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2014年04月13日 (日) | Edit |
 明日4月14日は,ヘレン・ケラーの家庭教師,アン・サリバン(サリバン先生)の誕生日。
 そこで,彼女の「四百文字の偉人伝」を。古今東西の偉人を400文字程度で紹介するシリーズ。

 もうひとつ,DNAのらせん構造の提唱者,ワトソンとクリックの「四百文字の偉人伝」も。もう誕生日は過ぎたのですが,ワトソンは4月生まれ。「今月の偉人」といえます。

 この2つの話に共通するのは「若者の力」ということ。
 これについては,偉人伝本文のあとでまた。


サリバン先生

その情熱が奇跡を育てた

 1歳のときの病気で視覚と聴覚を失いながら,高い教育を身につけたヘレン・ケラー(1880~1968 アメリカ)と,その家庭教師アン・サリバン(1866~1936 アメリカ)。2人については,ご存知の方も多いでしょう。
 障害のため何もわからず,わがままで手のつけられなかったヘレンと格闘し,人間として生きる基礎を教えたのはサリバン先生でした。
 では,6歳のヘレンにはじめて会ったとき,サリバン先生は何歳だったか知っていますか? 
 そのとき,彼女はまだ20歳でした。
 彼女は,貧しい家に生まれ,子どものときに失明寸前になって盲学校に通いました。のちに視力は回復し,学校を卒業すると,ヘレンの家庭教師として就職したのです。
 サリバン先生は,これといった学歴も経験もない「ふつうの女の子」だったのです。「先生」にあったのは,若さと情熱だけでした。
 でも,そのふつうの女の子の強い思いと行動が,「奇跡の人」を育てたのです。

瀬江千史著『育児の生理学』(現代社,1987)に教わった。このほか,サリバン著・槇恭子訳『ヘレン・ケラーはどう教育されたか』(明治図書,1973)による。

【アン・サリバン】
ヘレン・ケラーを育てた家庭教師。生涯ヘレンに付き添いながら,障害者への理解を訴える著述や講演を行った。ヘレンの自伝の翻訳には,『わたしの生涯』(岩崎武夫訳,角川文庫)などがある。
1866年4月14日生まれ 1936年10月20日没

 ***

ワトソンとクリック

模型は謎解きのだいじな道具

 ジェームス・ワトソン(1928~ アメリカ)とフランシス・クリック(1916~2004 イギリス)は,「遺伝情報を伝える物質・DNAの二重らせん構造」の提唱者です。
 その提唱がなされた1950年代には,「DNAがどんな分子構造であるか」は,重要なテーマでした。彼らの研究で威力を発揮したのが,「分子模型をつくって考える」という方法です。
 模型は,科学的に計算してつくられてはいますが,おもちゃのブロックのようなもの。それで「どの原子がどの原子の隣に座るのが好きか聞いてみる」というのです。
 模型を前に「どんな原子の配列があり得るか」をあれこれイメージしていった,ということです。
 模型づくりは,少し前にノーベル化学賞をとったポーリングも行っており,彼らはそれを積極的に取り入れたのでした。
 模型づくりは,一見子どもじみていますが,じつは奥の深い作業です。発想法として,「模型をつくる=論理や構造をモノの形にする」というやり方は,広く使えるのではないでしょうか。

ワトソン著,江上・中村訳『二重らせん』(講談社文庫,1986),ボールドウィン著・寺門和夫訳『ジェームス・ワトソン DNAのパイオニア』(ニュートンプレス,2000)による。

【ジェームス・ワトソン】
【フランシス・クリック】
共同研究でDNAの二重らせん構造を提唱し(1953年),遺伝子研究の世界を切りひらいた科学者。この業績で1962年にノーベル生理学・医学賞をウィルキンスとともに受賞した(ウィルキンスはX線を使ってDNAの構造解明に貢献)。
ジェームス・ワトソン
1928年4月6日生まれ
フランシス・クリック
1916年6月8日生まれ 2004年7月28日没

 ***

 ヘレン・ケラーに出会ったときのサリバン先生は,20歳。
 「DNAのらせん構造」について発想して,研究をすすめていたときのワトソンは20代,クリックは30代。

 先日ips細胞の山中教授が国会での答弁で,「30代の研究者は,実験は上手だが,そのほかの点では未熟」という主旨の発言をされましたが,この2人のうちとくにワトソンは,まさに「研究以外のことは未熟」な若者だったといえます。
 
 これまで100数十人分の「四百文字の偉人伝」を書いてきました。創造的な仕事をした人たちを大勢調べてきたわけです。すると,歴史上の重要な革新・創造の大部分が,20代・30代の人たちによってなされてきたことがわかります。科学研究は,それが最も顕著な分野。

 たとえば,アインシュタインのおもな業績は20代半ばのときのもの。湯川秀樹のノーベル賞も,20代のときの研究による。まあ,中には中高年や熟年になっても,生産的な仕事を続けたガリレオのような例もありますが。

 「若者の熱意と柔軟なアタマ」は,文明や社会が前進するための,根本的なエネルギー源です。

 もちろん,中高年が創造的な何かをすることもあるでしょう。
 でもそんなときも,結局はこの「根本的なエネルギー」を増幅したり,余熱を活用したりしているのだと私は思っています。

***

 「四百文字の偉人伝」は,古今東西のさまざまな偉人を,400文字ほどで紹介するシリーズ。このブログでときどき載せています。(カテゴリー:四百文字の偉人伝
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