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2013年04月03日 (水) | Edit |
夕暮れの団地

これまで何度か「団地リノベーションを建築家に依頼して……」という話を書いてきたのですが,そもそも「団地とは」「建築家とは」「リノベーションとは」といったことをあいまいにしていました。

では,「団地」とは何か。

【団地】
おもに1950年代から70年代の日本で,住宅公団などの公的機関によって建てられた,鉄筋コンクリート造りの集合住宅。


「団地」のもともとの意味は,「一定の範囲に,ある種の施設があつまっている状態」です。工場があつまっている「工業団地」というものもあります。戸建て住宅のあつまりを「団地」ということもあります。でも「団地リノベ」でいう「団地」は,上記のとおりです。

1950年代以前にも鉄筋コンクリート造りの集合住宅はありました。でも,デザイン・間取りの傾向が,団地とはちがいます。団地よりも「ハイソ」な感じです。団地以前の時代には,コンクリートの集合住宅は,ぜいたくな高級品でした。

1980年代以降は,それまでの団地独特のデザイン・間取りは衰退していきます。公団住宅がつくる住居も,バリエーションが大きく広がったり,あるいは民間のマンションと同じようになったりしていきました。

「公的機関」とは,住宅公団のほか,都道府県などをさします。「公団住宅」は,団地の代表的なものですが,都営住宅,県営住宅というのもあります。これらの公的機関が建てる集合住宅と民間のマンションとでは,はっきりと傾向がちがっていました。その間取りのちがいは,2月24日の記事で述べました。
  
1950年代~70年代は,おおざっぱに「高度経済成長」の時代です。団地は,「高度成長時代の産物」といっていいでしょう。その時代の,エネルギーや知恵が詰まっています。当時のすぐれた建築技術者たちが,心血を注いでつくりあげたものなのです。

***

つぎに,「建築家」とは何か。

【建築家】
建物の設計をおもな専門とする,独立の建築技術者。


この定義は,建築家の渡辺武信さんが述べていたことをアレンジしました(住まいのつくり方―建築家といかに出会い、いかに建てるか (中公新書))。

ポイントは「独立の」というところ。会社などの組織に属していない,独立自営ということです。

だからこそ,「施主(依頼者)の代理人」の役割をはたしやすいのです。組織の影響を受けず,お客さんである施主の立場にたって,施工をする業者やその他の関係者に働きかける役割を,専門家として行ってくれる。少なくとも,それを期待できます。

そして,「独立の建築技術者」であれば,無名の若い人も世界的な巨匠も,同じく「建築家」です。
 
新聞で,ある大きな建設会社の設計部長さんが,ご自身を「私も建築家の1人であり…」と述べているのをみかけたことがあります。でもこの人は,「世界でもトップクラスの建築技術者」ではありますが,「建築家」ではないと思います。 

*** 
 
では,「リノベーション」とは何か。「リフォーム」とちがうのか?

【リノベーション】
建物の価値や機能を向上させる,全面的な改装=リフォーム。


「全面的」というのは,その家・建物の大部分を対象とするということです。だから部分的な改装では,リノベーションとはいえない。
 
2~3年前にみた中古マンションのチラシに,「全室リノベーション済み」とありました。3LDKの物件ですが,部屋のすべてが「リノベーション」してある,とのこと。

でも,全面的に直しているからリノベーションなのであって,変な言い方だと思いました。また,地元の不動産屋さんの地味なチラシに「リノベーション!」とうたっていたのも印象的でした。「この言葉もずいぶん普及したなあ」と。

そのうち「バス・トイレ,リノベーション済み」というチラシも,でてくるかもしれません(もう,あるかも)。

以上,どれも私なりの定義です。ものの本には,またちがうことが書いてあるかもしれません。

(以上)
 
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テーマ:建築デザイン
ジャンル:学問・文化・芸術
コメント
この記事へのコメント
全面的???
こんにちは。

英語では、という意見は意味ないかもですが、リノベーションは小規模だろうが大規模だろうが改装を意味するので、「バス・トイレ、リノベーション済み」というのは間違いではないはずです。そもそもリフォームという言葉がおかしいです。間取りを大きく変えない改装は 「cosmetic (化粧的な) renovation」 といいます。どうして「全面的」ということに拘って定義しているのかな、と興味があったので書き込みさせていただきました m(_ _)m
2013/08/18(Sun) 05:40 | URL  | Rye #-[ 編集]
Re: 全面的???
 こんにちは,コメントありがとうございます。
 まず,英語のもともとの意味とは少し離れて(つながってはいますが),「和製英語」的なコトバとして,「リノベーション」(「リフォーム」もですが)というコトバはあると思っています。
 そして,「全面的」ということを定義に盛り込んだのは,このコトバが出てきたとき,「単なる修繕や部分的改装を超え,古い建物・住居を生まれ変わらせる」という積極的な意味がこもっていたと思っているからです。それは「リフォーム」という言葉でも別によかったのかもしれませんが,旧来的なイメージとは「ちがう」ということを強調したくて,「リノベーション」という言葉をあえて使う人たちが出てきた…そんなふうにとらえています。少なくともふた昔も前には,「リフォーム物件」というのは,ややネガティブなイメージがありました。
 そこで,「全面的」とか,大規模な修繕ということを含めて「リノーベーション」という言葉を考えることにしています。また,そうでなければ,「リノベーション」という言葉も,たいして意味はないのでは,とも私は思っています。
 しかし,「リノベーション」という言葉も最近は日常的になってきて,「リフォーム」という語の別の言い方(ちょっと今風な言い方),くらいになっているとも思います。だから,私のように定義することは,もうあまり意味がないのかもしれません。でも,「リノベ」といったときに,住居全体を大きく(全面的に)変えるような改装をさしてつかっていることも,まだやはり多いように思います。
2013/08/18(Sun) 12:45 | URL  | そういち #-[ 編集]
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