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2013年10月14日 (月) | Edit |
リビング3
我が家のリビング 

 私は築30数年の団地をリノベーションして,夫婦2人で住んでいます。
 「団地リノベ暮らし」の魅力について語るのは,このブログの柱のひとつ。

 でも,「団地は理想の住まい」だとは,思っていません。
 いろいろ制約がある中での「ひとつの選択肢」だと思っています。
 
 ほんとうの「理想の家」といったら,便利でかつ閑静なよい環境にあって,広々していて,立派な設備で……とかいうことになるのでしょう。そして,集合住宅よりも一戸建てのほうがいいはず。
 でも,そんな家が買える人は,少数派です。
  
 私たちには,いろいろ「制約」があるわけです。

 そのなかで,少しでも納得・満足に近づくために,どうしたらいいか。

 自分のなかで納得できる「妥協の組み合わせ」をさぐることではないかと思います。

 たとえば,郊外に行くほど,同じコストでより広い家に住むことができます。
 もしも「どうしてもこのくらいの広さは欲しい」というなら,少々通勤などが不便でも郊外に住むしかないでしょう。もしも,通勤の便利さや都会に住む楽しみを優先したいなら,広さを犠牲にしないといけないはずです。

 「いくらか広いけど郊外の不便なところにある家」と「便利な都会にあるけどかなり狭い家」――これはあくまで抽象的な例ですが,どちらも一定の妥協を含んだ選択肢です。

 もちろん,住まいをじっさいに選ぶときは,こんなに単純ではありません。

 検討すべき項目は,もっとたくさんあるわけです。各項目についても「広い・狭い」「便利・不便」のように単純に分けられるものではなく,その程度や中身はさまざまです。
 
 くりかえしますが,だいじなのは,予算などのさまざまな制約をふまえ,自分が最も納得できそうな「妥協の組み合わせ」をさぐることです。

 さきほど述べた「郊外か・都会か」は,ロケーションなどの基本条件にかかわる話でしたが,もっと具体的な間取りや設備にかんしても,この視点はだいじです。

 たいていの家には,「欲しい要素」をぜんぶ詰め込むことはできません。

 広々した玄関ホールがあり,トイレ,バスはゆったり充実していて,立派なこだわりのキッチンがあり,収納もいっぱいあって……といったことをすべて実現しようとすると,ほかの空間は狭くなってしまうでしょう。「リビングは,これしかないの?」という感じになる。

 だから,「欲しい要素」の間のバランスやさじ加減を考えないといけません。
 メリハリをつける,といってもいいです。
 それが「妥協の組み合わせ」ということ。

 ***

 ここまで,なんだかあたりまえの話ですね。
 でも,住まいを考えるとき,このような視点を,多くの人が忘れてしまうように思います。
 
 とくに私は「団地リノベ」「団地の魅力」についてよく語るわけですが,それに対する反応などから,そう感じるのです。

 つまり,「団地にはいいところがあるよ」というと,「でもね…」という反応が,しばしばあります。

 団地はエレーベーターがない(ことが多い),とにかく狭い,設備や内装が古い,防音や耐震性に問題がある,住民が高齢化していて街に活気がないかんじがする… 

 とにかく,いろんな「団地の問題点」があがってきます。

 そして,「だから団地はダメだ」「私は住めない(引っ越した)」と。

 個人の事情や選択の話としては,それでもいいのです。
 でも「住まいを考える議論」としては,「団地はエレベーターがないからダメ」みたいなところでは終わらせたくない,と私は思います。

 そこには「妥協の組み合わせをさぐる」という視点がないからです。
 
 私は,いろんな「妥協の組み合わせ」の結果として,今の団地の住まいを選びました。
 さきほどあげたような,団地のデメリットは承知しています。
 その一方で,団地の「良いところ」にも目を向けました。

 緑豊かで,静かな環境。
 見晴しのよいロケーション(私のウチの場合)。
 南北両面の窓を開放できる,南側に多くの部屋がとってあるなどの間取りの魅力。
 古びてはいるけど,見方によっては落ち着いた温かみのある建物。
 比較的安い物件価格。都内で1000万円以下のものもある……


 そして,リノベーション(全面改修)することで,自分好みの内装や間取りをつくっていく,ということも行いました。

 そうやって選び,つくりあげた住まいが,費用対効果としてどうなのか。

 そんなことをぜんぶ含めて考え,今の「団地リノベ」の住まいを選びました。
 
 このブログで述べていることには,「団地リノベの勧め」という面はもちろんあります。
 でもそれ以上に述べたいのは「住まい選びにおける,妥協の組み合わせの探究」ということです。その「探究のやり方」です。

 この 「やり方・考え方」こそが,大事だと思います。

 団地というのは,住む人に「妥協」をたくさん要求します。
 制約や問題だらけの住まいといってもいいです。
 ということは,団地リノベの話は,「妥協の組み合わせ」の探究や,改修などによる「問題の克服」の格好の素材ではないか。

 だから,そこに住むかどうかにかかわらず,団地について考えることは,「住まい」全般について考えるうえで参考になるのではないでしょうか。
 住まいに対する見方の幅が広がるわけです。
 
 ただ,このブログではこれまで「リノベした結果」ばかり述べてきました。私が団地を選び,リノベしたプロセスについては十分述べていませんでした。
 これからは,そういう「プロセス」についても,ちゃんと述べていきたいと思います。
 「団地リフォーム物語」ですね。

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(以上)
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テーマ:建築デザイン
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