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2015年10月29日 (木) | Edit |
横浜のマンション傾斜問題のニュースをみていると,「波紋」が広がったり,いろいろ「展開」したりして,最も大事なところがぼやけてしまわないか心配になります。

この問題は,まず第一にマンション住民に対する,販売会社(三井不動産レジデンス)の責任の問題です。住民にマンションを売ったのは,販売会社ですから,当然です。

そのはずなのに,報道では施工の元請(三井住友建設)やその下請け(旭化成建材)のことがより多くとりあげられています。

たしかに,マンション傾斜の原因になった「データねつ造」は,建設の現場で起こったことで,その「ねつ造」は旭化成建材の担当する業務でのこと。だから,人びとの関心がどうしてもそっちのほうに行ってしまう。

これは,「問題の追及」が,いわば垂直方向に掘り下げられているということ。

一方で,「横」の「水平方向」にも,報道や人びとの問題意識は展開しています。「ほかの建物は大丈夫なのか?同じようなデータねつ造はないのか?」という関心です。

たとえば今日の朝刊は「北海道の工事でも旭化成建材がデータ流用をしていた」と報じています。「自分のところは大丈夫か?」という不安も,当然といえば当然です。マスコミの人も,関連する何らかの新事実を明らかして,手柄を立てたい。

でも,こういう「垂直」「水平」への展開は,いちばん大事な責任問題への人びとの関心をそらす効果を持っているのではないでしょうか。

「垂直」「水平」という見方は,だいぶ前に企業の不祥事やリスクの問題に詳しい方から教わったのです。たしかに有効な視点です。不祥事というのは,「垂直」や「水平」に展開する傾向があるのです。

今朝のニュースでは,問題のマンションの住民の方が「三井住友建設と旭化成建材で責任のなすりつけあいの議論をしているのはけしからん」と怒っているインタビュー映像が流れていました。

それはたしかに「けしからん」です。でも,その「なすりつけあい」がどうこうよりも,販売会社への責任追求こそが,住民の人たちにとっては重要です。ほかのことは,じつは枝葉にすぎません。

マスコミや人びとの関心が,垂直や水平に拡散していることで,マンション販売会社(三井不動産レジデンス)はかなり助かっているでしょう。

そのように販売会社がマスコミを操作した,とは言っていません。でも,とにかく今の展開は,被害者の救済と第一の責任者の責任問題をぼやかしているように思えてなりません。

そして,第一の責任者の責任があいまいになってしまっては,そのほかのどんな原因追究や再発防止策もたいした意味をもたないでしょう。「建設業界の下請け構造こそが問題だ」みたいな議論は,一見「深い」ようで,じつは用心すべきだと思うのです。

(以上)
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