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2016年01月20日 (水) | Edit |
 今年最初の記事が,こんな時期になってしまいました。
 遅ればせで恐縮ですが,今年もよろしくお願いいたします。

 新年にふさわしい,明るい展望でも述べたいところですが,最近思うのは「日本は,やはりまだ近代化の途上にある」ということです。テレビのワイドショーをみて思うのです。

 たとえば,バラエティーで活躍する女性タレントさんが,妻子あるミュージシャンの男性と「不倫(を疑われること)」をしたというので,重々しい調子で謝罪の会見をしていたこと。
 
 女性タレントさんは,なんであんなに謝っているのか? 誰に?
 不倫は,おもに不倫相手の配偶者を傷つけるものです。だから,悪いことをしたと思うなら,傷つけた相手にまず謝まるのがいいはずです。つまり,当事者間の問題です。なのに,テレビの場で「世間様」や「関係者」に謝ることが,とにかく大事なようです。

 おととい(18日)の夜は,テレビでスマップがみたこともない沈痛な様子で謝っていました(木村拓哉さんは,ややちがう立場のようでしたが)。

 これは,何について,誰に対し謝っていたのでしょうか?
 「独立騒動で,ファンのみなさんに心配かけてごめんなさい」という感じではありませんでした。自分たちの所属事務所の経営者(社長と副社長)に謝っているようにみえました。

 スマップの属する世界では,恩義あるボスと対立したことは,何よりも悪いことのようです。テレビでさらし者になって,ひたすら詫びないといけない。

 でも,今回の「独立騒動」は,スマップの属するジャニーズ事務所という一企業でのもめごとにすぎません。
 スマップを育てたという功績のある役員と,創業者一族である社長・副社長らの対立に端を発しています(その点は,多くの報道が一致している)。会社の中の派閥争い,あるいは「お家騒動」です。その争いの中で,どちらの側につこうとも,それ自体が法や倫理に触れるということはないはずです。(メンバーのうち木村さんを除く4人は,自分たちを育てた役員の側について独立しようとした,とのこと)
 
 派閥争いに負けた側が,その会社の中で恥辱を受ける,ということは本当は望ましくありませんが,現実にはあるでしょう。でも,社内の派閥争いに負けた人間に,勝った側が「テレビに出て謝罪しろ」と強要したとしたら,どうでしょう? おかしいですね。

 しかし,先日のスマップの生放送は,それと似たようなものだったと思います。あれは「会社の派閥争いで負けた側の社員が,勝った側の創業者社長に謝っている」というものだったのです。おかしな放送です。

 あの謝罪は所属事務所側によって作られたものをメンバーが読んだだけだった,とする報道もあります(例えば『東京スポ―ツ』1月21日号)。*1月20日21時付記

 でも,それをさほど異常とは感じない雰囲気が,日本の社会にはあるような気がします。
   
 たぶん,「恩」や「義理」を根拠に権威を持つ「ボス」というものが,今も日本の社会では力を持っているのです。大小さまざまなボスが社会のいろんな場所にいて,それに逆らったらひどく罰せられるということです。たとえスマップであっても例外ではない。そのような感覚が,多くの人の前提になっている。だから,テレビ局はあんなものを放送してしまう。

 タレントの独立について「せっかく育てたタレントが独立してはプロダクションが成り立たない」と言われます。でも,ほんとうはそういう問題は,契約関係を整理することで,つまり「お金」で解決できるはずです。独立するタレントは,育ててくれた会社に何らかのかたちで相応のお金を払うようにする。それが「近代社会」というものです。

 「オレが育てた以上,オレの元を離れることは一生許さん,逆らったらこの世界で生きていけないようにしてやる」なんて,職業選択の自由がなかった前近代そのものの発想です。テレビのワイドショーでは,その異常さについて,あまり言いません。前近代な「芸能界の掟」が,芸能界と関係ない人たちのあいだでも「そういうものだ」と通用してしまっているところがある。

 法や個人や人権が,「世間様」や「ボス」を前にすると,たちまちあいまいになってしまう。

 私たちは,まだまだ近代化の途上にあるのです。そこらへんを,2016年の日本は「スマップ騒動」を機に反省し,近代化をおしすすめたらいいでしょう。

(以上)
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