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2019年10月24日 (木) | Edit |
「リベラル」「保守」という言葉があるが、どういうものか、あなたは説明できるだろうか?

両者は政治的な立場の代表的なものだ。現代の先進国における2大勢力といっていい。

まずリベラル。リベラルは、個人の自由を重視する立場である。

たとえば中絶、同性愛に対しては寛容。「みんながしたいことをすればいい」という考えからだ。また、移民にも寛容である。人間には好きな場所で暮らす自由がある。ならば、国外の人びとが自分たちの国に移り住むことも自由である。

また、リベラルの考えでは、自由を広く実現するため政府は積極的に社会に介入すべきだとされる。その一環としてさまざまな福祉の充実も重要である。だから「大きな政府」志向。一方、軍備の増強には消極的で、話し合いによる国際協調を重視する。

アメリカの民主党は、おおむね以上の立場だ。

一方、保守はこうした「自由万歳」に批判的な立場である。中絶や同性愛は人の道に反する。伝統的な家族を大切に。移民は国の経済・文化に大きな悪影響がある。過度の福祉は国家を破たんさせる(「小さな政府」志向)。強い軍事力で国益を守ろう。

アメリカの共和党は、おおむねこちら。

ただし以上の2つに収まらない主張もある。たとえば個人の自由を何よりも重視する一方、極限まで「小さな政府」志向する「リバタリアン」(リバタリアニズム)という立場がある。これは少数派だが、今のアメリカで一定の勢力ではある。

リバタリアンの立場では、政府というのは個人の自由を妨げる存在なのだ。政府による福祉など要らない。大きな軍隊も要らない。

***

リベラルの考え方は、それまでの古い社会から近代社会が生まれ発展するなかで出てきた、この200~300年の産物である。

その根底には、古い社会の暗黒な部分を是正して理想的な社会を実現しようとする発想がある。近代以前の身分社会には、あまりにも自由がなかったので、もっと自由を。封建領主の政府は民から搾取するばかりで、何もしてくれなかった。だからもっと福祉を。長い歴史を通じて、国際社会はいつもむき出しの弱肉強食だった。だからもっと国際協調を。

保守の考え方は、そんなリベラルの理想に「待った」をかけるものだ。

人間や社会というのは、そんなに急速には変わらないし、アタマで考えた「理想」どおりにはいかないものだ。長い伝統のなかで培われてきたものをもっと大事しないと、足もとをすくわれる。

現に行きすぎた自由の追求によって、社会にはいろんな混乱が生じているではないか。また、大きな政府がますます肥大化することで、国家財政は破たんの危機にあるのではないか。安易な国際協調路線が、邪悪な敵国やテロリストをのさばらせているのではないか。

一方、「自由な社会」という理想を掲げながらも、「大きな政府」や軍拡路線を強く批判するのがリバタリアンということだ。

以上、ごくおおざっぱな見取り図です。日本人は欧米人にくらべると、こういう系統だった主義主張の世界が苦手だ。でも少しは知っておくと、政治のニュースを理解するうえで役立つのでは。

とくにこれからの政治の動きでは、たとえばリバタリアンのような、従来の主流派の枠に収まらない運動が力を持つ可能性が高いと思う。トランプ政権にしても、ここで述べた保守≒共和党の従来のあり方からは逸脱したところが多々ある。たとえば従来の保守にあったはずの手堅さよりも、自分の「理想」にあわせて都合よく現実を解釈する危うい傾向が目立つ。そういう「枠組みの崩壊」を理解するには、「従来の枠組み」についての常識が必要だ。

(以上)
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