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2013年09月29日 (日) | Edit |
 以前の記事(9月10日)で,ドラマ「半沢直樹」のことを少しだけ取り上げました。
 筋の通った中堅銀行員が,理不尽で卑劣な上司・先輩を叩きのめす。
 それでみんな「すっきり」している。
 
 その「上司」にあたるバブル世代は,嫌われているんだなあ,と思います。私もバブル世代なので,しみじみ感じる。今の日本の,若い世代と中高年以上のあいだの「世代対立」ということが,ドラマのヒットに関係しているのかもしれない…

 そんな話題や,記事に寄せられたコメントをきっかけに,今の日本の「世代」間の問題について,考えてみました。

 ***

 世代間のギャップ・対立というのは,いつの時代でもあります。
 ただ,今の日本では,その「対立」の背景にある状況が今までと大きく変わりました。

 ひとつは,「超高齢化」ということ。

 日本の人口の,最も大きなまとまりである「団塊の世代」は,今65歳くらい。
 この人たちは,十数年後(2030年ころ)には80歳を過ぎます。
 それをどう支えていくか。

 一般的な予測では,2030年には,65歳以上のいわゆる「高齢者」が人口に占める割合は,32%になります(2010年には23%,2000年には17%だった)。
   
 もうひとつは,「経済の低成長が続いている」ということ。
 低成長が長く続くと,「よい仕事,よいポスト(職位・地位)」の供給が細くなっていきます。


 経済が成長しないというのは,会社も大きくならないということ。そうなると,人を新たに雇ったり,部署や管理職を増やすことが以前ほどにはできなくなります。

 すると,以前は「年功序列で地位や給料があがっていく」のを多くの人が期待できたのに,若い世代ではそうでもなくなっていく。
 安定した「よい仕事」に就くのも,以前より難しくなる…

 たとえば「非正規雇用」の増加は,その状況をあらわしています(それにしても「非正規」ってイヤな表現ですね)。

 非正規雇用とは,正社員以外のパート・アルバイト,契約社員,派遣社員等のことです。
(では「正社員」とは何かというと,「雇用期間の定めのない,終身雇用を前提とした労働者」と考えればいいでしょう)

 1990年には,男性(15歳以上)の非正規雇用者の割合は,1割弱でした。それが,2012年では2割ほどになっています。女性の非正規雇用は,1990年には4割弱だったのが,2012年には55%になりました。

 ***

 さて,「超高齢化」「新たな職やポストの供給減」――今の日本の世代間の問題を考えるうえで,このふたつの条件は,つねに忘れてはいけないと思います。

 そして,日々の言動のなかでも,忘れてはいけないのではないかと。
 とくに中高年以上の世代は,そうだと思います。

 まず,今の社会で,何よりも嫌われるのは「エラそうなオジさん(オバさん)」ではないでしょうか?

 ワシは長く生きてきて,なにしろ経験の厚みがある,だからワシを尊敬しなさい。

 今の世の中や会社を築いてきたのは,私たちの実績。だから,私の今のポジションは,与えられて当然(キミたちも頑張んなさい)。


 そういう態度が出てしまうのは,今の時代はホントにいけない。
 ふた昔前(今50歳くらいの私の若いころ)には,こういうオジさんも,まあまあ許されました。将来は自分もあのオジさんのような,まずまずのポジションが得られそうだ,と思えばガマンできなくもないです。

 でも今は(未来は)そうじゃないわけです。

 リタイヤ世代の方で,かなりの社会的地位(大企業や官公庁の役員・幹部とか)にあった人も,気をつけたほうがいいと思います。そんなことを自慢しないように……ふた昔以上前は,そういう方は,たとえば親類や知人の子の「コネ入社」の世話とかができたのです。
 でも,今はよほどの「大物」でないとムリです。
 それなのにかつての地位や仕事の自慢なんかしたって,嫌われるだけ。

 若い人からすれば「オジさん,そんなに偉いなら,ボクを(あたしを)その会社に就職させてよ」といいたいでしょう。

 今の若い世代からみれば,オジさんたちは「先に生まれただけで,おいしい果実を先に持っていってしまった人たち」と映っている面がおおいにあるのです。

 ネット上では,若い人たちの「あいつら(オジさんたち),エラそうでムカつく」という話が,あふれています。感情的なものもあれば,理路整然としたものもあります。私もオジさんなので,読んでいるとめげるので,あまりみませんが…

