FC2ブログ
2013年09月07日 (土) | Edit |
 昨日から今日にかけて,宮崎駿監督の「引退」記者会見の様子をテレビでみました。

 何百人という記者団がつめかけ,会場に監督が入ってくると,ものすごいシャッター音とフラッシュ。
 
 会見の内容以上に,その光景がまず印象的でした。

 宮崎駿という人が,こんなにも「偉く」なるなんて!

 私は今年48歳で,中学生のとき宮崎監督のファンになりました。
 70年代おわりの,宮崎さんの初のテレビシリーズ演出作品『未来少年コナン』(1978年)や,初の劇場用映画の監督作品『ルパン三世カリオストロの城』(79年)に,夢中になりました。

 そのころの宮崎さんは,業界の人や一部のアニメファンにしか,知られていません。
 また,興業的にも不発でした。
 『未来少年コナン』はNHK初の連続アニメ番組でしたが,視聴率はヒトケタで低迷。
 『カリオストロの城』もお客の入りが悪く,2週間ほどでロードショーの上映が打ち切られてしまいました。

 その後,数年間は宮崎さんには「冬」の時代でした。

 企画を出しても通らず,作品がつくれない。
 そんななか,半ば仕方なく描きはじめたのが,マンガの『風の谷のナウシカ』(82年連載開始,映画は84年)。
 月刊のアニメ雑誌に連載していたのを,高校生の私は,ナウシカのページだけ切り抜いてファイルしていました。オタクですね。

 それをみた私の父(昭和ヒトケタ)は,「高校生にもなって,そんな幼稚なくだらんものを大切そうに!」と罵倒しました。

 でも,あれから30数年。
 宮崎さんは今では,「現代日本文化の,最高の権威」みたいになっているのです。
 私の父が尊敬してやまなかった,かつての司馬遼太郎みたいなポジションにいる,といってもいいでしょう。(そうなっていったプロセスは,今回は立ち入りませんが)

 昨日の記者会見で,私はあらためて「時代は変わる」ということを,感じました。

 つまり,マイナーだったもの,ステイタスの低かったもののなかに,つぎの時代のメジャーや権威があらわれることがある。

 あるいは,予想もつかないところから,「新しい時代の主役」が出てくることがある。


 かつての宮崎駿のケースは,そのわかりやすい典型です。

 ***

 ところで今の世の中では,「未来の主役」は,どこにいるのでしょうか?

 きっと社会のどこかで,今も何かをしているのでしょう。
 そして,その仕事に一部の若い人たちが夢中になっているのかもしれない。

 でも,50歳近くなった私には,きっとわからない。
 その「誰か」に気づいていないだろうし,みかけたとしても,評価せずスルーしてしまうにちがいない。

 今の私は,私の「ナウシカ」の切り抜きを罵倒した当時の親父と,ほぼ同じ年齢になりました。

 そんな私が「なんだこりゃ」と眉をひそめるもののなかにこそ,文化の未来があるのかもしれない。

 でも,そうでもないかもしれない。

 私たちの文化は,じつはかなり停滞していて,オジさんの理解を超えるものが,新たに台頭することが少なくなっていくのかもしれない……
 たとえば,AKBとかは,昔のアイドルをみていた世代にとっては,じゅうぶん理解できるものです。「ああいうの,オレたちのころにもあったなあ」と。(そもそも仕掛け人がオジさんですし…)

 まあ,わかりません。

 そんなことをぼんやり思いながら,記者会見の報道をみていました。

 関連記事 社会の変化はゆっくりになっている?

(以上)
関連記事