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2013年07月12日 (金) | Edit |
 「世界史」論についての,前の記事の続き・補足です。
 近年話題になった世界史のベストセラーについても,触れておきたい。


『銃・病原菌・鉄』とマクニールの『世界史』

 ここ数年は世界史に関する本のなかに,ベストセラーも生まれています。世界史への関心が広がっているのでしょう。
 そんな「世界史本」の代表格といえば,つぎの2冊でしょうか。

 ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』(上・下,草思社文庫)
 
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
(2012/02/02)
ジャレド・ダイアモンド

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ウィリアム・マクニール『世界史』(上・下,中公文庫)


世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)世界史 上 (中公文庫 マ 10-3)
(2008/01/25)
ウィリアム・H. マクニール

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 どちらも,10万部単位で売れたといいます。2つの本はたしかに「名著」です。新しい世界史像を読者に伝えてくれます。

 しかし,これらの本によっても満たされないニーズもあります。

 まず,どちらも上下巻合わせて1000ページ前後の長編です。これを読みとおせる人がほんとうにどれだけいるのか? とくに,マクニールの本は教科書的な調子でびっしりと書かれているので,読むのにエネルギーが要ります。

 一方,ダイアモンドの本は,いろんな新しい視点を提供してくれる,たのしい「謎解き」の本です。マクニールのような読みにくさはありません。しかし,世界史全体の系統だった知識は,ダイアモンドの本からは得られないのです。それを目的とした本ではないからです。

 また,どちらの本も「社会科の授業は苦手だった」という人に対しては,基本用語の説明などで足りないところも見受けられます。ほんとうの初心者には読みにくいところがあります。

 もっとコンパクトなかたちで,世界史の系統的な全体像を,「まったくの素人」だという人たちにも伝えることはできないか。

 これが私のねらうところです。

(前回の記事で述べましたが,私は「となり・となりの世界史」というコンセプトで独自の世界史の通史を書こうとしているのです)

 しかも,その「となり・となりの世界史」で私がお伝えしたいのは,これまでの教科書的な常識から前進した,「新しい世界史像」です。

 具体的にいうと,1900年代後半以降の,比較的新しい歴史学の成果をふまえた世界史です。私たちの「常識」にある世界史像は,これよりも古い,大昔の学問をもとにしていることが多いのです。

 そう聞くと意外に思うかもしれません。しかし,最も進んだ専門家の研究が,社会的に認められ,私たちのものになっていくには,多くの時間が必要なのです。とくに教科書というのは保守的で,最後まで古い学問にしがみついているものです。

 マクニールやダイアモンドの本は,「新しい世界史像」についてのぼう大な情報を,一般向けにまとめたものといえます。「となり・となりの世界史」の基本となるコンセプトや重要な結論も,これら2冊と重なるところがありますが,これは「元ネタ」である歴史学の成果が共通だからです。

 ただし,結論に共通したところがあっても,それを私としてはめいっぱい「素人向け」に書いていいきたい。さらに,私独自の「世界史の整理のしかた」も打ち出していきます。それが,「となり・となりの世界史」というコンセプトです。

(以上)
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テーマ:読書メモ
ジャンル:学問・文化・芸術
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