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2014年09月21日 (日) | Edit |
 最近,つぎの2つの記事で,「格差」の問題をマクロな視点で論じました。
 ここでいう格差とは,所得や財産の不平等のことです。
 
  格差と戦争
  平和が格差を生む?

 「格差と戦争」では,つぎのことを述べました。

 格差への怒りやそれを「是正したい」とい正義感が,戦争やテロを生む動機になっている。「格差の是正」は強力な正義である。そのような正義と結びついているから,戦争は簡単にはなくならない。

 「平和が格差を生む?」では,つぎのことを。

 資本主義では,格差は拡大する傾向がある。それを多数の国の長期データをもとに論じた,トマ・ピケティという学者の経済書が,海外で評判になっている。

 資本主義における格差とは,じつは「資産」(収益を生む,証券や不動産など)を豊富に持つ者とそうでない者の格差である。資産の価値の上昇は,経済全体の成長のスピードを上回る傾向がある。このため,経済が成長すれば,その果実はより多くが富裕層のものとなる。

 平和と繁栄が長く続けば,資産からの富は順調に成長する。それによって富裕層とそれ以外の格差は一層大きくなる。


 今後は「富裕層の資産に対する課税の強化」が,さかんに議論されるようなるだろう。

 ***

 税金の分類のひとつに,「所得課税」「消費課税」「資産課税」という区分があります。
 経済における「お金の流れ」に沿った分類の仕方です。
 「稼いで,使って,余りは蓄える」というお金の流れ。

 「所得課税」は,所得税や法人税など。
 「消費課税」は,消費税のほか,酒・たばこやガソリンに課せられる税金など。
 「資産課税」は,固定資産税や相続税など。

 「富裕層」というと,かなりの人はまず「所得が多い」ことを連想するのではないでしょうか。たしかにお金持ちは所得が多いです。しかしそれ以上に重要なのは資産です。

 資産の大きさこそが,富裕層とそうでない人を分けるポイントです。

 だからこそ,所得の内容もふつうの人と富裕層ではちがいます。ふつうの人の所得のほとんどは給与によるものですが,お金持ちは資産からの所得が重要です。

 今の日本で,「所得上位1%」の富裕層は,所得の2割が資産所得です。
 今よりもずっと激しい「格差社会」だった昭和の戦前期には,「上位1%」の人たちの所得は,その半分くらいが資産所得でした。

 単純化していうと,お金持ちとは「資産の多い人」のことです。そして,多くの資産から多くの所得を得ている人。

***

 では,「所得課税」「消費課税」「資産課税」のうち,今の日本の税収で最も多くの割合を占めるのは,どれだと思いますか?

 平成25年度予算案では,それぞれの税金が税収全体に占める割合はこうなっています(国税と地方税の合計,予算81兆円)。

 所得課税 53%・・・およそ5割
 消費課税 31%   〃 3割
 資産課税 16%   〃 10数%


 今の日本の税金は,所得課税が中心です。1970年代には国税の60~70%を所得課税(所得税,法人税など)が占めていました。その後,1980年代末に消費税(最初は税率3%)が導入されて以降,消費課税の割合も増えていきました。そして今は,税収の30%ほどを占めるようになったのです。

 日本の税金は,「所得課税中心」をベースに,のちに「消費課税」の割合を増やしたもの,といえます。

 そのなかで,資産課税はそれほど重視されることなく,現在に至っています。

 そこで,国家財政が「危機的」といわれるなか,「格差の是正」も考えるなら,「資産課税」をもっと強化してはどうか。そんな議論も出ているのです。

 たとえば,日本には1000数百兆円の個人金融資産があります。このような資産の保有に対し,なんらかのかたちで「1%」の税をかけたとすると,10数兆円の税収となるはずです。これは,今の所得税や消費税の税収に匹敵します。

 あるいは,相続税の税率を「100%」に近づければ,どうなのか? たとえば「〇億円以上の相続財産は,すべて国が税として没収する」ということ。多額の財産の世襲を不可能にしてしまうわけです。これは,「格差の是正」としては強烈です。

 ほんとうにそんなことが可能なのか?
 「可能なのか?」というのには,2つの意味があるでしょう。
 まず,「政治的に実現可能性はあるのか」ということ。
 それから,「そんなことをして,大丈夫なのか」。つまり,資産課税を強力に実施することで,社会に混乱は生じないのか?

 このことについては,また別の機会に。

(以上)
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