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2014年12月14日 (日) | Edit |
 前回,前々回の続きですが,この回だけ読んでいただいても大丈夫です。

 「世の中を生きていくために何を身につけたらいいのだろう」ということは,多くの人が考えると思います。
 私も「これからの時代を生きるためのスキル・知識」について考えた。
 自分も含め,多くの人に役立つだろうという8つの項目をあげてみました。

【これからの時代を(楽しく)生きるためのスキル・知識】

1.賢い機械=コンピューターといっしょに働くスキル
2.読むための英語 ネットなどで英語の記事が読める
3.実用的なわかりやすい文章が書ける
4.制約のなかでも,生活を(それなりに)美しくできる


 ここまでは,「これができる」という「スキル」。

 以下は,人生や社会について考える基礎となる知識。
 世界観のもとになる知識といってもいい。

5.お金(金融・会計)についての知識
6.ざっくりと大きな流れを捉えた世界史
7.科学の本質についてのイメージ


 そして,基本的な態度・心構えとして

8.責任感のあるまじめさ・着実さ

 ***

 もし,「高いスキルをもった少数の人材」として高収入やステイタスを得たい,つまり「エリート」をめざすなら,これではもちろん足りない。あるいは,それぞれの項目で本当に高いレベルを身につける必要があるでしょう。
 そして,「エリート」になろうとするなら,このリストにあるくらいのことは「土台」として当然に身につけておくべきだと思います。

 でも,そういう元気で能力の高い人たちよりも,私が話したいのは「いろんなことがうまくできない」と感じている人たちです。多数派のフツーの人たち,といっていい。
 
 そんな多くの人にとっては,この8項目のうち2つでも3つでもそれなりに身につければ,これからの時代を元気に生きるうえでおおいに役立つでしょう。「この8つ全部が誰にも必要」なんてことはありません。

 なのに,これらの項目は,学校教育やマスコミなどではあまり重視されていません。少なくとも,その重要性についてあいまいな言い方しかされていない。
 あるいは,それぞれの項目で「まず大事なことは何か」について議論が混乱していたりします。「多くの人にとって必要なレベル」と「社会の最先端を担う人材に必要なレベル」を混同していたりするのです。

 だからこそ,こういうリストをつくってみる意味があります。
 これらの8つの項目については,今の学校やマスコミはしっかり教えてくれないので,自分で自分を教育していく姿勢が大事です。

 また,そもそもこういう「教育内容のリスト」については,人によって考え方が大きく異なります。
 私のリストをみて「あれが足りない」「これは要らない」という意見はいろいろあると思います。あるいは,もっと抽象度の高い項目で考えるべきだという人や,逆にもっと具体的な内容のリストであるべきだ,という人もいるはずです。
 
 私は私なりのさじ加減で「このくらいの抽象度でまとめるといい」と思っているわけです。「生きる力」とか「問題発見力」みたいな包括的すぎる項目にならないように,かといって細かくなりすぎないように・・・

 以上,この8つの項目のリストは

 ・必ずしも「エリート」ではない多数派の人にとっても大事と思われることで
 ・学校では十分に教えていないことを
 ・抽象的になりすぎず,細かくなりすぎず

 という意識のもとにピックアップしたものです。
 このリストをきっかけに,自分なりのリストを考えてみるのもいいかと思います。

 ***

 それでは,各項目について説明していきます。
 まず最初の2つは「IT」と「英語」ですから,「それが大事だ」ということじたいは,誰も異論がないでしょう。
 問題は,その内容をどうとらえるかということです。
 世の中の議論にはいろいろ混乱や誤解があるように思います。

1.賢い機械=コンピューターといっしょに働くスキル

 これは,3つのレベルがあります。

 ①情報の消費のための端末を使える
 ②情報の生産・発信のための機器・システムを使える
 ③上記①②のシステムを作り出す

 多くのフツーの人に必要なのは,まず①で,それから②の初歩です。①は携帯やスマホやゲーム機がいじれる。パソコンでネットの検索ができる。②はおもにパソコンでアプリケーションのソフトなどを使って,アウトプットをする。③は,ITの専門家・技術者の世界です。 

