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2013年07月10日 (水) | Edit |
 参院選が近くなってきました。
 ウチの近所にも選挙ポスターの掲示板がありますが,今回は,立ち止まってみている人が心なしか多いような…

 今回の選挙では,おそらく自民・公明両党が勝って,「ねじれ国会」は解消するでしょう。

 でも,そもそも「ねじれ国会」ってなんのこと?

 これは,つぎの条件に該当する場合をさします。

 1.与党(首相を出している党派,政権党)が参議院で過半数を制していない

 2.かつ与党(政権党)が衆議院で3分の2以上を制してしていない

 これが,いろいろ不都合だ,といわれています。
 「国会でものごとを決められなくなる」からです。

 それは,法律案は原則として衆参両院の議決を必要とするからです。
 「法律」というのは,国の政策・方針の基本です(こういう概念だって,ほんとうは初心者にはわかりにくいはずなんですが,説明は省略)。

 もしも,過半数を制している党派が衆議院と参議院で異なっていたら,ある法案に対し,衆議院と参議院で異なる議決をすることが起こりえます。衆議院で賛成多数。でも参議院では反対多数。
 じっさい,それがこれまでの国会ではおこってきました。

 そんなときのために,憲法では法律案の議決について,「衆議院の優越」を定めています。

 つまり,衆議院で可決して,参議院で否決された法案は,衆議院に戻される。そして,衆議院で3分の2以上の賛成で再度可決されたら,法案として成立する。

 でも,この「3分の2以上」というのが,たいへんなわけです。
 たいへんな圧倒的多数。今は自民・公明で3分の2を上回っていますが,こういうことは,なかなかありません。

 では,上記の衆議院の再議決で3分の2の賛成が得られなかったら?
 法案は流れてしまう。つまり,決められないのです。

 だから,過半数をとっている党派が,衆議院と参議院で異なると,「なかなか法案が成立しない」という問題がおこります。
 ある学者によれば,法案の半分くらいは,「議論するまでもなく,どの政党もだいたい賛成」という,ルーティンなものだそうです。
 でも,残り半分くらいは,議論の余地があって,与野党の対立があり得る。
 そういう法案が通らなくなる(きわめて通りにくくなる)ということです。

 じつは,与党が衆議院で3分の2を制していたとしても,衆議院で再議決するというのは,手続き的に重たいことです。国会の運営日程は,いろいろとタイトなので,再議決はたいへんなのです。

 だから,「与党が参議院で過半数を制していない」というだけでも,「ねじれ」とはいえます。
 しかし,「与党が衆議院で3分の2を制している」かどうかも,決定的な「分かれ道」になる点ですので,ここでは「ねじれ国会」を定義する条件に含めました。

                         *
 
 でも,なにかで習ったところでは,日本の憲法は「衆議院の優越」を定めているのでは?

 そうです。憲法は以下の事項について「衆議院の,参議院にたいする優越」を定めています。

 ①法律案
 ②予算案
 ③内閣総理大臣の指名
 ④条約の承認


 でも,ほんとうの意味で衆議院の優越があるのは,②③④にかぎられます。
 これらについては,参議院で否決されても,衆議院によって決められる制度になっています。

 問題は①の法律案です。「衆議院での3分の2以上の再議決」がないと,ダメなわけです。

 これが,どういう意味で「国会でものが決められない」ということになるのか。

 たとえば,政府の予算案のことがあります。
 これはさきに述べたように,衆議院の優越がはっきりしています。

 でも,予算を実現するのに必要な「財源」の話は,上記①の「法律案」なのです。
 たとえば,予算が多くいるから増税しよう(消費税率アップとか),赤字国債を発行しよう,といったことは,法律できめないといけないことになっています。
 毎年発行している赤字国債だって,毎年国会で法案を通して発行しているのです。

 赤字国債のことは典型的ですが,こういう「なんでも法律に基づく」という国政のありかたは,世界の先進国のなかではマイナーなのだそうですが,このことは今回はおいておきます。

 どうでしょうか。
 たしかに「ねじれ国会」という状況がおきると,政治が前に進みにくくなる,というのはわかる気がしませんか?

 「ねじれ国会」というのは,かつて自民党の勢力が圧倒的で,衆議院も参議院もしっかり過半数を押さえていたときは,問題になりませんでした。
 でも,今は「ねじれ国会」がかなりの可能性でおきるようになった。

 上記の衆議院と参議院の関係は,憲法で定められていること(憲法第59条)。

 だから,「ねじれ国会」のことは,「憲法改正」論議のなかのテーマのひとつです。

 以上「こっそり知ろう,常識は」(板倉聖宣という人の創作ことわざより)ということで。
 
(以上)
 
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