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2013年05月10日 (金) | Edit |
「自分で考える勉強法」シリーズの14回目。


学校に行かなくても,哲学者になった人がいる。

私が好きな,ある「独学者」の話をさせてください。明治生まれの哲学者・三浦つとむ(1911~1989)は,家が貧しかったため思うように学校に行けませんでした。彼は,東京府立の工芸学校(今で言えば高校程度)中退という学歴です。

しかし,戦後の昭和期に在野の思想家として多くの著作を発表し,一九八九年に亡くなったときには,新聞にそれなりの記事が載るような知識人になっていました。

この人は,初心者にもわかりやすい哲学の本を何冊も書いています。私は高校生のとき,三浦さんの本で初めて哲学の世界に触れました。別のところで書いた,剣道部の先生にすすめられたのです。

あのころ,三浦さんの本を読んでいて,「自分にも哲学の本が読める,読んで一応わかる」というのが,とてもうれしかったのを憶えています。ほかの本は,私にはむずかしすぎました。

三浦さんは,どうやって勉強したのでしょうか。

まず,若いころは貧乏であまり本が買えなかったので,書店で立ち読みして,短時間で必死に頭に入れたそうです。昔(戦前)は,図書館が発達していなかったので,仕方なかったのです。

それから,少し変わった仕事をしていました。ガリ版(コピーが普及する前に一般的だった簡易な印刷方法,その原版)作成の内職です。それも,東大の講義ノートのガリ版をつくっていました。まじめな学生が書いた講義のノートを何冊か集めて,それを集約した参考書のようなものをつくる。そうやって,東大の講義をふつうに受ける以上の知識を身につけたのです。

三浦さんの生い立ちや勉強のことを初めて知ったとき,若い私は「そんな人が,この世にいたんだ」と,感動しました。そして,「独学」というものにあこがれを感じるようになっていきました。

前に述べた,「勉強というのは,結局は独学しかない」というのも,三浦さんが述べていたことです。

(以上,つづく)

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