 ときどき,これらがごちゃごちゃになっている議論をみかけます。
 「今の若い人たちはゲーム機やスマホで慣れているから,ことさらにITの教育する必要はない」という人がいます。でも,それでは②の教育はどうするのか? だからといって,コンピュータ言語などの③レベルが誰にも必要と考えるのは行きすぎです。
 
 ①は,今の時代はかなりの人が生活のなかで身につけています。
 しかし,若い人でIT機器に慣れているはずだから,自然に②が身についているということはありません。

 大学生のつくったワープロの書類をみると,かなりの場合「基本操作ができていない」とわかります。パソコンに疎い中年の私がみても「ダメだなー」と思うものがかなりあるのです。(私はキャリアカウンセラーとして若い人の就職相談の仕事をしています)

 それから,ここで「コンピューター操作のスキル」などといわずに「コンピューターと働くスキル」というのには,わけがあります。
 それは,「コンピューターを扱うこと」自体が目的ではないからです。「コンピューターに手伝ってもらいつつ,コンピューターにはできない何かを行って成果を出す」のが目的です。

 だとすると,私たちに「コンピューターにできない何か」ができるかどうかが,大事になります。そのうえで,コンピューターとどう関わるか。その視点が必要です。

 
2.読むための英語 ネットなどで英語の記事が読める

 「読む」「書く」「聞く」「話す」の全部をこなして英語でコミュニケーションするのは,ものすごくハードルの高いことです。英語でのコミュニケーションのうち,最も初歩的で入りやすいのは「読む」こと。

 そして,英語を「読む」力は,今の時代はおおいに使いでがあります。インターネットで大量の英文に手軽にアクセスできるからです。興味のある分野の記事を,たどたどしくても読めたら楽しいし,世界が広がります。

 少し前は「読むに値する英文」に出会うこと自体がたいへんでした。ふだんから多くの英語の本や新聞,専門誌などに触れている特別な人にだけ,それが可能でした。でも今はちがいます。インターネットのおかげです。

 なので,英語学習のとりあえずの目標は「興味のある分野に関する英文を,多少時間がかかっても読めるようになること」だと考えるといいでしょう。

 もちろん,その先の英語力もあったほうがいいにきまっています。「社会の最前線」にいるビジネスマンに話を聞くと「英語はやっぱり勉強したほうがいい。英語ができると職業選択の幅は大きく広がる」といったことを,多くの人が言います。

 でも,「とりあえずこれでいい」というレベルも自覚しておきましょう。
 大事なのは,英語というのはいろんなレベルなりに「使える」ということです。

 就職の相談で「TOEIC600点じゃ,資格のうちに入らないのでは?」という話を聞きますが,そんなことはありません。たしかに「それでは足りない」という仕事はあります。でも,「600点でも(いや500点でも)とりあえずオーケー」という,英語を使う仕事もあるのです。

 ***

 以上の「IT」と「英語」は,私にとっては苦手の分野です。ほんとうはエラそうなことは言えません。
 でも,苦手なりに,苦手だからこそ「何が大切か」を感じるところもあります。

 また,パソコンにせよ英語にせよ,ささやかにしかできなくても,ほかのスキルと結びついたとき,じつに有意義なものだと感じます。
 たとえば私は,このブログや自家製の印刷物や商業出版などで情報発信をしていますが,それに必要な初歩のパソコンのスキルを身につけて,ほんとうによかったと思うのです。

 私が「初歩のパソコンスキル」と組み合わせているのは,つぎの「文章を書く」というスキルです。


3.実用的なわかりやすい文章が書ける

 昔ながらの定義だと,知識人とは「文章・文書で,複雑なコミュニケーションがとれる人」のことです。軍隊や役所での文書によるやりとりが,その古典的なかたちです。きちんとした文書の読み書きができるのは,昔は高等教育を受けた人だけでした。だからそのような人たちが将校や高級官僚になったのです。

