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2013年08月29日 (木) | Edit |
 「自分で考える勉強法」シリーズの41回目。

 「読書論」の話を続けています。
 このところは,教科書や子ども向けの本のこと,新書のすすめ,「通な本」と「最先端の本」,古典とのつきあい方,といったことを述べてきました。

 今回は,ちょっと箸休め的な話です。
 

本は安くなった。
勉強したい人には,いい時代。


 「最近の本は高い」という人がいますが,どうでしょうか。

 週刊朝日編『戦後値段史年表』(朝日文庫,1995)という本をみてみます。
 1950年(昭和25年)に,岩波文庫で最も安いものは,30円でした。同じころ,1951年の大卒公務員の初任給が,5500円。
 一方,1995年(平成7年)では,岩波文庫の最低価格は210円。大卒公務員の初任給は,18万円です(1994年)。

 1990年代から現在(2013年)まで,物価全般の変動はわずかしかありませんので,ごくおおざっぱに,90年代の数字は「今現在の物価」とほぼイコールと考えていいでしょう。

 1950年と現在では,給料は33倍に上がっていますが,岩波文庫は7倍の値上げにとどまっています。もし,給料と同じように上がっていたら,30円の33倍で,約千円です。

 「30円」というのは,あくまで安いものの値段です。平均的な岩波文庫の値段は,その2~3倍になります。文庫本が一冊2,3千円もしたら,気安く買えませんね。

 このことは,文庫にかぎらず本全般の値段にあてはまるのではないかと思います。私の手もとに,同じ岩波書店から1951年に出た,当時700円のハードカバーの本があります。90年代後半にそれが復刻されて,6千円ほどで売られていました。

 でも,1950年ころの感覚では,「700円」というのは,700円の33倍で,今の2万円以上の重みがあったのです。初任給が,5~6千円の時代なのですから。

 「2万円」の本を買おうというのは,限られた人たちです。
 でも,そういう本を買わなければ,深い学問はできません。

 今のお年寄りが若いころは,知識とか学問というものは,一部の恵まれた人たちのものでした。ふつうの人たちが学問をするということは,大変な困難を伴いました。

 今は,ふつうのサラリーマンだって,その気になればかなりの本を買ったりできます。電子書籍がさらに普及すれば,本の平均的な値段はもっと下がるでしょう。
 勉強したい人にとって,いい時代です。

(以上,つづく)
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