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2013年04月23日 (火) | Edit |
コロンボのライト

ウチにあるモノをいろいろ紹介するシリーズ。

リビングの隅に置いている,フロアライトです。照明の最低限の要素だけでできています。円形のベースから,まっすぐな棒がのびていて,先端に飾りのないシェードとランプ。

素っ気ない感じさえしますが,団地に合います。もちろん団地だけでなく,いろんな空間に合うでしょう。

8年ほど前,今住んでいる古い団地に越す少し前に,ネットでみつけて買いました。フロアライトの「素っ気ない」のが欲しいな,と思ってさがしていたら,「これだ!」というのがあったのです。値段も3万円くらいで,(デザイナーものの照明としては)それほど高くないと思いました。

あとで知ったのですが,このライトは,1960年代に活躍したイタリアのデザイナー・ジョエ・コロンボ(1930~1971)の作だそうです(ウチのリノベーションの設計を手がけた寺林省二さんから教えてもらいました)。

コロンボは,デザインの世界では「ミッドセンチュリーのイタリアを代表する1人」とされます。そんな人のデザインだったんだ……オレって目が高いなあ,とうれしくなりました(^^;)

こんなふうに,小さな照明ひとつ買うにも,ネットや雑誌などでいろんなものをみて,買っています。身近なお店で済ませたり,デパートでたまたまあったものを買う,ということはないわけです。買ったあとは,「これは〇〇のデザインで…」などとウンチクをたれてます。

私みたいな人は,今はあたりまえに,おおぜいいます。でも,私が子どもだった30~40年前には,少なかったでしょう。

雑貨ひとつであっても,ぼう大な選択肢からこだわって選んで…というライフスタイルの「元祖」といえるような人物を,私は知っています。

文化学院の創立者の西村伊作(1884~1963)です。

彼は山林地主の大富豪で,建築家でもありました。生活の隅々までこだわりを持っていて,ちょっとした日用品も,アメリカの通信販売のカタログから選んで取り寄せたりしていました。大正時代のことです。

当時,そんなことをしている日本人は,ごくごくかぎられていたでしょう。西村くらい徹底して行っている人は,日本で彼1人だったかもしれません。

今の私たちは,大正時代の特別な趣味の大富豪がしていたことを,ごくあたりまえに行っているのです。

1月14日の記事近代社会を精いっぱい生きるで,「昔は特別な人にしかできなかったことが,今はふつうの人にもできるようになった」「私たちの自由=できることは確実に増えている」という話をしました。西村のようなライフスタイルの普及も,その一例といえるでしょう(でも,アメリカでは当時すでにカタログにある数多くの選択肢から選ぶ,といった消費のかたちがあったのですね)。

***

そういえばこの前,デパートの案内の前で,こんな光景をみました。品のよい80歳前後の男性が,受付嬢にたずねています。
「帽子を買いたいんだけど」
「〇階の売り場にございます」

郊外の中規模のデパートなので,品数は豊富ではありません。でも,あの男性は,ふらっと立ち寄ったデパートで,たまたま手にしたモノのなかから,何か買うんだろうな……「サザエさん」の世界の人みたいだ。

そういうのが,なんだか新鮮に感じられたのでした。こういうのも,悪くないなと,最近は思います。
 
(以上)

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テーマ:建築デザイン
ジャンル:学問・文化・芸術
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