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2013年04月10日 (水) | Edit |
「自分で考えるための勉強法」シリーズの8回目。

研究者でなくても,「研究的」に勉強する。

「自分で考えるための勉強」には,4つのポイントがあります。

1.興味のあることを勉強する
2.よい先生をみつけ,徹底的に学ぶ
3.「科学とは何か」といった本質を押さえる
4.勉強の成果を文章で表現する
 

これらのことについて,このシリーズでは述べていきます。でもじつは,それはみな同じひとつのことを言っています。
 
それは,「研究的に勉強する」ということです。

「研究」なんて言うと,「私は別に学者や研究者になろうとしているわけじゃない」と,とまどう人もいるかもしれません。

たしかに,このシリーズはいわゆる「研究者」をめざしている人を対象としているわけではありません。そういう人にも役立つかもしれませんが,もっと広い範囲の「自分の勉強を仕事や生活に役立てたい」という人に向けて書いています。

でも私は,「研究的に勉強しよう」と言いたいのです。

ここで「研究的」というのは,「テーマを自分で設定し,勉強の成果をひとつの作品にまとめあげ,公表する」ということです。

学者は,自分の問題意識に沿って研究テーマを決め,研究の成果を論文にまとめ,学会で報告したり学会誌に発表したりします。「自分で研究テーマを決める」というのは,さっき述べた「興味のあることを勉強する」ということです。

「先生をみつけて……」ということなら,プロの研究者は,大学の研究室などで先生の指導を受けてプロになるのです。研究論文は,「勉強の成果を表現する」ということです。

そうした,プロのやっていることを,自分なりのレベルや人間関係の範囲内でやっていこう,ということです。

ちょっと興味があって調べたことや考えたことを,紙一枚くらいの短い文章にまとめる。それを,ひとりでもいいから,誰かにみせて読んでもらう。まずは,そういうことを意識的にやっていくのです。

最初は,たわいのないテーマでいいのです。最近気になるタレントのこととか,「なぜあのチームは近頃勝てないのか」とか。政治・経済やビジネスのような「まじめな」テーマである必要はありません。

もちろん,はっきりした関心や目的意識があるなら,そのほうがいいでしょう。たとえば,資格試験のために何かの専門分野の勉強をしているなら,自分が勉強したことについて友だちにわかりやすく解説する文章を書いてみる。

特別なことを書く必要はありません。「少し勉強した人なら常識であるような知識を,ちょっと整理してみた」といったものでもいいのです。

***

多くの人は,画期的な発見やすばらしい意見でないかぎり,それを文章にして人にみせる価値はないと思っています。でも,それはちがいます。たとえ,社会全体でみれば「画期的」とは言えないものであっても,あなたの友だちの中には,あなたの書いたものに関心を持ってくれ人がいるかもしれません。あなたは,身近な人にとって役立つもの,面白いものを書けるかもしれません。

身近な人が少しでもよろこんでくれるなら,書く意味があります。

「自分の勉強したことが,人によろこんでもらえる」というのは,うれしいものです。それがたったひとりでも,ほんの少し関心を持ってもらっただけでも,です。

私は,ずっと活字にならない文章を書いていました。ただ書くだけでは,むなしいです。そこで,書いたものに興味を持ってくれそうな人にみせては,何か言ってもらうようにしていました。そのとき,ちょっとでも「いいね」と言われると,うれしかった。また何か書こう,という気持ちになりました。

大発見をした科学者は,そういう「うれしさ」を最高のレベルで味わっているわけです。一流の科学者というのは,いわばプロ中のプロですが,そういう人のやっていることを,自分とは縁のないものと考えてはいけません。

一流のプロがやっていることは,「うまくなりたいなら,誰もがこうしなくてはならない」というモデルを示しているのです。

(以上,つづく)

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