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2013年07月19日 (金) | Edit |
 先日,私が住む私鉄沿線にある小さな古本屋の,特売本が並んでいるコーナーで,つぎの本をみつけて買いました。

 前嶋信次『玄奘三蔵 史実西遊記』(岩波新書,1952年)

 「2冊で100円」のうちの1冊です。1952年(昭和27)の初版当時のもの。背表紙が茶色くなった,古びた新書です。玄奘三蔵は,『西遊記』の三蔵法師のモデル。
 
 著者の前嶋信次(1903~1983)は東洋史家。とくに,『アラビアン・ナイト』の全巻を,はじめてアラビア語の原典から邦訳(全18巻+別巻,平凡社東洋文庫)した人として知られています。

 この「50円」の本を通勤電車で読みつつ,資料として使って,「四百文字の偉人伝」が1本完成しました。古今東西のさまざまな偉人を400文字程度で紹介するシリーズです。
 50円で,ずいぶん楽しませてもらいました。
 昨日のブルース・リーに続き,今日も中国のヒーローの話になりました…
 

玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)

タフなお坊さん

 唐の時代の中国に,玄奘(602~664)という僧侶がいました。小説『西遊記』(16世紀にオリジナルが完成)の三蔵法師のモデルです。
 彼は,「仏教発祥の地・インドへ行ってオリジナルの経典を究めたい」と志していました。
 しかし,国の許可がおりません。政情不安のため,国境の出入りが制限されていたのです。
 そこで彼は,密出国を行いました(629年)。
 最初は同行者がいましたが,すぐに1人に。人目を避けて夜道を行く。砂漠を何日もさまよったことも。
 町にたどりつけば,見知らぬ土地で旅を支援してくれる人をさがす。
 そうやって,中央アジアのルートを1年あまりかけてインドに到着。十数年学んだのち,多くの経典を持って帰国したのでした。
 心も体もタフな人です。本やドラマで描かれる「やさ男」とはちがいます。
 玄奘は,物語と史実のギャップがとくに大きい人物です。『西遊記』では,実際の三蔵法師=玄奘が持つ強さは,孫悟空に託されているのです。
 史実を知ると,「タフで強い三蔵法師」を,いつかドラマで観てみたいとは思いませんか?

前島信次『玄奘三蔵 史実西遊記』(岩波新書,1952)による。

【玄奘三蔵】
 仏教の発展に貢献した僧侶。帰国後は,持ち帰った経典の翻訳に取り組み,没するまで十数年にぼう大な漢訳を行った。当時,類のない規模の翻訳事業であり,論理学や文法学にも寄与した。彼の旅行記『大唐西域記』は,史料としての価値が高い。
 602年生まれ 664年3月7日没
 

 「四百文字の偉人伝」は,古今東西のさまざまな偉人を,400文字ほどで紹介するシリーズ。このブログでときどき載せています。(カテゴリー:四百文字の偉人伝
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(以上)
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ジャンル:学問・文化・芸術
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