 今の時代は,幅広い人たちが将校や官僚のように多くの文書を書いています。メールやSNSでのやり取り,就職活動,プレゼン,議事録,報告書,レジメ,レポート,システムに入力する記録・・・

 「実用的なわかりやすい文章が書ける」ことは,今の社会の重要なスキルになっています。
 でも,学校教育ではあまり力を入れていません。

 国語や作文の授業は,あいかわらず「文芸」中心です。ある種の凝った美文や芸術的な表現を追求することがメインで,「実用的でわかりやすい文章を書く」という視点は弱いです。

 大学の授業で書かせるレポートも,「実用的な文章」のトレーニングにはなっていないようです。学術論文をお手本にしているせいでしょう。学術論文というのは,多くの人からみれば,たいていはガチガチした読みにくい文章です。

 私は会社員時代(総務・法務の担当だった)や今のキャリアカウンセラーの仕事などを通じて,さまざまな文章をつくったり,人の文章を検討したりしてきました。また,個人の活動として著作も行ってきました。「文章・文書にまみれて生きてきた」といってもいいかもしれません。

 それでわかったのは,「書くことが得意な人は少ない」ということです。
 「パソコンが得意」「英語が得意」という人よりも少ないかもしれません。
 年齢・学歴などを問わず,多くの人が「文章を書く」ことには苦戦しています。 

 学校で「書くこと」の教育に力が入らない一因も,そこにあります。
 「文章の書き方」を教えられる人が,教育現場にあまりいない。
 いたとしても,ほかのことで手一杯。

 数百~2000文字くらいの,一定のメッセージといくつかの情報で構成された,わかりやすい文章。
 それが不自由なく書けるとしたら,これから生きていくうえで,いろいろ得すること,楽しいことがあるでしょう。

 文章が書けるようになると,話すのも,聞くのも,読むのも上手になります。一流の作家の多くは,弁の立つ人でなくても,しっかりと伝えるべきことを話したり,人の話を引き出したりできるのです。

 でも,それは今の学校教育ではまず教えてくれないので,自分で何とかしないといけません。

 この項目は,私としてはこれまで追求してきた分野です。関連する著作(電子書籍 自分で考えるための勉強法 (Discover Digital Library) アマゾンキンドルで発売中)もあります。書きたいことはもっとありますが,今回はこのへんで。

 ほかの項目(4.以下)は,次回以降に。

(以上)
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コメント
この記事へのコメント
書くことが得意な人は少ない!
 「書くことが得意な人は少ない」

 「「パソコンが得意」「英語が得意」という人よりも少ないかもしれません。
 年齢・学歴などを問わず,多くの人が「文章を書く」ことには苦戦しています」

という箇所を読んで,何だかホッとしました。

そういちさんを含め,ブログなどで大量に書くことができる人は,当然書くことが得意なものだと思っていたからです。

書くことが苦手な私も,意識的にアウトプットしていけば,書けるようになってくるのでしょうか。

「実用的なわかりやすい文章が書ける」を自分の来年の目標のひとつとしたいと思います。
2014/12/16(Tue) 13:29 | URL  | 河上力哉 #-[ 編集]
Re: 書くことが得意な人は少ない!
書くことが苦手な人でも,意識して書いていけば,上達します。
これははっきりしています。
できれば,「書ける」人にみてもらってアドバイスを受けながらが理想ですが,なかなか難しいと思います。だから,自分だけで書いていくしかないというのが,一般的でしょう。

私も,一定のスキルは身につけたとは思いますが,それもいろいろと「苦戦」を重ねた結果です。

通り一遍の文ならともかく,自分の想いや思考を踏み込んで述べたり,やや込み入った事実関係などを文章で過不足なく説明するのは,やはり難しいのです。でも,そんな「踏み込んだ文章」を書けるなら,人と深いコミュニケーションをとるのに役立ちます。それは世の中を渡っていくうえで大事な道具になるはずです。
2014/12/17(Wed) 00:25 | URL  | そういち #-[ 編集]
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