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2013年05月20日 (月) | Edit |
「自分で考えるための勉強法」シリーズの16回目。今回は,かなりハードルの高そうなことを述べています。でも,「こういう世界・やり方もあるんだな」と気楽に受けとめていただければ,と思います。そして,「部分的にでも共感するところがあれば,ちょっと取り入れてみては?」ということです。

「この著者・アーティストはいい,信頼できる」と思える人をみつけて,意識して追いかけていこう。すると,あなたの世界は大きく広がるはずです。

 
「先生」の本は,全部読む。

「この人の仕事はすばらしい,その仕事に深く触れたい・学びたい」と思える人に出会ったら,それがあなたの「先生」だと,これまで述べてきました。そして,「先生」とは,あなたのアタマや感性のありかたをデザインするお手本だ,とも述べました。

「先生」と決めた人の著作は,全部読みましょう。主要な著作だけではなく,「全部」です。

「全部読め」と言われて「そんなこと無理」と思うようだったら,あなたはその先生の仕事に,たいして感動してはいないのです。 全部を読みたくなってしまう人こそが,あなたの本当の先生です。

先生と出会ったころは,うれしいものです。先生の著作を一冊読むたびに,自分の世界がひらけていく,自分の頭がよくなっていく気がします。わくわくした気持ちになります。出会ったころの勢いで,先生の著作をどんどん読んでいきましょう。

先生の全集や著作集が出ていたら,まず買いましょう。本屋さんで先生の本が並んでいるのをみかけたら,片端から買いましょう。店頭にないものは,注文します。注文しても手に入らないものは,図書館でさがします。そのうち古書店でみかけたら,買いましょう。

つぎに,雑誌や学会誌の論文などをさがします。先生の書いた文章には,全集や単行本におさまっていないものもあります。これはおもに図書館でさがします。

さらに,先生や関係者が私的なサークルを主催している場合,たいていはその機関誌などサークル内限定の出版物があります。これは,書店や図書館にはありません。サークルの会員になるか,その会合に出かけて行くなどして,手に入れます。

創造的な仕事をしている先生には,そういう私的な研究会の場を持つ人が少なくありません。限定された仲間うちだけで,研究成果の発表や意見交換を行いながら,研究を練り上げていくのです。「サークル限定」の出版物を読むことは,先生の仕事のプロセスがわかり,大変勉強になります。

先生の本を全部読むことによって,その先生の仕事を知る以上のことが身につきます。本の買い方・さがし方から,研究サークルへの参加や運営の仕方など,あなたが自分の知的世界を築くのに必要なノウハウの基礎が身につくのです。

文字どおり全部読むのは,やはり大変かもしれません。でもとにかく,先生の仕事はよく知られた主要著作だけではない,ということです。先生の仕事のいろいろな面に目を向けることが,大切なのです。



「先生」の本をベースにして,
知識のネットワークを広げていこう。


「特定の先生の本ばかり読んでいたら,視野が狭くなってしまうんじゃないか」なんて心配する必要はありません。先生の本はまず全部読みます。そしてまた読み返す。それと平行して「先生の本に出てくる本」を読みましょう。

まず,先生が「自分の先生」だという人の主要著作。これが第一優先です。つぎに,「すぐれた本」「とくに参考になった本」として推薦している本。ここまでは,ぜひ読むようにしましょう。

以下については,関心が持てそうなものを選んで読みます。

・資料や情報源として先生が使った本。いわゆる「参考文献」
・先生の弟子,あるいは先生に強く影響を受けた人の本
・先生が批判的に取りあげている本
・先生をほめている人の本,批判している人の本
・先生の専門分野についての,定評ある教科書・基本書

以上のような本を読んでいくと,結果的に相当いろんな本を読んでいくことになります。「先生」を核に,自分なりの知識のネットワークができていきます。もしそうならないようなら,あなたが怠けているか,先生選びをまちがえているか,どちらかです。

私も,最初からこういうことを意識していたわけではありません。むしろ,「先生以外のいろんな系統の本も読まなくては」と思っていたのです。しかし,読もうとするとどうもむずかしかったり,読みにくかったりする。それで結局,先生関係の本ばかりになってしまいました。

でもそうやって先生の本や関連図書を読んでいるうち,結構いろんな本を読んでいることに気がつきました。

「幅広い視野を持とう」として思想全集を片端から読んでいくようなやり方は,非効率です。身につかないし,そういう無理な読書は続かないでしょう。

(以上,つづく)

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テーマ:哲学/倫理学
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
「先生」の本を読む。
すごく納得しました。
自分の記事にて少し書いてみようかと思いました。
ありがとうございます。
僕にとって先生は「夏目漱石」でした。
また、「尾崎豊」も学生時代の僕にとって特別な存在でした。
彼らの作品は全部とはいきませんが多く読み、鑑賞しました。
そこからそういちさまのおっしゃるとおり、芋づる式に知識や思想がひらけていきました。
2013/05/22(Wed) 22:31 | URL  | hajime #-[ 編集]
Re: タイトルなし
 こんにちは。「夏目漱石」や「尾崎豊」のような「巨匠」であれば(尾崎豊は今や「巨匠」です),芋ヅル式でいろんなものに触れる可能性がありますよね。夏目漱石なんか,とことん芋ヅルをやったら,図書館ができてしまうはずです。もちろん,そんなに徹底的にしなくても,ちょっと追いかけるだけで相当な広い世界がひらけてくるように思います。
 「夏目漱石」と「尾崎豊」というのは,今はともかく,昔の感覚では,それぞれ「別世界」の存在です。それらを追いかけて自分なりの世界をアタマのなかにつくっていく……おもしろいですね。
 私は,「系統的・体系的に読もう」としても,なかなかできません。「芋ヅル」読書専門です。昔は,「それではまずいかなあ」と思うこともあったのですが,今は「それで(が)いい」と思っています。
2013/05/23(Thu) 07:52 | URL  | そういち #-[ 編集]
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