 「超高齢化」の時代です。若い人には,これからたいへんな負担をかけることになります。中高年はエラそうにしている場合ではないのです(かといって,もちろん卑屈になってもいけない)。

 なお,私は以前は会社勤めをしていましたが,今はフリーターのような立場。若い人の前で「自慢」はしにくい状況です。なので以上のようなことを書きやすい面があります。また,今の仕事で若い人向けの就職相談をしていることも,今回の記述に影響しています。

 ***

 以上は個々人の態度の話ですが,政策的な「課題」についても考えてみましょう。
 つまり,「超高齢化」「職やポストの供給減」のなかでの課題。

 私は,一つの糸口・勘所として「同一の仕事には同一の賃金を」ということが大事だと思っています。

 非正規の人で,正社員と同じような,ときにはダメ社員よりもずっと仕事をしている人がいる。こういう「よく働く非正規」の多数派は,若い現役世代です。でも,その賃金は正社員よりもあまりに低い。これを政策的になんとかできないか。

 非正規雇用の問題については「非正規を正社員化する」という方向の主張もあります。じっさい,その手の法改正なども,近年行われている。

 しかし,現実として「非正規の正社員化」は容易ではないと思います。

 もちろん,正社員としての雇用を,社会全体で大きく増やせるなら,そのほうがいいに決まっています。個々人の問題としても,正社員になれるなら,当然そのほうがいいのです。

 しかし,社会全体の方向性として考えると,「非正規の正社員化」は困難ではないか,ということです。
 「不透明な時代なので,会社の業績・状況に応じて解雇可能な労働力の比重を高めたい(正社員の解雇は法的に困難なので)」という企業側のニーズは強固です。法改正などでは簡単には崩せないと,私はみています。

 しかし,「同一労働・同一賃金」なら,いくらか話がちがいます。説明は今回は省きますが,企業側にも検討の余地があるはずです。やり方しだいでは,職場の生産性向上にもつながる要素があるのです。
  
 高齢化とか「世代間」とかいうと,社会保障やその財政上の問題など,大問題が目白押しです。
 そこももちろん重大なのです。しかし,比較的短期に前進できる(かもしれない)課題として,「同一労働・同一賃金」ということは,もっと議論されていい。
 
 そもそも「仕事に応じた賃金」なんて,本来あたりまえのことでしょう。

 「同一労働・同一賃金」の考え方が力をもってくると,それはいろんな形で波及して,日本の職場や経済に影響をあたえるのでは,と思っています。

 ***
 
 とにかく,できるだけ早く,今の時代特有の「世代間のわだかまり」のもとになりそうな状況に対し,手を打つべきなのでしょう。そのために,私たち(とくに年長者)の態度や心持ちも切り替えないといけないし,政策的にも大きなことをしていかないといけない。
 
 今回は,そのあたりの入口の話でした。おそらく多くの人がご存じだったり,思っていたりすることを,ちょっとまとめてみた,という感じです。

(以上) 
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ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
 「同一労働・同一賃金」の考え方が力をもってくると,それはいろんな形で波及して,日本の職場や経済に影響をあたえるのでは,と思っています。

労働をどう評価していくかですね。どんな質の労働であれ、その賃金で生活が保障されなければならないと思います。働く一人一人の基本的人権が守られる必要があると思います。
どういうシステムができるのかイメージがわきにくいです。
 たとえば新人と年配者の労働に対する賃金が同じとしましょう。
賃金水準が低く抑えられるとするならば,年配者の生活は立ち行かなくなる可能性があります。そうしたら労働時間を増やすことでしか賃金水準をあげることはできないのでしょうか。
なかなか同一労働•同一賃金のイメージができないのですが。
2013/09/29(Sun) 17:03 | URL  | かずゆき #-[ 編集]
かずゆきさんへ
 かずゆきさん,コメントありがとうございます。
 
 「同一労働・同一賃金」のシステムのイメージができない,とのこと,当然だと思います。こういうのは,ほんらいは非常に多くの説明が必要で,今回は軽く書きすぎた…とも思っています。

 まず確認したいのは,ここで問題にしているのは「非正規と正社員の格差の是正」ということです。

 「新人と年配者の賃金が同じでは,年輩者が困るのでは」という問いかけですが,それは正社員のあいだでのことを言われているのですか? だとしたら,論点が違うような…そこはどうなのでしょう?

