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2013年04月25日 (木) | Edit |
このブログで書いているいくつかのシリーズの中に「GDPでみる経済入門」というのがあります。これは,ほかの記事にくらべると「拍手」が少なくて,読んでいただけているのか不安になります(^^;) でも,めげずに続けていきたいです。

このシリーズがめざすのは,「マクロ経済学の入門の入門」(「マクロ経済学」とは,「国全体の経済をみわたす経済学」のこと)。高校の「政治経済」の授業と,大学の教養課程の経済学のあいだをつなぐような話,といってもいいです。

ここでいう「マクロ経済学」とは,「ケインズ経済学」のことです。
  
このシリーズの今までの記事では,つぎのことを述べました。

「GDPとは国全体の総買い物額であり,総所得であり,生産された付加価値の総額である」
「1人あたりGDPは,その国の経済の発展度や生活水準を示す重要な指標である」
「GDPは,個人の買い物+企業の買い物+政府の買い物」

これから先は,「個人の買い物≒個人消費」と「企業の買い物≒設備投資」と「政府の買い物(政府支出)」の相互の関係を述べていきます。個人消費と設備投資と政府支出は,相互に作用しあっています(あとこの3つに加え「純輸出(輸出-輸入)」という要素も,GDPに含まれます)。

これら3つ(+純輸出)の相互作用で,経済(GDP)は動いていきます。

それから,GDPそのものには含まれないけど,GDPに影響をあたえる数字というのもあります。たとえば,円・ドルの為替レート,株価,金利,物価。これらは何かと何かの「交換比率」とでもいうべき数字です。たとえば為替レートは「ある国の通貨と外貨の交換比率」ですし,物価というのは「モノとお金の交換比率」といえます。

これらが,さきほどの「GDPの3つの要素+純輸出」にどう作用するのか。

そんなことの基礎の基礎の話をしたいのです。それがひととおりできたら,「国の経済」のしくみがざっくりとみわたせるでしょう。 いろんな要素や「交換比率」が相互に作用しあっている,ひとつの大きな「システム」として,経済がみえてくるはずです。

20世紀前半に活躍した経済学者ケインズは,今述べたさまざまな概念の成立・確立に貢献しました。GDPの概念,「消費」と「投資」,政府支出の位置づけ,各要素の相互関係……

よく勉強している人のなかには,こういう経済の見方について,「そんな古臭いケインズ経済学なんて今さら」という人がいるはずです。「今の経済学はそんなんじゃないだろう」と。(ケインズ経済学は,40~50年前はマクロ経済学の代名詞といえる主流派でしたが,その後,基本的な発想を異にする「新古典派」の経済学が台頭した)

たしかにそうなのです。今の経済学者の主流派は,「ケインズ経済学は,もう古い」という人たちです。

たとえば,アベノミクスのブレーンのエコノミストたちはそうです。その多くは「マネタリズム」という考え方に立っています。つまり,経済の動き,たとえば「デフレ」という「物価全般の下落が続く」現象を,「貨幣現象」として説明するのです。「貨幣現象として説明する」というのは,「社会に流通するマネーの量を変化させることで,その現象を左右できる」ということです。

ケインズ経済学では,そのように「デフレ」をとらえたりはしません。もっと「実体」的に,経済における需要の低迷が続いた結果としてとらえます。

このあたりは説明不足ですが,とりあえずの説明ということで。

経済学者の主流派のあいだで「もう古い」とされるケインズ経済学。

ただし,「古くなんかない」という専門家もいます。私はそちらに共感します。私たちはそれについて基礎の基礎くらい,知っておいていいのではないか。というか,私たちがまず知るべきなのはそんな「古い経済学」ではないか。

というのは,経済について語ったり,政策にかかわったりする専門家の多くは,結局は「古い経済学」の整理に基づいて,考えているからです。少なくとも私はそうみています。

これはその専門家たちが「遅れている」からではなく,「古い経済学」に,現実的な有効性があるからではないかと思うのです。経済の現実をよくとらえている(少なくともそういう面がある)ということです。

アベノミクスも,「金融緩和」のような,いかにも「マネタリズム」的な政策ばかりではありません。「賃金を上げるべきだ」とか,公共事業にも力を入れていく,といったことは,ケインズ経済学の発想とつながっています。

「成長戦略」とかいう話もあります。それが「官僚が主導して特定の産業を振興させよう」という方向へいくなら,それは学派を問わず今の多くの経済学者が疑わしいとする考え方です。

つまり,ある学派の考えで一貫しているのではなく,「利きそうなこと」は,ごちゃまぜだろうが何だろうが,とにかく取り入れてみる。たぶん,「政策」とはそういうものなのでしょう。

なんだか,ほんとに説明の足りない話になってしまいました。

でも,「GDPでみる経済入門」のシリーズのなかで,おいおい述べていくつもりです。基礎の概念をコテコテ説明したりして,ちょっと「かったるい」こともあるかもしれません。でも,きちんと理解していくためには,必要なこともあるはずです。今後ともおつきあいいただければ,と思います。

(以上)

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