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2013年04月13日 (土) | Edit |
※ついさきほどテレビをつけたところ,関西での地震のことを知りました。淡路島方面には友人もいます。とにかくみなさんご無事であることを願っています。

「GDPでみる経済入門」の5回目。これまでGDPは「国全体の総買い物額」という説明をしてきましたが,GDPには別の側面があります。それは「付加価値である」ということ。その話をします。理屈っぽくてとっつきにくいところもありますが,やはりだいじなところです。

このシリーズの過去記事
第1回 GDPは「総買い物額」 
第2回 1人あたりGDP×人口=経済 
第3回 『地球家族』という本(1人あたりGDPと人々の暮らし)  
第4回 「総買い物額」の内訳

「付加価値」としてのGDP 

「ダブり」を取り除く

「GDPは総買い物額である」というと,「ほかの本で読んだ説明とちがう」とか,「総買い物額がなんで〈総生産〉なの?」といわれることがあります。ここで,そんな疑問に答えます。

「総買い物額」というけど,じつはそこにはふくまれない,特殊な「買い物」があります。それは,「そのモノを誰かに売ることを前提にモノを買う場合」です。日常的な言葉なら,「仕入れ」と言えばいいでしょう。「仕入れ」は,個人が日常生活でする「買い物」ではなく,企業がビジネスのためにするものです。「仕入れ」としての買い物は,GDPにはカウントしません。

「仕入れ」には,①仕入れたモノをそのままの形で売る場合と,②原材料として仕入れる場合とがあります。

たとえば,「スーパーがパン工場からパンを仕入れる」のは①のパターンで,「パン工場が原材料の小麦粉を仕入れる」のは②のパターンです。なぜ,そんなやり方なのか。「そうしないと,生産されたモノの価値をダブって計算してしまうことになるから」です。

経済の入門書でよくあるのは,つぎのような説明です。

・スーパーで食パンが100円で売られている。私たちがそれを手にするまでには,いろんな過程を経ている。
(イメージ)
農家がコムギを育てる
コムギを原料に製粉業者が小麦粉をつくる
その小麦粉を原料にメーカーが工場でパンをつくる
そのパンを小売店が仕入れて消費者に売る


・コムギは,ひとつの段階を経るごとに手を加えられ,そこでの仕事(労働)の分の値段を上乗せされていく。
(イメージ)
100円の食パンの材料に使うコムギが10円
それが,小麦粉になると20円
その小麦粉でつくったパンを,メーカーは80円でスーパーに売る
さらに,スーパーはそのパンを100円で私たちに売る


・GDPの計算では,以上のすべての段階の金額(買い物額)を合計するということは行わない。最終的に生産さ れたパン100円の価値だけをカウントする。つまり,コムギ10円+小麦粉20円+パン80円(メーカーからスーパーへの卸価格)+パン100円(スーパーでの販売価格)=200円 ということは,しない。

なぜこのように考えるのでしょうか。

この過程で生産されたのは,あくまで100円の価値のパンです。小麦粉などの原材料費や,スーパーが工場から仕入れるときの値段は,スーパーでの販売価格100円の中にふくまれています。そこをダブってカウントしないようにしているのです。最終的に生産された100円の価値だけをカウントします。

中間投入,付加価値

このように,「ダブリ」を除いて,国全体の買い物額をカウントしていったのが,GDPです。このダブリの部分のことを経済学では「中間投入」といいます。

「中間投入(ダブり)を除く」という一定の操作を加えた「総買い物額」。そうやって「生産された価値」を把握した数字。

それがGDPの,よりくわしい定義です。「生産された価値」のことは,「付加価値」といいます。

つまり,GDPは「国全体で,さまざまな労働によって生産されたモノやサービスの付加価値の合計」なのです。国内で生産された価値の合計。だから,「国内総生産」といいます。

誰かの支出は誰かの所得

じつは,「国内総支出」という言葉もあります。さしているものは「国内総生産」と同じです。ただ「総支出」というのは,生産された価値あるモノやサービスを誰かがお金を「支出」して買っている,という面からものごとをみています。「買い物」としてGDPをとらえた言葉です。

最初に出てきた「GDPは総買い物額」というのは,「総支出」としてGDPをみたものなのです。「総生産」と「総支出」は,コインの表と裏のような関係です。同じものを,どちら側からみるか,というちがいです。

さらに,「総所得」という言葉もあります。これも,「総生産」「総支出」と同じものを,別の側面からみたものです。つまり,誰かがお金を支出してモノやサービスを買ったとき,それは売った者(企業やその従業員)の所得になります。つまり,「それだけのお金が入ってくる」ということです。

誰かの支出は誰かの所得。だから両者もイコールだ,というわけです。

「誰か」というのは,要するに私たちのことです。「誰かの支出は誰かの所得」というのは,

私たちが買い物をすれば,それは誰かの所得となる

ということです。言ってしまえばなんでもないことですが,これはじつは経済をするうえで非常に重要なことです。

生産された付加価値は誰かの所得

また,「生産された付加価値は,誰かの所得」ということもいえます。付加価値というのは,売上から原材料費などの中間投入を除いた分のことでした。これは,かみくだいていえば商売の「儲け」の一種だといっていいでしょう。

この「儲け」は,どうなるのかというと,会社の従業員と会社,そして会社に出資した株主などで分けることになるのです。
 
つまり,従業員の給与,役員への報酬,株主への配当,会社の蓄え(内部留保という)などになります。「儲け」が山分けされてみんなの「所得」になるのです。そして,「儲け」とは言い換えれば「付加価値」のことなのです

ここのところはややむずかしいので,あとでまた補足します。

(以上)
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