FC2ブログ
2014年12月10日 (水) | Edit |
 10月から11月にかけては,普段あまり会えない友人と会って,じっくり話すことが何度かありました。オープンハウス(我が家を公開)のイベントで,何人もの方とお会いしました。興味深い本に出会うこともできた。

 そんな刺激を受けると,いろいろ考えます。
 考えたことを書きたくなります。
 書く時間がなかなかとれなかったのですが,今日はその一端を書きます。

 テーマは,「これからの時代を生きるためのスキルと知識」をいくつかあげてみよう,というもの。
 「生きる」というのは,充実して,楽しく生きるということ。

 それを考えるきっかけのひとつが,先月読んだ,タイラー・コーエン『大格差』(NTT出版,2014年)という本です。
 この本のサブタイトルは「機械の知能は仕事と所得をどう変えるか」。

大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか大格差:機械の知能は仕事と所得をどう変えるか
(2014/09/11)
タイラー・コーエン

商品詳細を見る


 テクノロジーの発達で,賢い機械(コンピューター)が多くの人の職をおびやかしつつある。
 賢い機械にできる仕事の範囲は,これからもどんどん広がっていく。
 しかるべきスキルを持たない人は,就業の機会から締め出されてしまう時代がやってくるのではないか。
 著者は,こう述べます。
  
 《あなたは,賢い機械と一緒に働くことが得意か,そうでないか?・・・あなたの技能がコンピューターを補完するものなら,あなたが職に就き,高い賃金を受け取れる確率は高い。しかし,あなたの技能がコンピューターを補完できなければ,見通しはおそらく暗い。将来は,ますます多くの働き手がこのいずれかに二分されるようになる。そう,平均は終わったのである》(6ページ)

 これからの技術革新の方向性と,それが未来の労働市場にどう影響をあたえるのか?
 未来の労働市場で求められる資質は何か?

 そんなことを論じた本です。
 この本を,先日(オープンハウスのイベントで)我が家に来てくれた友人に紹介しました。高校の先生である彼が,こんなことを言っていたからです。
  
 「ボク(40代)の同僚の若い英語の先生が,『英語なんてウチの生徒には役に立たない。もっと社会で役立つ,お辞儀の仕方とか,礼儀やマナーをもっと教えないといけない』って言うんだよね。ちょっと理解できない・・・ボクはおもに物理を教えているけど,教科をきちんと教えることは,これからの時代も意味があると思っている」

 彼の勤務する学校はいわゆる進学校ではないので,「ウチの生徒に英語なんて・・・」といった話が出てくるのかもしれません。

 そして,若い先生はこの人なりに「時代の変化」を感じているのでしょう。

 この世代の先生は,就職ではずいぶんたいへんな思いをしています。教員採用の試験は,昔は筆記試験が通れば,かなりの確率で「採用」となったのですが,今はそうはいかない。それなりの競争倍率の面接をくぐり抜けないと,先生にはなれない。面接官に気に入ってもらえるように,じょうずにコミュニケーションを取っていくことが必要。礼儀やマナーも大事。

 「礼儀やマナーを生徒に教えないと」というのは,おそらく若い世代の「就活体験」に根ざした考えなのでしょう。
 
 私の友人は,研究熱心で生徒にも慕われている先生ですが,組織のなかで要領よく行儀よくふるまうのは得意ではありません。
 「若いころのあなたのような人は,今の時代だと採用試験を通らないかもね」というと,彼も「そうだねー」。

 「これからの時代に何を身につけるといいか(何を教えるといいか)」を考える参考として,私は友人にこの本を紹介したのです。

 ***

 私は「英語よりもお辞儀の仕方だ」という考えには賛成しません。
 役に立たないのは「英語」そのものではなく,今の授業の英語なのかもしれません。英語の先生なら「目の前の生徒にとって役立つ英語は何か」を考えればいい。

 でも,「これからの時代を生きるために,教育で何を教えるべきか」について,これまでとはちがった考えが必要だという点には,かなり同意します。
  
 では,「何が大事か」ということですが,その簡単な一覧を考えてみました。
 コーエンが『大格差』で述べていることと重なる部分もありますが,私なりの視点もあります。
 
 こんな一覧です。

【これからの時代を(楽しく)生きるためのスキル・知識】

1.賢い機械=コンピューターといっしょに働くスキル
2.読むための英語 ネットなどで英語の記事が読める
3.実用的なわかりやすい文章が書ける
4.制約のなかでも,生活を(それなりに)美しくできる


 ここまでは,「これができる」という「スキル」です。

 以下は,人生や社会について考える基礎となる知識。
 世界観のもとになる知識といってもいい。

5.お金(金融・会計)についての知識
6.ざっくりと大きな流れを捉えた世界史
7.科学の本質についてのイメージ


 そして,基本的な態度・心構えとして

8.責任感のあるまじめさ・着実さ

 ***

 以上の項目は,抽象的にならないよいうに心がけました。「生きる力」や「問題発見力」のような,広すぎる漠然とした概念にならないように。ざっくりだけど,一定の具体性を備えた項目のつもりです。原理的には,適切なカリキュラムを組めば,学校などで教えることができるスキルや知識です(8.はやや難しいですが)。

 そして,教育の世界では,これまであまり重視されていなかったことばかり。

 もっと説明が必要ですが,それは次回以降に。

(以上) 
関連記事
コメント
この記事へのコメント
来年の目標
今年1年をふりかえりつつ,新しいカレンダーや手帳を眺めながら,来年の目標を立てているところです。
来年の目標を立てる上で大いに参考にしたい内容です。

「これからの時代を楽しく生きるためのスキル・知識」の中で,重点的に取り組みたいことは以下の通りです。

「2.読むための英語 ネットなどで英語の記事が読める」

苦手意識が強く,大学を卒業して以来,英語を意識的に避けてきました。しかし,読むものが日本語のものだけというのは,なんとももったいないことであると最近強く思います。来年は高校1年レベルから勉強を始めます!

「3.実用的なわかりやすい文章が書ける」

これは英語以上に必要だと強く思います。自分にとっても,高校生にとっても。
おっくうなところもありますが,来年は意識的にアウトプットしていきたいです。

そして,

「5.お金(金融・会計)についての知識」
「6.ざっくりと大きな流れを捉えた世界史」

については,ブログ「団地の書斎から」をもとに,たのしく勉強していきたいです。
コーエン『大格差』は,いま読んでいるところです。

具体的に何をどうするのかというのは一言では言えませんが,最も大切な目標としたいのが,

「8.責任感のあるまじめさ・着実さ」

これを大目標として,それぞれの人が自分の生活実態に応じて,中目標・小目標をつくっていけばよいと思います。
2014/12/11(Thu) 08:05 | URL  | 河上力哉 #-[ 編集]
Re: 来年の目標
河上さん,コメントありがとうございます。
このコメント自体がひとつの記事のようで,こんなコメントが重なっていけば,当ブログは充実・発展していけると思います。

記事の中では8つのスキル・知識をあげたわけですが,河上さんはその一部をピックアップされています。私も「この全部を」ということではなく,「それぞれの関心・課題に応じて,8つのうちのいくつかを」というつもりで述べています。
また,これら以外にも大事な「スキル・知識」はあるのでしょう。
「自分なら,これを取りあげる」などと考えてみるのもいいかと。
今回の記事(あと,これから書くつもりの続き)が,そのように考えることへの刺激になれば,とも思います。

私自身「だいじなスキル・知識」について考えてみたことは,自分を刺激してくれました。
今後のめざす方向を考える刺激になったと思います。
2014/12/12(Fri) 22:32 | URL  | そういち #-[ 編集]
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック