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2013年10月12日 (土) | Edit |
 アメリカ合衆国では,10月12日は「コロンブス・デー」といって,大多数の州で休日なのだそうです(10月第2週の月曜を休日とする所もある)。
 1492年のこの日に,クリストファー・コロンブスが大西洋を横断し,アメリカ大陸に近いバハマ諸島というところに上陸したので,それにちなんでのこと。

 そこで今回は,コロンブスの「四百文字の偉人伝」を。
 古今東西のさまざまな偉人を,400文字程度で紹介するシリーズ。


コロンブス

何が画期的だったのか

 1492年に大西洋を横断し,ヨーロッパ人によるアメリカ大陸発見への道を開いたクリストファー・コロンブス(1451~1506 イタリア)。
 彼が画期的だったのは,「大西洋を渡ろうとした」ということではありません。
 それなら,先に何人かの人が考えています。しかし,その人たちが主張した航海の目的地は,宗教的な観念に基づく「伝説の楽園」といった,あいまいなものでした。
 これに対し,コロンブスは,当時最新の地理学説(今からみれば大きな誤りもある)に基づいて「アジアをめざす。アジアへの新航路を開拓し,貿易で儲ける」と主張しました。根拠のある,リアルな目標です。
 その目標設定が認められてスペイン国王というスポンサーがつき,航海が実現しました。
 そして,「幻想」に基づいて航海しようとした人たちには成し得なかった成果をあげたのです。
 「その挑戦がめざすもの」を的確に設定できなければ,成功はむずかしいのです。

増田義郎著『コロンブス』(岩波新書,1979)による。

【クリストファー・コロンブス】
大西洋横断の航路を開拓した航海者。「地球球体説」に基づき,従来とは逆に大西洋を西に回ってインドへ達しようとした。その途中で,新大陸に近いバハマ諸島にたどり着いた。
1451年?生まれ(1446年説あり) 1506年5月20日没

 ***

 つけ足しの話をします。
 「コロンブスはアメリカ大陸を発見したのか?」ということについて。
 
 じつはコロンブス自身は,自分はインド(アジア)に到達したと思っていました。のちに1500年代になって,ほかの航海者・探検家たちによって「インドではなく新大陸」ということが明らかになります。「新大陸である」という説を最初にとなえたアメリゴ・ベスプッチにちなんで,「アメリカ」という名称が生まれました。

 でもとにかく,コロンブスは「のちにアメリカ大陸といわれる土地」に到達した。これを「アメリカ大陸の発見」というべきか?

 近年は,「コロンブスは,アメリカを〈発見〉などしていない」ということになっています。
 アメリカ大陸には,先住民の人びとが1万数千年前から住んでいたのだ,コロンブスはそこへやってきただけだ,というわけです。まあ,たしかにそうです。

 この何十年のあいだに「西洋中心主義(なんでも欧米がエライ)」が批判され,さまざまな文化の固有の価値を尊重する「多文化主義」「文化相対主義」などの思想が有力になりました。
 その流れの中で「〈コロンブスのアメリカ発見〉などというのはいかにも西洋中心の見方で,まちがっている」ということになったのです。

 それから,「コロンブス以前にアメリカに到達した航海者」も,発掘されています。

 代表的なのは「ノルマン人(≒ヴァイキング)が西暦1000年ころ北米に達し,移住・植民も試みられたが,途絶えてしまった」という話。
 あと「1400年代初頭に中国の明王朝の船がコロンブスより数十年先に北米に行っていた」という説もあります。

 このうち,「ノルマン人の北米発見」は,歴史学者たちのあいだでほぼ「事実」と認められているようです。
 「中国人による発見」のほうは,異端の説にとどまっています。

 でも,ノルマン人によるものであれ,中国人によるものであれ,いずれにせよその「航海・発見」はあとが続かなかったわけです。だから歴史上の「埋もれた事実」に一度はなったのです。

 これに対し,コロンブスの航海以後は,スペインなどの多くのヨーロッパの船が南北のアメリカ大陸と行き来するようになりました。それはノウハウの蓄積など,航海をさかんにする社会的な取り組みがあったからです。

 コロンブスの航海は,たしかに「アメリカ発見」とはいえないのかもしれません。

 しかし,それが「発見」であったかどうか以上にだいじなのは,「航路を開拓した」ということです。
 つまり,「コロンブスのあとに続くほかの船乗りも,アメリカに行けるようになった。それが継続・発展した」ということ。
 「再現性のある,一種の技術革新をした」といってもいい。
 それが,コロンブスの功績です。

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テーマ:歴史
ジャンル:学問・文化・芸術