズは,建築やデザインの世界ではたいへん有名な人です。しかし,多くの一般の人たちには,かならずしも知られていません。

以下は,「建築・デザインにとくに興味がない」という人にむけて,それこそ高校生でも読んでもらえるようにイームズの最も代表的な仕事を紹介したものです。イームズが取りくんだデザインの世界や,その考え方は,多くの人たちが知る価値があります。デザイン系の人たちのあいだだけではもったいない。

とくに,若い人には知ってもらいたいです。「デザイン」の世界に興味があるという人が,これからはもっと増えたほうがいい。それが日本のためです。イームズは,「デザイン入門」の格好の素材です。

写真は,おもに『Eames design』という,イームズの仕事を集大成した本からのものです(ただし「空港の待合イス」は『カーサブルータス特別編集 Eames The Universe of Dsigin』から)。
 
イームズの仕事

イームズ夫妻


「これ,みたことある」というイスをつくった人
チャールズ・イームズ(1907 ~1978)は,モダンデザインの名作イスをつぎつぎと生み出したデザイナーです。建築家,映像作家としても後世に残る仕事をしました。その仕事の多くを,「チャールズ&レイ・イームズ」の名義で,画家・デザイナーの妻レイ(1912 ~1988)と協力して行いました。
 
どんな仕事をした人かというと,たとえば代表作のひとつにこんなイスがあります。1953年につくられた「プラスチックサイドチェア」というイスです。その名のとおり,おもにプラスチックでできています。背もたれと座面がひとつながりになっているのが特徴です。

シェルサイドチェア

こういうイスを,駅のホームやスタジアムなどでみかけたことがありませんか? そのほとんどは,イームズのデザインを直接・間接にマネたものです。

こういう「これ,みたことある」というイスの「オリジナル」をいくつもつくったのが,イームズです。

イームズのイス,いくつか
ほかにもイームズがデザインしたイスをみてみましょう。
 
これは1951年につくられた「ワイヤーメッシュチェア」。針金のような細い金属(ワイヤー)でできています。

ワイヤーチェア


これは1958年につくられた,「アルミナムグループ」というオフィスチェア。

アルミナム


これは1962年につくられた空港の待合用のイス。

空港のイス

どうでしょうか。このうちどれかひとつくらいは,似たようなのをみたことがあるのではないでしょうか。

「今はあたりまえ」を生み出した
これらのイスの写真や現物を前にして,「1950~60年代のデザインだ」ということを話すと,「へえ,そんなに昔のものなんだ。もっと新しい感じがする」と感心する人がいます。

その一方で,「こんなイス,どこにでもあるあたりまえのものじゃないの?」と思う人もいるかもしれません。

たしかにそうです。たとえば空港用の待合イスなんて,この手のものがあちこちの空港にあります。

でも,「この手のイス」を最初に生み出して「あたりまえ」にしたのは,イームズなのです。イームズ以前には,こういうイスはあたりまえではなかったのです。

「プラスチック製の,背もたれと座面が一体のイス」「ワイヤーでつくったイス」などというのは,イームズ以前にはありませんでした。彼が最初につくり出したときには,非常に新しいものでした。

「アルミナムグループ」も,発表当時は斬新なものでした。金属を強調したシンプルなデザインは,高級なオフィスチェアとしては,考えにくいことでした。当時,それなりのイスを使うような,地位のある人には,もっとクラッシックな重厚なデザインが好まれました。

空港のイスも,イームズ以前にはこういうものはありません。これといった定番はなく,座り心地や機能性はずっと劣るものでした。

イームズの空港のイスは,見た目や座り心地だけではありません。メンテナンスを考え,座面などの傷みやすいところは取り外して新しいパーツと交換できるようになっています。公共の場で使うイスとしては重要なことです。シートの足元は空間を多くとってあり,荷物を置くことができます。

このように考え抜かれた,すぐれたものだったので,のちに類似品がたくさんつくられ,今は世界じゅうの空港にあるわけです。
 
そもそも,空港の待合イス(たかが待合イス)をこんなにも考え抜いてデザインするという発想じたいが,新しいものでした。

イームズは,「彼ら以前にはなかったけど,今はあたりまえ」のデザインをいくつも生み出したのです。これはデザイナーとしては最高級の仕事です。

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テーマ:建築デザイン
ジャンル:学問・文化・芸術