2017年01月05日 (木) | Edit |
正月休みのかなりの時間を割いて、家の整理をしています。
妻といっしょに、要らない書類や資料、本・雑誌、洋服などを処分しようとしているのです。

とっておくものも、しかるべき形に整理して、置くべきところに置いて、使えるようにする。
まだ、片づけたいと思っていることの半分もできていません。
今月いっぱいは、おもに週末に、そうした整理に時間を割くつもりです。

そんな整理をしていて、あらためて大事だと思うことがあります。

過去の仕事を再検討して
あらためて取り組む。


もともとは、チャールズ・イームズという20世紀アメリカのデザイナーが言っていたことです。イームズは、20年、30年という時間のなかで、自分のアイデアやデザインを再検討してつくり直すことに何度も取り組んでいます。イームズの代表作の多くは、その作業のなかから生まれています。

過去の仕事の再検討――最近はこのことを一層つよく思います。

今回、身の回りの整理をしていても、思いました。自分が過去に書いたもの――発表したもの、下書き的なもの、ちょっとしたメモ等々――をみると、いかに多くの未完成のもの、発展途上のものを放っておいたままにしているか。

これらをきちんと完成させようとしたら、相当な時間やエネルギーが要ります。

私は50歳を少し過ぎています。
20歳ころから読んだり書いたりに興味をもってきましたが、それで去年やっと世界史の本を1冊出せただけの、かけ出しです。
もう時間がありません。

たしかに人生は長いです。
でも、若いころから取り組んできた「関心のある分野でものを書き、読者を得たい」という活動を軌道に乗せるということなら、私に残された時間はやはり限られている。

そんな私にとって大切なアプローチが、「過去の仕事の再検討」です。
未完成のものを、完成させていく。あるいは改定して、グレードアップする。かたちを変えて、別のユーザーにお届けする。

去年出した本『一気にわかる世界史』(日本実業出版社)も、そんな「再検討」から生まれました。

直接の出発は10年ほど前に書いた、試作品的な原稿(草稿)でした。
それを何人かの人に送ったり、研究会のようなところへ持って行って配ったりしましたが、反響は芳しくありませんでした。

その後数年の間に、ひとりで何度か再検討と書き直しをくりかえしていくうちに、多少の手ごたえがあったので、書いたものの一部をこのブログにのせました。

それから2年ほどして、ブログの記事を書き直してまとめることにしました。その作業がほぼおわったころに、偶然にブログをみた出版社の方からの声がけがあったのです。最後に書き直したバージョンをもとに、『一気にわかる世界史』はできています。

今年も、再検討してあらためて取り組みたいテーマ(以前の原稿など)がいくつかあります。
幸いにも、私の書いたものは世の中にほぼまったく広まっていないので、これらをつくり直して新しい読者に届ける余地はいくらでもあるわけです。50過ぎて、そういう「課題」がいっぱいあるのは、悪くないことです。

年末に、若い仲間が創刊する雑誌『うぞうむぞう』のための記事を複数書きましたが、それらも過去の仕事の再検討によってつくりました。記事のひとつは15年前の原稿を大幅に加筆・修正したものです。昔の原稿を、編集長の木村さんが(学生時代に読んだのを)おぼえていて、そのすすめに応じてのことでした。

「過去の仕事の再検討」というのは、過去にこだわって新しいものを受けつけない、ということではありません。過去の仕事を今現在の読者・ユーザーに届けるためには、新しい情報や視点をふまえて取り組む必要があります。新たに学び、考えることになるのです。過去の仕事を、今そのまま出しても多分ダメです。

新しいことを加えていかないと、過去の仕事は完成しない。そこで、「過去の仕事を完成させる」という過程から、新しいアイデアやスキルを得ることもできる。これは、やってみて実感しています。

「中高年の生き方」の話では、「まったく新しい何かにチャレンジ」ということに光があたりがちな気がします。とくに、元気な人はそういうことを言います。もちろん、それも悪くないと思います。でも生産性や成功の可能性が高いのは、過去の仕事を再検討し、今の状況にあうように、あらためて取り組むことでしょう。

なお、このことは中高年だけでなく、30歳くらいを過ぎたなら、もっと若い人にもあてはまるはず。

「今の状況にあうように」というのは、とくにむずかしいところです。たしかに、それがないと「過去の思い出に生きている」感じになってしまう。でも、そのあたりの自覚をもって勉強すれば、中高年でもかなりのことはできると思っています。

(以上)
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