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2014年05月09日 (金) | Edit |
金萬
秋田名物「金萬」

 このゴールデンウイークは,妻の郷里の秋田県に,夫婦2人で行ってきました。
 帰省するたび,義父はクルマで県内の観光に連れて行ってくれます。

 今回はどこへ行こうか。話し合って,県内のある城下町を訪ねることにしました。妻の実家の農村地帯からクルマで1時間半の,人口10万ほどの町。父も,ほとんど行ったことがないそうです。

 その町の郊外には,美術館などの文化・観光施設がまとめて建てられた一画があります。
 まずはそこへ行って,それから市内に,という予定でした。

 でも,施設につながる道はクルマが列をなしている。「混んでいるから,やめておこう」ということになって,まっすぐ市内に向かいました。

 まず,市の中心のJRの駅前へ。そこで観光案内所に行き,いろいろ教えてもらいました。

 駅前を「市の中心」といいましたが,JRの駅周辺がはっきりと「中心」であったのは,昭和の時代の話。
 近年は,郊外のショッピングセンターや,ロードサイドのお店のほうがにぎわっていたりします。
 その駅も,駅の周辺も,人通りは多くありません。

 駅近くの公共駐車場にクルマを停め,父母と私たち夫婦4人で,数時間ほど町を散策しました。

 名物のB級グルメを小さな中華食堂で食べ(おいしかった),町の伝統文化を紹介する施設に行き,古い街並みが残る一画を歩く。駅前のホテルのラウンジでコーヒーを飲んだりもしました。

 ガイドに載っている「スポット」を渡り歩いたわけですが,スポットそのもの以上に,街中を歩くことじたいが,たのしい。

 父は最初「市内を歩いたって,みるものはないんじゃないか」と言っていました。
 たしかに,「なんでもない風景」といえば,そのとおり。

 でも,古い商家がぽつんと残っていたり,小さなお寺をみかけたりします。
 「昭和」な感じの,お茶や茶器を売る立派なお店があったり,その横には大きな魚屋さんがあったり。

 町を歩いていて,「商店・飲食店や自営業の看板が多いなー」と感じます。

 肉屋,ケーキ屋,居酒屋,洋食屋,旅館,理髪店,洋品店,雑貨屋,英会話教室,工務店,墓石店,歯医者,自動車用品の店……考えられるかぎりのお店がある。古い店もあれば,イマドキな構えの店も。さびれた店もあれば,活気を感じる店もある。それらが,人の住むエリアの中にあるのです。チェーン店はほとんどなく,個人営業が中心。

 人が暮らしているんだから,いろんな店が並んでいるのは,あたりまえといえばあたりまえです。

 でも,私の住む東京の多摩地区にはあまりない光景です。私の住む町では,人が住む地域と商業の地域は分かれています。お店も,新しい・大企業のチェーン店ばかり。

 「地方の経済は,たいへん苦しい」といわれます。
 たしかにそうなのでしょう。そのことは,経済の本や統計からも,年輩の人の「昔はこの町もにぎやかだった…」といった思い出話からもわかります。
 
 私たちの歩いた,この町の商店や駅前も,昭和の時代にはもっとにぎやかだったにちがいありません。でも,今はかなりひっそりとしています。

 私は就職・キャリア関係の仕事をしていることもあり,地方の就職の状況も,多少はわかります。地方での,安定した正社員の職は,やはりかぎられています。「公務員の職があった」といっても,パートや契約職員だったりする。

 しかし,それでも人びとは何とかして,何かをして食べている。
 多くの商店や自営の看板をみていると,それを感じます。

 それぞれの商売は,それだけでは食べていけないのかもしれない。何かの勤め(パートの仕事かもしれない)との兼業でどうにか,ということもかなりあるでしょう。

 でもとにかく,自分の「生業(なりわい)」をみつけて,やっているわけです。
 自営で雑貨を売ったり,散髪をしたり,電気工事をしたり,英語を教えたり,ほかの人が求める何かを提供して,収入を得ているのです。

 「地方経済はどうなるのか,どうあるべきか」みたいなことはおいておきます。
 とにかく,「みんな,何かして暮らしてるんだなー」と。
 自分も,何かの「生業」で生きていかないといけない……

 そんなことを感じながら,町を歩きました。

 父も散策の後半からは,「なかなかおもしろいね,美術館などに行くよりよかった」と言ってくれました。
 
 知らない町をぶらぶら歩く。観光スポット以外の光景をじっくりみる。これはおすすめです。


昭和な店
町に残る昭和な店構え

橋の上から
町を流れる川

(以上) 
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