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2014年09月23日 (火) | Edit |
 先日,くらしのどうぐ店 musubiで開催された「中津箒のしごと展」というイベントに,妻と2人で行ってきました。

 musubiは,JR南武線・谷保駅(国立市)から歩いて数分の,商店の並ぶ一画にあります。店主は坂本眞紀さん。
 住宅の1階がお店になっています。

 このおウチは,私の自宅(古い団地をリノベした)を手がけた,テラバヤシ・セッケイ・ジムショの寺林省二さんの仕事場でもあります。寺林さんと眞紀さんはご夫婦。子どもさんと3人で,この自宅+設計事務所+お店に暮らしておられます。 

 musubi (2)

 お店の中。「こんじまり」の魅力にあふれた空間。
 店主がセレクトした雑貨・生活用品が並んでいます。

musubi (1)

 お店の奥にある,眞紀さんの仕事机も紹介します。
 キッチン・ダイニングのすぐ横にあります。
 私は,この「階段下のワークスペース」が大好きです。訪れるたびに「いいなー」と感心して眺めています。

階段下のワークスペース

 ***

 さて,今回のイベントのテーマの「中津箒」とは,昔ながらのホウキの一種です。家の中を掃くための繊細なホウキ。

 神奈川県の中津村(現相川町中津地区)で,明治から昭和の高度成長期にかけて,とくに生産がさかんだったそうです。中津は,東日本地域におけるホウキのメジャーな産地でした。当時は,「中津箒」ではなく「東京箒」という商標で販売されていました。

 電気掃除機の時代になって中津の箒づくりは,いったん衰えましたが,平成になって伝統の積極的な継承や再興がはかられているとのこと。
 (以上,株式会社まちづくり山上による資料「中津箒のご紹介」による)

 たとえば,こういうものです。
 musubiで展示・販売されていたもの。
 なお,奥のほうに家の模型が並んでいますが,テラバヤシ事務所が設計した住宅です。

中津箒

 昔の家には,このようなホウキがあったものです。写真のものよりも,もう少し大きいのが一般的だったかもしれませんが。

 写真では伝わりにくいのですが,手にとると,しっかりとした丁寧なつくりがわかります。それでいて軽い。

 そして,ホウキの先端(穂先)のやわらかさ。

 ウチのメインの「掃除機」は,ホウキです。床掃除は,おもにホウキで行います。
 外見的には中津箒と似た古典的なもの。
 でも,穂先の感触はぜんぜんちがう。もっと固くて,何年か使っているうちにポキポキ折れてくる。

 これは,穂先の材料がちがうのだそうです。
 このへんの「ホウキのウンチク」は,今回のイベントで講師をされた女性の箒職人さんから伺ったことです(でも素人が聞きかじった話なので,不正確なところもあるかもしれませんが,ご容赦)。

 中津箒の材料は「ホウキモロコシ」というイネ科の植物です。アフリカ原産。明治時代に日本に入ってきたもので,ホウキの素材として優れていた。

 今どきのホウキの多くは,アシやイグサやシュロを使っているそうです。
 これらの素材はホウキモロコシほどのやわらかさやしなやかさはない。

 なお,関西ではシュロのホウキがとくに広く使われている。シュロのホウキは茶色で,中津箒的なホウキとはだいぶ外見がちがうとのこと。西日本出身者のなかには,中津箒をみて「こういうホウキ,みたことなかった」という人もいるそうです。
 
 私は東京地区の育ちなので,昔ながらのホウキといえば「中津箒みたいなものに決まっている」と思っていたのですが,地域によってちがうのですねー

 あと,中津には日本各地や世界のホウキを集めた施設があるそうです。
 そこにある世界のホウキをみると,どれも日本人からみれば「外を掃く」ためのホウキのような粗い感じのものばかりなのだとか。西洋もアジアもアフリカも,そこは同じ。

 なぜなのかは,よくわからないとのこと。

 ここからは私の想像ですが,住居や生活様式のちがいのせいではないでしょうか。
 靴を脱いで畳で暮らすという日本人の生活が,独特の繊細なホウキを生んだのではないかと。

 家でも靴履きだったり,靴を脱ぐとしても畳というやわらかな「床」でなければ,「粗い」ホウキで十分です。

 そんなふうに思うのですが,どうなのでしょう?
 とにかく,興味深いお話です。
 
***

 また,近年はハンディタイプの小さなホウキもつくられていて,好評だそうです。
 上のmusubiの店内の写真で,中央のテーブルの上に並んでいるようなもの。

 あるいは,すぐ下の写真の中央の,書道の筆のようなものもある。
 机の上とか,パソコンのキーボードを掃除するのに便利。
 今回のイベントでは,この「筆」のような小さなホウキを,みんなでつくったのです。
 
 材料のホウキモロコシを,タコ糸(いろんな色があります)で縛って束ねていく作業。

中津箒イベント (3)

中津箒イベント (2)

 1時間ほどで,小さな中津箒が完成しました。

 「つくる」といっても,いろんな段取りを整えてもらったうえで,要所要所は職人さんにつくっていただいたのですが。
 でも,体験したことのない手仕事は,新鮮でたのしかった。

 あとは,自分の手先の不器用さがあらためて身にしみました(^^;)

 こうして「つくる」体験をしたり,お店に展示されている中津箒に触れているうちに,私たち夫婦とも「これいいなあ,欲しいなあ」と思うようになりました。

 そこで,今使っているホウキの代わりになるものを買うことにしました。上の写真にあるのと,ほぼ同じもの。展示品は売約済。注文生産で2か月弱かかるとのこと。

 1本9,000数百円。ホウキとしてはたしかに「高級」です。
 でも,長く使えて,使うたび目にするたびに,気持ちがいいはずです。
 元は取れると思っています。 

 早く出来上がらないかなー,新しい中津箒で掃除するのがたのしみ。

***

 musubiでの「中津箒の仕事展」は,9月27日(土)まで。ただし,「小さな箒づくりワークショップ」のほうは,すでに終了しています。同店のホームページなどでご確認ください。

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(以上)
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テーマ:建築
ジャンル:学問・文化・芸術
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