FC2ブログ
2016年05月05日 (木) | Edit |
 今日5月5日は子どもの日ですが,思想家・経済学者のマルクスの誕生日でもあります。
 そこで,マルクスの「四百文字の偉人伝」を。
 古今東西の偉人を,400文字程度で紹介するシリーズで,ときどきこのブログでのせています。100人分くらいを集めて,ディスカバー21という出版社から電子書籍も出版しています。(アマゾンなどで販売中)

マルクス

図書館通いのフリーライター

 1800年代後半の思想家カール・マルクス(1818~1883 ドイツ)の代表作は,『資本論』(第1巻1867年刊)という大著です。これを書いたころのマルクスは,反体制活動で祖国ドイツを追われ,イギリスのロンドンにいました。
 奥さんも子どももいるのに彼には定職もなく,フリーライターの仕事や盟友エンゲルスの支援などでなんとか暮らしていました。家財を質入れすることはしょっちゅうで,債権者が集金に来そうな日には,家族で知人の家に身を隠したりもしました。
 でも,時間はありました。ロンドン市内の大英図書館に通い,経済や歴史の本をノートに抜き書きしながら読みあさりました。それを続けること十余年。抜き書きはノート何百冊分にもなりました。『資本論』は,そんな勉強の成果でした。
 彼の著作は,後世に影響を与えます。1900年代には,「マルクス主義」をかかげる革命が,ロシアなどさまざまな国でおこりました。「ビンボーなフリーライターが図書館通いをして書いた本が,世界を動かした」のです。
 そんな本を書いたマルクスはたしかにすごいです。一方で「図書館も,使い方しだいですごい道具になる」ということにも感心してしまいます。

参考:ブリッグス著,大内秀明監修・小林健人訳『マルクス・イン・ロンドン』(社会思想社,1983),大内兵衛著『マルクス・エンゲルス小伝』(岩波新書,1964),マクレラン著,杉原・重田・松田・細見訳『マルクス伝』(ミネルヴァ書房,1976)

【カール・マルクス】
 『資本論』などの膨大な著作で,後世に「マルクス主義」の教祖とされた思想家・経済学者。1849年以降は終生ロンドンに在住。生涯にわたるエンゲルスの経済的支援と学問的協力のもとで研究を行なった。
1818年5月5日生まれ 1883年3月14日没

  マルクス


 「マルクス主義」というものの評価はともかく,マルクスが後世に大きな刺激――それもきわめて大きな――を与える学問的著作を残したことはたしかです。そういう仕事をするうえで,彼は長い時間をかけて,ぼう大なインプットや探究をしているわけです。

 マルクスが通った大英博物館の図書室(大英図書館)は,当時の世界でダントツに大きな図書館でした。しかも本格的な図書館としてオープンしたのは1850年代のことで,マルクスの時代には最新の施設でした。単に新しい図書館というだけでなく,このような巨大な・よく整備された公共図書館というもの自体の先駆けでした。当時の「世界の中心」といえる大英帝国の首都ならではの施設といえるでしょう。

 マルクスが図書館通いをしたのには,「ビンボーなので思うように本を買えないから」という面もあったでしょう。しかしそれ以上にマルクスは,当時の最新鋭の「情報のインフラ」をフル活用していた,ともいえます。

 才能ある思想家が,その時代なりに豊富な情報に触れ,その情報をトコトン利用し,徹底して時間をかけて材料を集め,自分の体系を構築していった。「才能×情報×時間」ということです。これは,歴史的な書物が生まれるひとつの典型的なあり方だと思います。

(以上)
関連記事
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック