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2013年08月04日 (日) | Edit |
コロンボのライト

コロンボのライト (2)

 以前の記事で紹介したことがあるのですが,上の写真はウチのリビングにあるフロアライトです。
 ミッド・センチュリー(ほぼ1950~60年代)のイタリアを代表するデザイナー,ジョエ・コロンボ(1930~1971)の作。

 私はこれを8年前に買いました。いかにも簡素で,古い団地をリノベして住んでいる我が家にも合う。暗い部屋で点灯すると,器具の存在感が消えて,「明かり」だけが際立つ。気に入っています。

 このライトの電球が,おととい切れました。

 下の写真がそれです。向かって右が切れたもの。左が昨日買った新品。
 「クリプトン電球」の,ややマイナーなタイプ。

クリプトン電球

 クリプトン電球の「クリプトン」とは,電球のなかに入っているガスの名前。最も一般的な白熱電球とはちがう物質が入っています。
 くわしいことはわかりませんが,一般の電球よりも大きさのわりに強く発光するタイプが多い。光線の色合いなどもやや異なっていて,独特の味わいがある。

 値段は,かなり高いです。
 昨日買ったのは,ある量販店では1100円ほどでした。

 私が昨日,この電球を買うために覗いたのは,新宿の東急ハンズでした。ほかの買い物もあったので,ついでに,という感じです。

 そこで電気・照明が専門の店員さんから聞いたのは,「この手のクリプトン球は,最近どんどん生産が減っている」ということ。

 とくに私の使っているタイプ(ソケットにねじ込む金口の口径17ミリ)というのはマイナーで,今は日本では東芝でしか作っていない。私が使っていた(今回切れてしまった)パナソニック製は,すでに生産中止である……

 店頭には今置いてないので,取り寄せになるとのこと。
 
 東急ハンズは,量販店より少し値段が高いですが,たまにこういう話を聞けるのがいいですね。
(あとで近くの家電量販店をみたら,そこにはあったので,1個買って帰りました)

 その後ネットで調べてみても,たしかに私が買ったようなクリプトン球というのは,マイナーなようです。
 独特の光の風合いが好まれることもあったけど,やはり値段が高いので敬遠される。発熱量が多く,使いづらいという面もある。だから,あまり普及していない。

 そもそも,白熱電球じたいがマイナーになってきています。
 蛍光灯やLEDへの移行を促そうと,政府が「白熱電球の生産の自粛」をメーカーに求めたりしている。省エネと新しい需要を喚起するためです。

 クリプトン電球(私の使っているタイプ)は,近い将来消えてしまう運命なのかも?

 店員さんの話を聞いて,「こういう電球もいつ買えなくなるかわからないから,ストックを持っておこう」と思い,数個を注文しました。
 1個で3年くらい持つので,10数年分か。
 このフロアライトは使えるかぎり,使いたいと思っています。

 白熱電球の一種をかたくなに使い続けるなんて,今の「省エネ」の流れに逆行しているのかもしれません。
 でも,好きなデザインの照明を使い続けたい。
 好きな光の色合いをたのしみたい。

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 LEDの光は,すべてがそうではないですが,違和感があります。
 将来は改良されていくのでしょうが,今のところはそう感じています。

 私にとって,電灯の理想的な光は,白熱電球の暖かい光です。オフィスではともかく,家でくつろぐときは,あれがいい。

 その点で,白熱電球タイプの蛍光灯は,相当良くなりました。白熱灯にかなり近い光になっています。私も使っています。

 去年のことですが,毎日通る道の街灯が,白熱灯からLEDに変わりました。前の明かりは,みるたびになごんだのですが,今は青白いギラギラした光になってしまいました。

 省エネのためなら,仕方ないのかなあ…

 でも,「古い照明器具を20年30年使う」みたいなことも,モノを大切に使うという意味での「省エネ(省資源)」です。

 あと,ウチの場合,自家用車も持ってないし,エアコンも,ほぼ使っていません(2台あるうちのメインの1台が故障して直してないのです)。現代人としては,かなり省エネな暮らしをしているはずです。

 だから,それに免じて,クリプトン球を使ったフロアライトを使い続けたしても,バチはあたらないのでは…と勝手に思っています。

(以上)
 
