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2014年04月24日 (木) | Edit |
 少し過ぎてしまいましたが,4月22日は哲学者カントの誕生日でした。
 そこで彼の「四百文字の偉人伝」を。古今東西の偉人を400文字程度で紹介するシリーズです。

カント

町を出ずに世界を語る

 「ドイツ観念論」の大哲学者イマニュエル・カント(1724~1804 ドイツ)は,大学で哲学のほかに,地理学の講義も行いました。その講義は大好評で,多くの学生や市民が聴講しました。彼は世界の町や自然を,目にうかぶように生き生きと語りました。
 しかし,じつはカントは,生まれ育ったドイツの地方都市ケーニヒスベルクをめったに出たことはありませんでした。
 規則正しい生活をしながら研究に打ち込み,市内の大学で講義する毎日。
 その合間に,いろいろな職業のお客さんを食事に招いては世間話を楽しみました。地理学の講義はすべて,そんなふうに書物や人から得た知識で話していたのです。
 「それで世界を語るなんて,ホラ吹きだなあ」と思うかもしれません。
 でも,「リアルなホラを吹くこと」は知性の力なのです。豊富な知識と,想像力・構成力のたまものです。

ヤハマン著・木場深定訳『カントの生涯』(理想社,1978),小牧治著『(人と思想)カント』(清水書院,1967)による。

【イマニュエル・カント】
哲学の古典的な学派「ドイツ観念論」の原点となった哲学者。感覚を超えた「真の実在」を想定して世界を説明する理論(これが観念論)を,『純粋理性批判』などの著作で綿密に構築した。
1724年4月22日生まれ 1804年2月12日没

カント

 上記の「偉人伝」にあった「お客さんを招いて,世間話をたのしむ食事会」について,少し。

 カントはこのような食事会を,休みの日には頻繁にひらいています。午後の何時間かをかけて,食事もそれなりのものを出してと,かなり力を入れているのです(なお,カントは生涯独身でしたが,料理人や召使がいました)。

 そこでは「哲学の話題は禁止」ということになっていましたが,それ以外のいろんな「世間」の話が出たことでしょう。カントの住む町は,港町であり,いろんな情報が入ってきました。

 カントにとって,この食事会は,「社交」「人づきあい」の場であるとともに,「学問的研鑽」の場でもあったと思います。
 この世界についてのさまざまな視点・情報の窓口であり,自分の思考や知識を,一般市民に対して語ってみることで「試す」場であったのだと思います。カントはやはり,きわめて真摯な「学究の徒」なのです。
 
***

 「四百文字の偉人伝」は,古今東西のさまざまな偉人を,400文字ほどで紹介するシリーズ。このブログでときどき載せています。(カテゴリー:四百文字の偉人伝
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