FC2ブログ
2013年10月06日 (日) | Edit |
 来年4月1日から消費税率が8%に上がるのが決まったので,今回は税金の話です。
 毎度のことですが,超ざっくりとした,広い範囲をみわたすような話をします。とにかく,それしかできないので……「こっそり手軽に常識を知る」のにも使えるはずです。

 まずお話ししたいのは,税金の分類について。
 ものごとの「全体像」をイメージするには,まず大まかな「分類」を考えるといいのです。

 ***

 税金にはいろいろありますが,それを「直接税」「間接税」に分類することがあります。
 
 所得税,法人税,住民税,固定資産税,相続税などは直接税。消費税,酒税,揮発油税などは間接税。
 
 直接税…税の負担者が直接政府などに税金を納める場合
 間接税…税を納めるのが負担者でなく,課税対象となる商品を販売した事業者などである場合


 たとえば消費税の場合は,税を負担するのは消費者(買った人)ですが,政府などに税金分のお金を直接納めるのは,商品を売った事業者です。だから,消費税は間接税。

 さて,「直接税・間接税」という分類は,税金の分類としてよくみかけるのですが,ほかに「所得課税」「消費課税」「資産課税」という分類も,知っておくといいでしょう。

 「所得課税」とは,収入や利益をベースに税金をかけること。所得税や法人税はそうです。個人や法人への住民税もそうです。

 「消費課税」とは,モノやサービスを買うことに対し税金をかけること。その代表は消費税です。酒税,揮発油税,たばこ税などもそう。税金を「直接・間接」に分けたときの「間接税」は,これにあたります。

 「資産課税」とは,財産の保有・移転に税金をかけること。固定資産税や相続税などはそうです。

 「所得課税・消費課税・資産課税」という分類のいいところは,経済における「お金・資産の動き」に沿っている点だと,私は思います。

 つまり,世の中のお金の流れとしては,所得があり,消費(買い物)があり,ストックとしての資産がある。経済は,だいたいこの3つで成り立っています。

 ということは,「所得課税・消費課税・資産課税」という「3分類」は,「人間の経済活動のどの局面に対し課税するか」という視点での分類なのです。
 「直接・間接」という分類と「所得・消費・資産」という分類は,重なるところもありますが,後者の「3分類」のほうが経済を考えるうえでは,より整理されていると思います。

 では,ここで問題です。

【問題】
 「所得課税・消費課税・資産課税」のうち,日本の税収(国税と地方税の合計)で,一番多くの割合を占めるのは,どれだと思いますか?

(予想)
 ア.所得課税  イ.消費課税  ウ.資産課税

                     
 ***

 最新の日本の税収(国税と地方税の合計,平成25年度予算81兆円)を,税の「3分類」でみると,次のような内訳です。

 所得課税53%  消費課税31%  資産課税16%

 つまり,所得課税が一番比重が高いということ。

 所得課税には,個人が支払う所得税などと,企業などの法人が支払う法人税などがあります。
 税収全体に占める個人が支払う所得課税の割合は,32%。法人が支払う所得課税は,20%ほどです。

 消費課税のうち最大のものは,消費税です。
 税収全体に占める消費税の割合は,13%。

 資産課税のうち最大のものは,固定資産税です。
 税収全体に占める固定資産税の割合は,11%。
 なお,相続税が税収全体に占める割合は2%弱で,全体の中ではそんなに大きくありません。

 ***

 「国の税金システム」を設計するうえで,基本のひとつとなるのは,「所得課税・消費課税・資産課税それぞれの割合をどんなサジ加減にするか」です。

 たとえば,「所得課税中心でいこう」とか「いや,消費課税中心で」といったことです。
 ほかにも,「3つの課税をバランスよく」とか,いろんな考え方があるでしょう。

 では,日本の税金システムの基本設計は,どうなのか?

 基本的には,「所得課税」中心といっていいでしょう。
 税収の5割以上が「所得課税」なのですから。

 じつは,何十年か前には,日本の税金はもっと「所得課税中心」でした。
 1970年代には国税(地方税は含まない)の,60~70%を所得課税(所得税や法人税など)が占めていました。

 これは,ほかの税金,とくに「消費課税」の割合が低かったということです。

 現在「消費課税」のシェアは30%くらいです。
 そのメインの消費税が,税金全体に占める割合は10%くらい。

 しかし,1989年に消費税が税率3%ではじまったときには,(当然ですが)その割合はもっと低いものでした。
 「税率3%」の時代(1989~96年)に,消費税が税金全体に占める割合は,だいたい5~6%。
 これが,97年に現在の「税率5%」に引き上げられてから,10%程度のシェアになりました。

 今の日本の税金の全体的なシステムは,「所得課税中心」をベースに,近年は「消費課税」の割合を増やして修正したもの,といえるでしょう。

 ***

 日本の「所得課税中心」という税金のシステムは,第二次世界大戦(~1945)以後にできたものです。

 それ以前は,「所得課税中心」とは,ちがうシステムでした。
 では,どのようなものだったのか?
 
 明治の末から昭和戦前にかけての日本の税金のメインは,「消費課税」でした。1910年(明治43)には,酒・タバコにかかる税金が,国税収入の4割ほどを占めていました。

 さらにさかのぼって,明治時代の前期には,日本の税金の中心は「資産課税」でした。
 それは「地租」という,田畑の地価の3%を税金として納めるものです。1875年(明治8)には,地租が国税全体に占める割合は85%にもなりました。(以上,戦前の税金については板倉聖宣『歴史の見方考え方』より)。

 このように,時代によって,「税金システムの基本設計」は,大きく異なるのです。
 つまり,時代にあわせてシステムをつくり変えてきた,といえます。

 では,これからどうなるのか? どうしたらいいのか?

 今の動きの延長線上だと,「所得課税中心」から「消費課税中心」へ移行しつつあるといえるのでしょう。あるいは,「所得課税と消費課税をバランス良く」ということかもしれません。

 はたしてそれでいいのか,という議論は当然あるでしょう。

 そういう議論の基礎として,私たちは「所得課税」「消費課税」「資産課税」それぞれの特徴を知らないといけないと思います。
 たとえば,それぞれのうちのどれかを強化した場合に,どんなことが起こり得るのか?……そんなことを少しでいいから知っておくのです。

 そんな「所得課税・消費課税・資産課税,それぞれの特徴」の話を,次回にしたいと思います。今回はここまで。

(以上)  
関連記事
テーマ:歴史
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック