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2013年02月22日 (金) | Edit |
今日2月22日は,アメリカの初代大統領ワシントンの誕生日です。

そこでワシントンをはじめとする「アメリカ建国の父たち」の「四百文字の偉人伝」を(電子書籍『四百文字の偉人伝』には未収録のもの)。
「四百文字程度で,古今東西のさまざまな偉人を紹介する」シリーズ。

その101話をまとめた電子書籍『四百文字の偉人伝』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)も発売中です(アマゾンKindleストア,楽天kobo,ディスカヴァー社のホームページにて販売,400円)
2月になってから,アマゾンKindleストアでも発売になりました。


ワシントンほか・アメリカ建国の父たち

去って行ったアメリカ建国の父たち

 アメリカ独立革命(1776年)を指導したジョージ・ワシントン(1732~1799)やトマス・ジェファーソン(1743~1826)は,それぞれ初代・第3代の合衆国大統領を務めたあとは,政界を引退し,第二の人生を過ごしました。ワシントンは,家業の大農園の経営者,ジェファーソンは自ら創設に関わった大学の総長です。
 これはじつは,異例なことです。
 革命が成功すると,普通その指導者は,ロベスピエール(フランス革命)や大久保利通(明治維新)のように革命後の闘争や対立で殺されるか,レーニン(ソビエト連邦を建国)や毛沢東(中華人民共和国を建国)のように「永久政権」をつくって死ぬまで引退しないのです。
 アメリカ独立革命は,指導者の引き際が見事だった,めずらしい革命です。
 でも本来,革命はこうあるべきです。
 革命というのは「革命家という専門チームによる,社会変革のプロジェクト」ではないでしょうか。プロジェクトなら,どこかでピリオドが打たれるべきです。プロジェクトチームを解散し,平常の体制にバトンタッチしなくてはならないはずなのです。

『科学史研究MEMO6』(楽知ん研究所,2001)所収 秋田総一郎「世界史上最も成功したプロジェクト」より

【ジョージ・ワシントン】1732年2月22日生まれ 1799年12月14日没
 
***

この話は,2月16日・2月17日の記事「アメリカ合衆国の基本設計」と関連しています。
さらに,これに関連した「四百文字の偉人伝」をもうひとつ。
「去っていかなかった革命の功労者」の話です。


山県有朋(やまがた・ありとも)

明治日本の操縦桿(かん)を握り続けた

 明治~大正の日本に「元老」という人たちがいました。明治維新の功労者の生き残りで,政治を動かした権力者たち。山県有朋(1838~1922)は,その代表格です。
 山県は,不人気でした。慎重でねばっこい性格。欧米列強を恐れて軍備増強にこだわる。民主主義は信じない……不人気もしかたありません。
 でも好意的にみれば,現実的で実直な人だったということです。もし,もっと勇ましくて大衆にアピールする人物が国を引っぱっていたら,危険なことになっていたでしょう(ヒトラーのように)。
 だから山県も,何十年もの間,日本国の操縦桿(かん)を握って放そうとしませんでした。
 大正末期には,山県たち元老はあらかた亡くなりました。そのあと,たちまち日本は迷走し,無謀な戦争に突入。
 明治の日本という乗り物は,山県たちが名人芸でどうにか動かしていたのです。彼らはすぐれたリーダーだったのではないでしょうか? 
 大きな罪があるとしたら,彼らより未熟な後任者でも操縦できるシステム(制度や組織)を,残していかなかったことでしょう。

伊藤之雄著『山県有朋』(文春新書,2009)に教わった。ほかに参考として,岡義武著『山県有朋』(岩波新書,1958)。

【山県有朋】
 明治~大正の政治を動かした元老。長州藩(山口県)の,下層の武士の生まれ。幕末の戦争では指揮官の1人として活動。大久保利通などの有力な先輩たちの死去・失脚後,同郷の伊藤博文とともに政府を指導した。
1838年(天保九)4月22日生まれ 1922年(大正11)2月1日没

***

「元老による支配」は,ルールやシステムよりも,「指導者の個人的力量」に依存した体制です。だから,その個人がいなくなれば,うまく動かなくなってしまいます。

ルールやシステムを最も極端に否定したのが,ヒトラー(1889~1945)のナチス・ドイツです。
ナチス・ドイツでは,さいごまで独自の「ナチス憲法」といったものは制定されませんでした。ナポレオンも,スターリン(ソビエト連邦の指導者)も,毛沢東も,憲法などの法典を整備し,「国家の基本設計」を明示したのに,ヒトラーはそういうことをしませんでした。
 
ナチス・ドイツでは,すべての権力はヒトラーに集中していましたが,彼に「もしものこと」があった場合,権力の継承はどうするのかといったことは一切決められていませんでした。
ヒトラーにとっては,自分の「永久政権」のあとに,国がどうなろうと知ったことではなかったのでしょう。

アメリカ建国の父たちは,「永久政権」や「元老にによる支配体制」を築くかわりに,後任者にも操縦可能な「システム」を置いて,去っていった。
これは,プロジェクトとしてじつに美しいしめくくりだと思いますが,どうでしょうか。
 
(以上)

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テーマ:歴史上の人物
ジャンル:学問・文化・芸術
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