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2013年05月18日 (土) | Edit |
今日ではなく明日ですが,5月19日はベトナム建国の指導者ホー・チ・ミンの誕生日です。そこで彼の「四百文字の偉人伝」を。未発表の新作です。

ホー・チ・ミン

アメリカに勝利した男

 1954年,フランスの植民地だったベトナムが,対仏戦争に勝って独立しました。ただし,北部のみの独立です。その指導者ホー・チ・ミン(1890~1969)は,南部も含めた祖国統一のため,戦いを続けます。
 しかし,彼の政権は社会主義をかかげていたので,アメリカが介入してきました。ベトナム戦争(1965~75)のはじまりです。
 やがて戦争は泥沼化。米軍の爆撃で国土が破壊され,おおぜいが亡くなりました。
 それでも,ホーの戦う意志はゆらぎません。ゲリラ戦法で徹底抗戦しました。戦争中にホーは病死しますが,後継者が戦いを続けます。
 そして,開戦から10年目,ついにアメリカは撤退したのでした。
 20世紀の世界で,アメリカと大きな戦争をして勝ったのは,ホー・チ・ミンたちだけです。ホーという指導者がいなければ,ベトナムはもっと早くアメリカに屈したでしょう。
 そのかわり,何百万人もの命が失われることもなかったはずです。彼は,ベトナム人の誇りを守りました。しかし,「偉大な指導者が多くの犠牲を生む」という面もあるのです。

参考:フェン著・陸井三郎訳『ホー・チ・ミン伝(上・下)』(岩波新書,1974)『TIMEが選ぶ20世紀の100人(上)』(アルク,1999)

【ホー・チ・ミン】
ベトナム独立・統一の指導者。青年時代から独立運動を組織。1945年,武装蜂起に成功してベトナム民主共和国を宣言,初代元首に(任1945~69)。その後の対仏独立戦争(インドシナ戦争,1945~54),ベトナム戦争を指導した。
1890年5月19日生まれ 1969年9月2日没

「四百文字の偉人伝」は,古今東西のさまざまな偉人を,400文字ほどで紹介するシリーズ。このブログでときどき載せています。(カテゴリー:四百文字の偉人伝
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***

「四百文字」のなかでは消化しきれないので取りあげませんでしたが,ホー・チ・ミンのこんな言葉があります。1964年,フランスとの戦争のなかでの発言。

「われわれがフランス兵をひとり殺す間に,フランスはベトナム兵を十人殺せる。しかし,たとえそうであっても,フランスは負け,われわれが勝つ」 
(『TIMEが選ぶ20世紀の100人(上)』スタンレー・カーナウによる記事より)

すさまじい意志・気迫です。この意志のまえにフランスは敗れ,アメリカも二の舞となりました。

そして,「その過程でおおぜいが死んでいった」というのは,「四百文字」で書いたとおり。出典のカーナウによる記事では《彼はベトナムの独立にこだわり続けた。まさにこの目的のために,数百万人のベトナム人が戦い,死んでいったのである》とあります。

これまで,勇ましいことをいう「反米」の国家指導者は,くりかえしあらわれました。でも,ホー・チ・ミンのようなほんとうの「筋金入り」は,まずいません。

しかし,「筋金入り」というのは,恐ろしい,とも思います。「敵を1人殺すあいだに,10人殺されようとも,絶対勝つ」などというのですから……

(以上)

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ジャンル:学問・文化・芸術
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