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2015年01月19日 (月) | Edit |
今回は「今の多くの人がめざすべき,よい文章とは何か」について。私自身,ささやかながら著作を出したり,文章を書きながら考えてきたことです。また,この数年は若い方の就職の相談の仕事をしていて,多くの人の自己PRや小論文などを添削する機会がありました。その経験からも,「文章のありかた」について,いろいろ考えます。

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「よい文章」の4つのポイント

多くの人がめざすべき,「よい文章」とはどんなものでしょうか? それを支える技術や精神は何か? 
これには,4つのポイントがあります。

1.「よい文章」とは,シンプルでわかりやすく,正確な文章である。つまりそれは「実用的」ということ。
 
芸術的な文章というのもありますが,多くの人がまずめざすべきなのは,実用的な文章です。

学校教育では,そのような文章の教育にあまり力を入れていません。国語や作文の授業は,あいかわらず文芸中心です。ある種の凝った美文や芸術的な表現を追求する傾向があります。

大学の授業で書くレポートも,「シンプルにわかりやすく書くこと」のトレーニングにはなりにくいようです。学術論文をお手本にしているせいでしょう。学術論文は,多くの人からみれば,たいていはガチガチした読みにくい文章です。


2.「よい文章」には,核となる,伝えたいメッセージがある。

まず,自分のアタマにある「メッセージ」を明確にしないといけません。
「メッセージ」とは,主張や意見,ぜひ伝えたい知識・情報,自分の想い・感情などです。

そのメッセージをあらわす「自分なりの表現・コトバ」がみつかったら,しめたもの。その「核」さえあれば,文章は書けます。なければ,いい文章にはならない。


3.その「メッセージ」を伝えるため,ふさわしい・程よい情報や表現が盛り込まれている。
 
抽象的すぎてはいけない。かといって,具体的に細かいことを書けばいいというものでもない。情報が少なすぎても,情報過多でもいけない。「読者のアタマにどんなイメージ・像を浮かばせるか」を常に意識しないといけません。「抽象性・具体性」「情報量」のさじ加減を考えましょう。
  
文章は,「言語によって,読者に自分の認識(思考や感情など)を追体験させるため」に書くのです。「認識」とは「イメージ・像」といってもいいです。

書き手は「どんなイメージ・像を読者のアタマに浮かばせたいか」を考えなくてはいけません。「抽象性・具体性」はそれを考える上でのカギです。


4.「押しつけ」を感じさせないだけの論理性がある。

逆にいえば,文章の「論理性」とは「読者に押しつけを感じさせない」ということです。そのためには,「論理の飛躍」をできるだけ排除しないといけません。

不注意に書いた文章には「飛躍」が多いです。それは読者には「押しつけ」と映ります。そうならないためには,ある結論にもっていくとき,つねに必要な前提や情報を盛り込んでいくことです。

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「4つのポイント」はどう位置づけられるか

以上をまとめると,

1.シンプルに,わかりやすく,正確に。
2.核となるメッセージ。
3.程よい抽象性・具体性と情報量。
4.押しつけを感じさせない論理性。


重要なのは,以上4つの大まかな視点です。具体的なコツや方法論は,上記1~4の各論になります。たとえば,「ひとつの文に多くのことを盛り込まない」「主語と述語の関係を意識する」といったことは,「1.わかりやすく,正確に」の各論です。

世の中には多くの「文章の書き方」の本があります。1~4のポイントは,そこで論じられていることをほぼカバーしているはずです。

また,「よい文章とは」というほかに,「文章の上達の方法論」という切り口もあります。たとえば,上達のためには「日記的に短い文章をたくさん書く」「よく推敲する」「誰かに読んでもらう」等々のことが大切だ,といった話です。

しかし,この4つのポイントは,そうした「上達論」ではなく,文章論の「本体」の話です。

スポーツで例えれば,「どんなフォームが正しいか,そのフォームで大切なことは何か」についてです。これに対し「上達論」とは,「そのフォームを身につけるためにどんな練習を積むべきか」ということです。

 
多くの文章論に不足している「体系性」と「論理性」

文章論や文章講座の中には,上記の4つのポイントのような大きな見方と,細かい具体的なノウハウを同列に論じているものもあります。また,「本体」(何があるべき姿か)と「上達論」(どう練習すべきか)がごっちゃになっていたり,どちらかが欠けていたりすることもあります。

あるいは,上記1~4のどれかに関わる,ある一面だけを強化することで文章力を上げようとするものもある。

それでは「体系性や論理性が足りない」と言わざるを得ません。しかし本来は,初心者が力をつけるためには,体系的なアプローチが必要です。さまざまな側面の事柄について整理しながら,ひとつひとつ押さえていかないといけないのです。

(以上)
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