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2013年08月04日 (日) | Edit |
 その人の誕生日や命日にちなんだわけではありませんが,新作の「四百文字の偉人伝」を。
 手塚治虫,藤子・F・不二雄,石ノ森章太郎,赤塚不二夫といった,マンガの巨匠について。

 あえていえば,おとといの8月2日は,赤塚の命日でした。

 先日「ゴロウデラックス」(TBS系)という深夜番組をみました。SMAPの稲垣吾郎さんがメイン司会で,作家や文化人をゲストに呼び,その著書を紹介する番組です。その日は直木賞を戦後最年少で受賞した作家・朝井リョウさんが出ていました。

 そのなかで,朝井さんが 「SMAPは,1989年生まれの自分からみれば,電気・水道・ガスみたいなインフラのようなものだ」ということを言っていました。
 「物心ついたときから,テレビに出ているのをたくさんみてきたので,あたりまえのような存在だ」ということでしょう(SMAPは1988年結成。ウチのカミさんは大ファンです)。
 タレント・文化人を「インフラ」というのは,おもしろい表現だと思いました。

 それを聞いて, 「自分にとってそのような意味でのインフラって,何(誰)だろう?」と考えました。

 思い浮かんだのは,手塚治虫のような,昭和のマンガの巨匠たち。

 私が子どもだった1970年代に,すでに彼らはマンガ界の重鎮で,しかもバリバリの最前線で活躍していました。リアルタイムで,つぎつぎと生まれてくる新作が読めたのです。
 それはマンガ好きの少年にとって,あたりまえの「インフラ」みたいなものでした。

 しかし,時は流れました。巨匠たちも,多くは亡くなった。ちばてつや先生や,藤子不二雄A先生や,水木しげる先生など,かぎられた人が今もおられるくらい。ただし,第一線からはすでに退いている。

 でも,巨匠たちが残した作品が「インフラ」として残っている,といえるのでしょう。

                       *

手塚治虫ほか,マンガの巨匠

命を縮めるほど,精一杯だった

 画家や作家には,長寿の人のたくさんいます。でも,マンガの基礎をつくった巨匠には,長生きしなかった人が目立ちます。
 亡くなった歳は,手塚治虫,60歳。藤子・F・不二雄,62歳。石ノ森章太郎,60歳。赤塚不二夫,66歳で病に倒れ,6年間の入院の末,死去。
 彼らは,20歳ころから,締切りに追われながら睡眠や食事の時間を切り詰め,ひたすらアイデアを練って描くという生活を何十年も続けました。
 たとえば,NHKのドキュメンタリー(1986年放送)の中で,50歳代の手塚は,店屋物のチャーハンを夜食に,徹夜で机に向かっていました。タクシーのなかでも原稿を描いていました。
 こういう生活が命を縮めたのです。
 また,赤塚のように,中年期からはストレスで酒におぼれてしまったケースもあります。
 彼らほどハードな仕事を長年続けたクリエイターは,ほかの分野ではまずみあたりません。それだけマンガの発展期のエネルギーはすごかった,ということです。

参考:石ノ森章太郎『トキワ荘の青春』(講談社文庫,1986),藤子不二雄(藤子不二雄A)著『二人で少年漫画ばかり描いてきた』(文春文庫,1980)

【手塚治虫】
1928年11月3日生まれ~1989年2月9日没
【藤子・F・不二雄】
1933年12月1日生まれ~1996年1月23日没
【石ノ森章太郎】
1938年1月25日生まれ~1998年1月28日没
【赤塚不二夫】
1935年9月14日生まれ~2008年8月2日没

 現代マンガ(=ストーリーマンガ)開拓者である手塚治虫と,その影響を受け,マンガの発展に大きく貢献した作家たち。藤子,石ノ森,赤塚は新人時代の1950年代に「トキワ荘」というアパートに集まって住み,刺激を受けあっている。

                         *

「四百文字の偉人伝」は,古今東西のさまざまな偉人を,400文字ほどで紹介するシリーズ。このブログでときどき載せています。(カテゴリー:四百文字の偉人伝
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