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2014年05月18日 (日) | Edit |
 5月になると,来年春に大学などを卒業する就活生たちのなかに「第一志望に落ちてしまって」という人が多くあらわれます。

 そのころまでに「人気のある大企業」では,採用の選考がひと段落する。
 そうした選考で,残念ながら落ちてしまった人たちがおおぜい出てしまう。
 「もう,受ける会社がない」などと落ち込む人もいる。

 もちろん,「受ける会社がない」なんてことはありません。たしかに,一部の大企業の選考は,かなり終わりました。でも,それは日本の会社のほんの一部。受ける価値のある会社は,まだまだあります。

 アニメの宮崎駿監督による「採用試験」というコラムがあります。(宮崎駿『出発点1979~1996』徳間書店 所収)
 宮崎さんは,だいぶ昔にあるアニメ会社のアニメーター採用試験にたざずわったことがあります。数百名の応募から約10名を採用する選考で,多くの人が不採用になりました。

 しかし,じつはこうだった,といいます。

《その後,仕事場を移って何本か映画を作った。そのたびに,スタッフの中にそのときの選考で私が不合格にした若者たちと出会った。いま作っている映画の中心メンバーにも,その数名が参加している。そのとき合格にして養成した新人たちも,成長して仲良く机を並べている。
 いったい,あの選考はなんだったんだろう》(166ページ)


 過去の採用試験落ちた人たちにも,その後第一線で活躍する人が結構いるのです。

 採用試験って,そういうもの。
 落ちたら「自分はダメ」とか,「もう終わり」とかいうことではない。

 採用試験で「すぐれた資質の人を客観的に選ぶ」ことは,たいへんむずかしいのです。ある程度はできるかもしれませんが,「あてにならない部分」はかなりあります。
 
 宮崎さんも,コラムでこう述べています。

《書類選考を始めてすぐ壁にぶつかった》
《一目瞭然の独創性,すぐれた資質の者などひとりもいない。混沌である。…面接しても,全員緊張ではりつめているから,瞳がキラキラしていて,質良く見えてしまう。慎重に客観的にと思いつつ,結局は狭い経験主義に頼ってしまったようだ》(166ページ)


 ***

 「第一志望」を落ちてしまった人へ。もしも,めざす場所に対し,あなたがある程度「いい線」のレベルにあると思えるなら,同業のほかのところをあたりましょう。その世界のどこかで,あなたを採用してくれるところがあるでしょう。「理想」の条件ではないかもしれませんが,チャンスは与えられるはずです。

 「〈理想〉の条件でないなら,あこがれの〈あの会社〉でないなら,その世界はいやだ」という人もいるでしょう。「野球選手になるなら巨人でないといやだ」とか「スタジオジブリでないとアニメーターにはなりたくない」といったことです。だったら,自分の「夢」を考えなおしてみてもいいかもしれません。
 
 そして,「いい線いっている,一定のレベル」に達するのには,それなりの努力や準備をすればいいのです。
 「一定のレベル」に達するだけなら,努力でどうにかなります。
 そこは,才能や,運の良し悪しや,面接のときの勢い・要領などには,あまり左右されません。
 
 もしも,そんな努力を重ねながらも「採用」に至らないなら,あるいは「一定のレベル」に達するのがむずかしいようなら,別の世界をあたってみましょう。
 「自分」を売り込む・持っていく場所を変えてみるのです。

 すると,あなたへの評価が大きく変わることがあります。「NO」といわれ続けていた人が,別の場所では「いいね!」といわれることがあるのです。そこが自分を生かす場所かもしれない。

 以上は,「きれいごと」ではなく,ほんとうのことです。
 くりかえしますが,採用試験なんて,そういうものなのです。

(以上)
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