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2019年07月30日 (火) | Edit |
参議院選挙での各政党の主張をみていて残念に思ったのは、やはりというべきか、暮らしに関わる経済・社会についての長期的な視点からの議論の弱さだ。

たとえば、年金などの社会保障、介護、女性の活躍、子育て、非正規労働者、高齢者の就労、外国人労働者、障害者、性的マイノリティーの人たち……こうしたテーマについては、安倍総理のような自民党の「保守派」の人たちは得意ではないだろう。おそらくそもそも関心を持ってこなかった。

自民党の保守派にとって関心があって比較的得意なのは、外交、国家の安全保障、政府や役所の組織・運営、金融政策などの、政治学の用語でいう「統治」の分野だ。選挙翌日の安倍総理のスピーチでも、憲法改正のような「統治」についての話に重きが置かれていた。

なお、「統治」と対になる、暮らしに関わる経済・社会の領域については「行政」という言い方がある。野党が自分たちの持ち味を発揮できるとしたら、この「行政」分野のはずだ。

今の政権の中心にいる人たちは、明らかに昭和的な価値観を大事にしているオジさんたちだ。つまり正社員のお父さんが働いてお母さんは専業主婦で、お年寄りは少数で大事にされ、親や先生は権威があって……というのがあるべき姿で、それに当てはまらないことは「あってはならない」とする感覚。

そのような「モデル」は、もちろん今の時代では非現実的だ。オジさんたちも多少はそのことはわかっているが、どうしても感覚がついていかない。

野党はそのような政権の弱いところへうまく斬りこむべきなのに、成功していない。

暮らし・経済関連であっても、目前の消費税率アップの是非のような短期的な議論になったり、長期的な話として「2000万円」問題に絡んで年金について主張したりはしたが、不発ぎみだった。年金に関しては、勉強不足で説得力や迫力のある話ができなかった。支給を手厚くしましょう、といいながらも財源を説明できないみたいなことが目についた。

これからの政治では、暮らしに身近な「行政」分野の長期的課題について魅力的な・説得力のある構想を打ち出せる政党が、きっと多くの支持を集めるだろう。その分野は、今現在ほぼすべての政党にとってこれといった考えが出せない空白地帯になっている。野党やこれから国政に参入しようとしている人たちには、そこにチャンスがある。

しかし、既存の野党はそれだけの構想力を持ち得るだろうか? なんだか難しい気もする。むしろ、自民党の次の世代のほうが「空白地帯」に積極的に参入してくるかもしれない。

あるいは、まったくの新興勢力が「行政」分野の「空白地帯」に関するさまざまな構想をかかげて急速に台頭することもあるかもしれない。元俳優が党首の新しい政党があったが、今回の選挙でのあの党首の演説を聞いていると、その可能性を感じる。

あの党の主張の多くに私は賛同できない。しかし、「消費税を廃止しよう」「奨学金の借金をチャラにしよう」「安く住める住宅を」といった主張は、ここでいう「空白地帯」への国民のニーズを察知したうえでのものだ。

今後、暮らしに関わる「行政」分野の長期的課題についての議論は、さらにさかんになっていくだろう。ならなかったら、もうどうしようもない。

では、議論が深まっていったとして、私たちはどういう方向性を支持するだろうか? あり得るのは3つ。1.いろいろ欠陥や不満足な点はあるが現実的で建設的な方向 2.結局何も決められない 3.徹底したバラマキ政策(財政がどうなろうとも) 

こうやって選択肢を並べると、「2.何も決められない」か「3.徹底したバラマキ」になる可能性が有力な気がして、心配になる。とくに、今後急速に新しい政治的勢力が台頭するとしたら、「3.徹底したバラマキ」路線の人たちなのだと思うが、どうだろうか?

(以上)
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