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2013年03月17日 (日) | Edit |
引き戸3

引き戸1

団地リノベーションのメリットは,「比較的ローコストで自分好みの家を手にいれられれる」ことだと,これまで述べてきました。では,「自分好みの家」ってどういうことか。

それはけっきょく,「家で目にするものにイヤなものがない」ということです。

そう話すと,「そうだよねえ,私は家のなかにイヤなものがいっぱいある」という人が少なくありません。私もそうでした。

たとえば,子ども時代をすごした団地では,母がダイニングのイスにスーパーで買ってきた,安っぽい花柄の座布団を敷いていました。大学生の頃くらいから,それがイヤでした。それと同程度に「イヤなもの」が,実家には何十とありました。

1人暮らしをはじめてからのアパートでは,まず小さなユニットバスが,見た目も使い勝手もイヤでした。予算や選ぶ手間を妥協して買った家具が多く,それをみるとちょっとテンションが下がりました。

もう少しこぎれいな賃貸マンションに住むようになってからは,家具も好きなものを選んで買えるようになりました。でも,壁紙(ビニール)やフローリングのいかにもツルツルしたかんじが気になりました。

ここで「イヤ」というのは,強烈に「イヤ」ではなく,なんとなく,というかんじです。

団地リノベにかぎらず,中古住宅をリノベーションする最大のメリットは,この「イヤなもの」を無しにできるということです。

その「中古リノベーション」の世界のなかで,比較的ローコストなのが,団地リノベです。

「イヤなものを無しにする」といっても,それまでの家具をすべて捨ててしまったり,家じゅうをぜんぶ新しくするということではありません。好きなモノは,ひきつづき使っていく。家のなかも,「ここは」というところだけ直していけばいい。

それをうまく実現するため,私の場合は,信頼てきる建築家(寺林省二さん)に,リノベの設計と施工監理をお願いしました。

でも私は,寺林さんとはこまかい打ち合わせはしていません。「この人なら」と,センスや技量をみこんで,間取りなどの基本方針以外は,丸投げ的におまかせしました。

そして,できあがったのは,すみずみまで「目にするものにイヤなものがない」空間です。精神的に,気持ちのいい空間。でも,これまで使っていた家具のほとんどや,古い団地らしい内装も,あちこちに残っています。

もちろん「イヤなものがない」というのは,あくまで「私にとって」ということです。人からみれば,私の家には「イヤなもの」がいっぱいあるかもしれません。本棚だらけのウチをみて,「こんな本屋みたいな家には住めない」と,親しい人にいわれたこともあります。

上の写真にある,引き戸(リビングと寝室を仕切っている)は,そんな「イヤなものがない我が家」の象徴だと,自分では思っています。

この引き戸の,全体的な色やかたちが,そしてとくに取っ手の部分のデザインが,私は好きです。これまで住んだ家で,戸やふすまにたいしてそんな気持ちを持ったことはありませんでした(引き戸の製作は家具工房・真吉による)。

このようなものが,とくに打ち合わせたわけではないけど,おかませした結果,できあがっていました。

***

こんな話をしていると,「あなたみたいな人の奥さんはたいへんですね」といわれることがあります。ほんとにそうです。家の趣味にかんしては(ほかもいろいろそうなのですが),私はずいぶんとわがままを通させてもらいました。

住まいのつくりにかんして,妻にこれといった嗜好がなかったのは,幸いでした。もしも妻が,たとえば「カントリー風でないと」とかいった主張をつよくもっていたら,非常にきびしいことでした……

(以上) 
 
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テーマ:建築デザイン
ジャンル:学問・文化・芸術
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