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2014年10月21日 (火) | Edit |
 2人の大臣の辞任。ひとりは選挙民にうちわを配った。ひとりは選挙民が芝居をみる費用の一部を払った。いずれも公職選挙法が禁止する寄付にあたる可能性がある。

 公職選挙法や政治資金規正法の違反で,政治家が失脚したり起訴されたりするのは,何度もみてきました。
 そのたび,「私たちの法の支配は,まだまだ不完全だ」と思います。

 どういうことか?

 法に違反した場合,たとえ有力な政治家であっても,社会的制裁や法的処罰を受けるというのは,その点では「法の支配」や「法治」ということが実現しているといえます。

 しかし,一方で法の使い方に,恣意的な面はないでしょうか?
 それは,こういうことです。

 公職選挙法や政治資金規正法は,クリーンな政治を実現するために,それなりに厳しくこと細かに,政治のお金の流れを規制しています。なにしろ,うちわを配れば法に触れるのです。そのようなクリーンな世界をめざしているということです。

 それだけに,本気で守られることのない法律なのかもしれません。
 理想に現実が追いつかない,といってもいい。

 有力な政治家であれば,こまかく追及すれば,どこかで「政治のお金の流れ」にかんし違法な何かをしていることがみつかるのでは?
 政治家は「叩けばホコリが出るものだ」ということ。

 そう断言できる根拠があるわけではありません。
 でも,かなりの人が「それはそうかも」と思えるのではないでしょうか。

 もし仮に「政治家は,叩けばホコリが出るもの」だとしたら,日本の政治は,不安定な要素をつねにかかえることになります。
 反対勢力が特定の政治家を失脚させようと思えば,いつでもそれができる,ということですから。
 
 一定の「力」をもった勢力なら,敵対する政治家の「お金の流れ」をくわしく調べて,何らかの「違法」をみつけることができる。マスコミや世論がそれを追求する。あるいは検察が動く。
 敵対する政治勢力どうしで,かなり効果的な「足の引っ張り合い」ができてしまう。

 有力な政治家が足を引っ張られてばかりだと,まとまった政策は実現しにくくなります。とくに,大きな変革はむずかしくなるでしょう。

 もしそうだとすると,「政治資金規正法」や「公職選挙法」は,これでいいのか?
 考え直す余地はないものか。 

 もう少し,「理想」のレベルを妥協して,現実的に「守れそう」というところまで規制をゆるやかにしてもいいのかもしれない。そのかわり一線を越えた場合はきびしく罰することにするとか。
 それが正しいかどうかはともかく,議論はもっとあっていいのでは…
 
 でも,「〈政治のお金〉についての規制を緩和すべきだ」なんて,誰が言えるでしょう? 政治家や官僚としては,主張にしくいです。
 そんなことを言えば,つよい批判を受けるでしょう。選挙になれば,落ちてしまいそう。

 ***

 「政治のお金の流れ」だけではありません。

 世の中には「法のめざす理想」と「現実」に大きなギャップのある事例が,いくつもあります。
 たとえば,道路の速度制限,残業手当の支払い,未成年の喫煙・飲酒の規制のように,「違反」が日常茶飯事になっている(と思われる)ことが,けっこうあるのです。

 こういうケースは,ルールの中身や運用に,どこか「現実」にそぐわない面があるのかもしれません。
 その法がめざす「理想」は正しいのですが・・・

 昔の「生類憐みの令」や「禁酒法」ほどに,むちゃな「理想」をかかげているわけではありません。しかし,現実に対してどこか「無理」を強いているところはないか。
 少なくとも,そういう「疑い」をもって考えてみてもいいと思います。
 
 しかし,「理想をかかげて何が悪い」という考えもあるでしょう。
 「あるべき姿を示すのも,法のだいじな役割ではないか」というわけです。
 
 でも,「遵守されないのがあたりまえ」という「法」がはびこるとしたら,やはり社会にとって大きなマイナスではないでしょうか。それでは法というものが,あまりに「軽い」ものになってしまいます。

 みんなが法を守ること,法の適用や違反者の処罰が平等に行われることが,「法治国家」の条件です。
 その条件が崩れてしまう。

 違反する人間がかなりおおぜいいて,「誰を追求し・取り締まるか」が権力や利害関係者の都合による,というのでは「法治」としてのレベルが低いわけです。
 法が社会的な権威として力を持っているという意味では,一定の「法治」にはなっていますが,それだけではダメです。

 今回の「大臣の辞任」のようなケースに接すると,「日本における〈法の支配〉は,まだまだ発展途上なのだ」と,私は感じます。これを,もう少し進化させていかないといけない。「政治と金の問題がどうの」とか「説明責任が云々」というだけの話ではないと思うのです。

(以上)  
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