 なお,仕事の習熟度や達成レベルに応じて賃金に差がつくのは,「同一労働・同一賃金」には反しません。達成した結果が異なる労働は,同一の労働ではないです。

 それから,「年齢調整」という考え方も,賃金の世界にはあります。
 つまり,労働の評価としては若手も年配者も「同一」といえる場合でも,若手よりも上の中年世代については,子供の教育費その他で多くのお金が要るので,同一賃金部分に「調整分」として上乗せする,といったものです。

 どうでしょう? なんだかややこしい話とお感じになるでしょうか? とにかく本当はたくさんの説明が要る話なのに,短い説明なので,わかりにくいとは思います。
 でも個別具体的に考えていくと,かなり合理的なシステムができるのではないかと,私は思っています。

 それから,かずゆきさんのおっしゃる「どんな質の労働であれ,その賃金で生活が保障されなくてはならない」というのも,私はよくわかりませんでした。

 また,もしも働いて得た賃金が十分でなくても,社会保障などによって,最低限の生活という「基本的人権」を守ることも方法としては可能である…そういう前提はおありなのか?

 たぶん,かずゆきさんの中にはいろんな「前提」があるのだと思います。「一家の大黒柱のお父さんが正社員として働く以上は…」といった前提で言われているのか……「生活の保障」といったときの「生活」のイメージはどんなレベルのものなのか……憶測になるのでこれ以上はやめておきますが。とにかく,こういう賃金や労働の問題は,人によって前提や価値観が大きくちがっていて,なかなか議論がかみあわないところがあります。それは仕方のないことです。

 いずれにしても,こうしてかずゆきさんが突っ込んでくださるおかげで,私もいろいろ考えることができます。ありがとうございます。
2013/09/29(Sun) 19:45 | URL  | そういち #-[ 編集]

こんばんはー

再生から入るips細胞が進歩したら

さらに超高齢化を加速させますね

「同一労働・同一賃金」 + 同一待遇

官と民が重なる職種で可能か分かりません

2013/09/29(Sun) 23:53 | URL  | shin36a #-[ 編集]
shin36aさんへ
 コメント,ありがとうございます。
 おっしゃるように医療の進歩でさらに長生きできるようになれば,超高齢化を後押しするのでしょうね。健康な高齢者がふえて,70代くらいまでは働き続けるのが一般的になるのかもしれません…

 「同一労働・同一賃金」+同一待遇 と書かれていましたが,「同一待遇」というのなら,それは「正社員化」ということでは,と思います。今回述べた「同一労働・同一賃金」というのは,「正社員化はできなくても,同じ仕事をしているとしたら,その点に関しては同一レベルの賃金を」ということです。「正社員化できない」というのは,雇用としては不安定なまま,ということ。あくまで「せめてそれくらいは」ということです。
 今の「非正規」の従業員は,「低賃金で雇用も不安定」という,デメリットばかりの状況。せめて「賃金はある程度もらえるけど,雇用は不安定」くらいにならないものか,と思います。

 おっしゃっている「官と民が重なる職種」というのは,どのようなケールをさすのか,私にはよくわかりません。ただ,「同一労働・同一賃金」を実現しやすい業界・業種と,そうでないものとはあるかもしれません。でも,まずは「実現しやすい」ものから手をつけていけばいいのでは,と思います。
 
2013/09/30(Mon) 06:27 | URL  | そういち #-[ 編集]
 まず確認したいのは,ここで問題にしているのは「非正規と正社員の格差の是正」ということです。


非正規の方であろうと正社員の方であろうと,年配者は経済的に生活費がかかるのでそれなりの賃金が必要であろうと考えたのです。非正規と正社員の格差の是正の後に考えることもできますね。


 それから,「年齢調整」という考え方も,賃金の世界にはあります。
 つまり,労働の評価としては若手も年配者も「同一」といえる場合でも,若手よりも上の中年世代については,子供の教育費その他で多くのお金が要るので,同一賃金部分に「調整分」として上乗せする,といったものです。


そうですね。「調整分」としての上乗せも検討されるのですね。これなら分かります。

 それから,かずゆきさんのおっしゃる「どんな質の労働であれ,その賃金で生活が保障されなくてはならない」というのも,私はよくわかりませんでした。

 また,もしも働いて得た賃金が十分でなくても,社会保障などによって,最低限の生活という「基本的人権」を守ることも方法としては可能である…そういう前提はおありなのか?

