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2020年09月13日 (日) | Edit |
先日(9月12日)の日経新聞で、現代の都市化・都市への集中について論じた記事を読みました。(特集記事「パクスなき世界」第6回「新たな『都市像』を描けるか」)

そこでは、武漢という都市で発生した新型コロナウイルスがニューヨークなどの世界の大都市を襲ったことから「都市への集中による経済発展のモデルが揺らいでいる」「規模と効率を追求した都市の存在意義が問われている」などと論じられていました。

人類学者・長谷川真理子さんが関連のインタビューで、現代の都市化を「人類史上の異常な状態」と述べるのも引用していました。今の世界では総人口78億のうち40億が都市で暮らしているのだそうです。

このような「アンチ都市」の考え方から出てくる処方箋は、「大規模な都市を解体・分散すべき」というものです。

これを突き詰めれば、世界から大都市がなくなって、ムラや小都市などのこじんまりしたコミュニティが散在する世界というのが理想だということになる。

私は、こういう「アンチ都市」の言説をみかけると、かなり違和感をおぼえます。(ただし、日経新聞の記事じたいは、いろいろ考えさせる、参考にはなる記事です)

たしかに都市にはいろんな問題があります。人口の密集による感染症の蔓延というのは、その最たるもので、歴史上ずっと続いてきたことです。また「集中」ということでは、今の日本で東京ばかりにすべてが集中して地方都市が落ち込む傾向も、たしかに良くないと思います。

でも、だからといって「都市はそもそも異常なので、解体・分散すべきだ」みたいな方向には賛成できません。

私たちは、これまで築いてきた都市というもを、さらに大事に維持・改良していくしかないのではないか。高いレベルの経済や文化を維持しようとすれば、大規模で整備された都市というものは、社会にとって必要だと思います。都市を拠点とする専門家たちの活動が低下すれば、社会全体の生活や文化の水準は、きっと下がってしまう。

都市の維持・改良にあたって、これまでの常識を再検討することは、もちろん意義があると思います。

この記事の関連インタビューで建築家の隈研吾さん(新国立競技場の設計者)は「高層都市は時代遅れになった」と述べています。たしかに、もう巨大な超高層ビルが最先端の時代ではないのでしょう。

テレワークのようなITでできることをふまえて、働く場所を再設計することも必要。そうなると交通システムも変わってくる。

ただ、、最近よくいわれるような、「コロナ以後の動きとして、テレワーク化がすすんで都市(とくに東京)離れが起きる」という見方には私は疑問を持っています(ここでは立ち入りません)。テレワーク自体は必要だし、普及は良いことと思うのですが。

そして、環境への配慮は、さらに重要になる。地方都市の活性化も、とくに日本では重要な課題。

でも、こういう議論は「都市の存在意義を問う」ようなものではないです。都市化を「異常」とするものでもない。そうではなくて、都市を大切に考え、時代の課題にあわせて磨き上げていく取り組みです。

「都市への集中は異常だから、解体・分散すべき」というのは、現実の都市のさまざまな問題・課題を真正面から解決することをさまたげる思想なのではないかと思います。現実的な対処を放棄して「幻想」に逃げているところがあるように感じます。

このような「アンチ都市」への疑問をもとに、世界史上の都市の歴史について述べた記事を、私の別ブログ「そういち総研」でさきほどアップしました。ご一読いだだければ幸いです。

こちら→都市への集中・都市化は、はたして「異常」なのか?

(以上)
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2020年09月08日 (火) | Edit |
この間の週末、近所の駅前の近くにある、そんなに大きくはない書店に行って、1冊買って帰った。

書店を1時間あまりうろうろして、目についた本を20冊くらいは手にとってめくってみた。歴史、政治、SF、ビジネス、映画、料理など、ランダムに。いろんな刺激があって、アタマが動いて元気になる。私はときどき本屋をうろつかないと調子が落ちる。

昨日の夜も、少し早めに帰ってきたこともあり、この書店を30分くらいうろついた。このときは何も買わなかったが、また今度何か買うだろう。

私は、田舎のほうで暮らすことにもあこがれがあるが、その場合近所に本屋はないはずだ。それは私にとってやはりしんどい。本はネットで買えるけど、本屋を日常的にうろうろする贅沢ができなくなる。

近所にいろいろな本を手に取ることができる本屋さんがあることは、今や贅沢だと思う。

たしかに書店は少なくなってきた。20年余り前にはうちの近所の駅前には3軒の本屋さんがあった。それが今は1軒だけになってしまった。私が仕事で通うターミナル駅の周辺も、かつては大書店が3~4件あったが、この10年で半減した。

近所の最後の1軒がなくなってしまえば、私は本屋のない町に暮らすことになる。それはいやだ。

そう思って、近所で買える本はできるだけ近所で買っている。大書店でないと並んでない本だけをそういう本屋で買う。都会の大書店やネット書店でみかけたけど、近所の本屋でも並んでいた本は近所の本屋で買う。でもまあ、無力だとは思う。

この20年くらいのあいだに、いろいろな個人・中小の商店がなくなるのをみてきた。うちの家電の半分くらいを買った電気屋さんも、さまざまな用紙やペンなどを日常的に買っていた文具屋さんもなくなった。あるときはいつまでもあるように思っていたけど、なくなった。

なくなってみると、それでもなんとかなることはなるんだけど、やはり不便や物足りなさがある。あの本屋さんだけは、少なくとも当分はなくならないで欲しい。

でも私たちは結局いろいろネットで買ったりしているんだから、勝手なものだと思う。

(以上)
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