ここのところはシステムにはかかせません。社会保障で「基本的な人権」が守られなくては安心した社会ができないですから。これが保証されていてはじめて同一労働同一賃金が語れると思います。可能であるという言い方でなく「やらねばならないこと」だと受け止めています。
社会保障を受けるのに今の社会では行政の強い判断が入ります。これなども今後検討しなくてはなりませんね。しかし行政が干渉するるおかげで,人の孤立が防げているという側面もありますね。

前提が人により異なることで,議論の意味が出てくるともいえますね。
一人一人がどんな社会を望むのか真剣に考えていくことにつながると思います。


 いずれにしても,こうしてかずゆきさんが突っ込んでくださるおかげで,私もいろいろ考えることができます。ありがとうございます。

こちらこそ,ありがとうございます。
2013/09/30(Mon) 22:58 | URL  | かずゆき #-[ 編集]

筆を止めてしまった様です すいません

未だ完成してない記事に後だしジャンケンでした

「同一労働・同一賃金」 まず出来ることからですね


コメントさせてもらった同一待遇です

医療関係に勤める方では官と民で待遇が違います

24時間営業の場合

官で深夜勤の帰宅はタクシー代無償です

労災関係でしょうか 役所に請求が行きます

民では私が知る限り深夜勤はマイカー通勤です


この記事に同一環境、同一資格も含まれるんでしょうか

2013/10/01(Tue) 22:37 | URL  | shin36a #-[ 編集]
shin36aさんへ
 shin36aさん,こんにちは。コメントありがとうございます。
 「筆を止めた」などということはありません。とりあえず前回の記事で私の筆は止まっております。

 おっしゃることの意味,少しわかってきました。
 ここでshin36aさんのいう「待遇」というのは,「広い意味での賃金」だと,私はイメージしています。
 おっしゃる例の「タクシー代」というのは,交通費の支給の問題。
 あと,社宅とか家賃補助とかも「広い意味での賃金」。
 
 それから「同一労働」ということですが,私はこれはまず「同じ会社内での」ということだと思います(なお,「同一賃金」とは,「時給換算での同一」だと考えます)。
 バイトと正社員が同じ社内で全く同じ仕事をしている,というのは現実には多くないと思います。しかし,非正社員と正社員のあいだで若干勤務体系や職務の範囲がちがうだけで,2倍3倍あるいはそれ以上の賃金の格差があるとしたら,是正されるべきだ…そんなふうに考えます。是正のありかたとしては,もちろん非正社員の賃金をひきあげるのです。正社員と「同一」とはいかなくても,近づけていく。それによって,会社全体の総人件費の上昇をおさえるため正社員の賃金がひき下げらえれる恐れはあります。一部の正社員(勤務評定の低い人など)が引き下げられるのかもしれないし,正社員全体の引き下げかもしれません…

 では私のいう「待遇」というのは,何か。
 たとえばそれは「雇用の安定性」。端的には終身雇用かどうか。雇用期間が定められているなら,その期間はどういう長さか?契約更新は前提になっているのか? 更新があるとして,どの程度確実か? こういうのが「雇用の安定性」です。
 あとは,転勤の有無とか,昇進の可能性とか。こういう,直接的にはお金ではあらわしにくい労働条件の(とくに基本的な)部分が「待遇」だと。

 また,「同じ職種の,ほぼ同じような仕事なのに官民の格差がある」,つまり「官民格差」は,これもまた議論されるべきとは思いますが,「同一労働・同一賃金」とはちょっと性質のちがう問題だと思います。

 とにかく今回の記事の「同一労働・同一賃金」のところは,説明が足りなかったですね。
 コメントいただいて,整理・説明する機会となりました。ありがとうございます。 
2013/10/01(Tue) 23:34 | URL  | そういち #-[ 編集]
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